まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック(Everyday I Write The Book)」エルヴィス・コステロ(1983)

 おはようございます。

 今日はエルヴィス・コステロ

 ロック・アーティスト、ソングライターとして非常に才能のある人で、今日まで非常にたくさんの作品を残していますが、意外とシングル・ヒットと呼べるものが少ない人です。別の小難しい音楽をやっているわけではないのですが、、。日本で一番有名な彼の歌は映画「ノッティングヒルの恋人」で使われた「SHE」でしょうから、長年のファンは複雑かもしれません。

 「SHE」はカバー曲ですが、彼の書いたオリジナル曲でアメリカでチャート・アクションが良く、日本でも人気があった曲の一つがこの「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」でした。

 1983年というのは、MTVを効果的に使って、イギリスのアーティストが活躍した年でもありました。

 このブログにも登場しましたポリス「見つめていたい」デヴィッド・ボウイ「レッツ・ダンス」の他、カルチャークラブ、デュラン・デュランユーリズミックス、ディキシーズ・ミッドナイト・ランナーズなど。

 1960年代半ばにビートルズストーンズなどのイギリスのバンドがアメリカのヒットチャートを席巻した時代を”ブリティッシュ・インヴェイジョン(イギリスの侵略)”と呼びますが、この時代はそれ以来のブームだったわけで、”第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン”と呼ばれることもあります。

 エルヴィス・コステロはもともとアメリカのミュージシャンや評論家から人気が高かったので、この追い風を受けて期待感が高かったですし、日本でもブレイク必至!みたいな風潮があった記憶があります。

 この曲の収録された「パンチ・ザ・クロック」というアルバムも、適度にポップで良い出来だったというのも好材料でした。

 でも、ふたを開けると、全米最高36位、彼自身としては最高記録でしたが、他のイギリス勢と比較したら低調だったと言っていいでしょう。

 しかし、ここで変にブレイクしなかったことが、長期的に見るとよかったようにも思えます。

 超売れ線!を書くことなく、ほどほどのポップさを長年にわたって維持している、これはこれですごいことだと思います。

 

 この曲について、本人はこう語っています。

 「この曲は10分で書いたよ、自分へのチャレンジとしてね。シンプルで、ほとんどよくあるタイプの曲で、それに何か意味を持たせようとしたんだ。曲自体には満足していたんだけど、ラヴァーズ・ロック風のアレンジにしようとして気に入らなくて、リズムを変えたんだ。最初はマージービート風だったんだけどね」

 

 また、曲のテーマの着想のもとになったのは、彼の最初のプロデューサー、ニック・ロウの「When I Write The Book」だといいます。コステロにとってロウは、プロデューサーである以上に、曲を書く手がかりをくれるソングライターなのだそうです。 

 


Nick Lowe - "When I Write the Book" (Official Audio)

 自分の恋愛について本を書いたら、つらくなって全ページ涙であふれてしまうよ、と歌うロウの曲にインスパイアされたコステロは、一歩踏み込んでその本が具体的にどんな内容かを歌っています。

 ”第一章 僕たちは正直うまくいってなかった

  第二章    僕は君に恋をしたみたいだ

  第三章の真ん中あたりで 君は僕といっしょにいてくれるって言った

  四、五、六章では 君はいつもの手段で僕を悩ませるのさ

    君の歩き方 話し方 キスをしようとするとき、笑うときの様子

 それは4.5段落でまとめてみよう

 君が褒めてくれたことと 僕を容赦なく責める言葉は

 引用句をつけて そのまま書きとめるよ”

 軽妙な恋愛映画になりそうな世界観ですね。こういうタイプの歌詞もさらっと書けてしまうところが彼のすごいところなんだと思います。

 


Elvis Costello & The Attractions - Everyday I Write The Book

 

エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック

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