まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック(Everyday I Write The Book)」エルヴィス・コステロ(1983)

 おはようございます。

 今日はエルヴィス・コステロの「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」です。


Elvis Costello & The Attractions - Everyday I Write The Book

 

Don't tell me you don't know what love is
When you're old enough to know better
When you find strange hands in your sweater
When your dreamboat turns out to be a footnote
I'm a man with a mission in two or three editions


And I'm giving you a longing look
Everyday (everyday), everyday (everyday), everyday
Everyday I write the book


Chapter one: we didn't really get along
Chapter two: I think I fell in love with you
You said you'd stand by me in the middle of chapter three
But you were up to your old tricks in chapters four, five and six


And I'm giving you a longing look
Everyday (everyday), everyday (everyday), everyday
Everyday I write the book


The way you walk, the way you talk and try to kiss me
And laugh in four or five paragraphs
All your compliments and your cutting remarks
Are captured here in my quotation marks (ooh-hoo)


I'm giving you a longing look
Everyday (everyday), everyday (everyday), everyday
Everyday I write the book
Everyday I write the book


Don't tell me you don't know the difference
Between a lover and a fighter
With my pen and my electric typewriter
Even in a perfect world where everyone was equal
I'd still own the film rights and be working on the sequel


And I'm giving you a longing look
Everyday (everyday), everyday (everyday), everyday
Everyday I write the book
Everyday (everyday), everyday
Everyday I write the book
Everyday (everyday), everyday
Everyday I write the book, ,,

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愛が何なのかわからないなんて言わないで
君が年をとって、もっとわかるようになったとき
自分のセーターの中に見知らぬ手を見つけたとき
君が夢中になたヤツが大したことないとわかったとき
僕は使命を持った男だ 本の二、三版目に出てくるような


僕は憧れの眼差しを君に向ける
毎日、毎日、毎日、
毎日僕は本を書いている


 第一章 僕たちは正直うまくいってなかった
 第二章    僕は君に恋をしたみたいだ
 第三章の真ん中あたりで 君は僕といっしょにいてくれるって言った
 だけど、四、五、六章では 君はいつもの手段で僕を悩ませる

 

僕は憧れの眼差しを君に向ける
毎日、毎日、毎日、
毎日僕は本を書いている

 

 君の歩き方 話し方 僕にキスをしようとするやり方、そして笑い方
 それを4.5段落でまとめて
 君が褒めてくれたことと 僕を容赦なく責める言葉は
 引用句をつけて そのまま書きとめるよ

 

僕は憧れの眼差しを君に向ける
毎日、毎日、毎日、
毎日僕は本を書いている、、、  

 

恋人と戦士の違いがわからないなんて言わないで
僕のペンとタイプライターで
たとえ誰もが平等な完璧な世界にいたって
僕は映画化権を所有して続編に取り組むのさ

 

僕は憧れの眼差しを君に向ける
毎日、毎日、毎日、
毎日僕は本を書いている、、、  

                      (拙訳)

 

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 ロック・アーティストとしてだけではなく、ソングライターとしても非常に才能のある人で、今日まで非常にたくさんの作品を残していますが、意外とシングル・ヒットと呼べるものが少ない人でもあります。別に小難しい音楽をやっているわけではないのですが、、。日本で一番有名な彼の歌は映画「ノッティングヒルの恋人」で使われた「SHE」でしょうから、長年のコステロ・ファンの心境は複雑かもしれません。

 

 「SHE」はカバー曲ですが、彼の書いたオリジナル曲でアメリカでチャート・アクションが良く、日本でも人気があった曲の一つがこの「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」でした。

 

 この曲がヒットした1983年というのは、MTVを効果的に使って、イギリスのアーティストが活躍した年でもありました。

 このブログにも登場したポリス「見つめていたい」デヴィッド・ボウイ「レッツ・ダンス」の他、カルチャークラブ、デュラン・デュランユーリズミックス、ディキシーズ・ミッドナイト・ランナーズなど。

 

 1960年代半ばにビートルズストーンズなどのイギリスのバンドがアメリカのヒットチャートを席巻した時代を”ブリティッシュ・インヴェイジョン(イギリスの侵略)”と呼びますが、この時代はそれ以来のブームだったわけで、”第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン”と呼ばれることもあります。

 

 エルヴィス・コステロはもともとアメリカのミュージシャンや評論家から人気が高かったので、この追い風を受けて期待感が高かったでしょうし、日本でもブレイク必至!みたいな風潮があったという記憶もあります。

 この曲の収録された「パンチ・ザ・クロック」というアルバムも、適度にポップで良い出来だったというのも好材料でした。

 でも、ふたを開けると、全米最高36位、彼自身としては最高記録でしたが、他のイギリス勢と比較したら低調だったと言っていいでしょう。

 しかし、ここで変にブレイクしなかったことが、長期的に見るとよかったようにも思えます。

 超売れ線!の曲を書くことなく、ほどほどのポップさを長年にわたって維持している、これはこれですごいことだと思います。

 

 この曲について、本人はこう語っています。

 「この曲は10分で書いたよ、自分へのチャレンジとしてね。シンプルで、ほとんどよくあるタイプの曲で、それに何か意味を持たせようとしたんだ。曲自体には満足していたんだけど、ラヴァーズ・ロック風のアレンジにしようとして気に入らなくて、リズムを変えたんだ。最初はマージービート風だったんだけどね」

 

 また、曲のテーマの着想のもとになったのは、彼の最初のプロデューサー、ニック・ロウの「When I Write The Book」だといいます。コステロにとってロウは、プロデューサーである以上に、曲を書く手がかりをくれるソングライターなのだそうです。 

 


Nick Lowe - "When I Write the Book" (Official Audio)

 

 自分の恋愛について本を書いたら、つらくなって全ページ涙であふれてしまうよ、と歌うロウの曲にインスパイアされたコステロは、一歩踏み込んでその本が具体的にどんな内容かを歌っています。

 

 第一章 僕たちは正直うまくいってなかった
 第二章    僕は君に恋をしたみたいだ
 第三章の真ん中あたりで 君は僕といっしょにいてくれるって言った
 だけど、四、五、六章では 君はいつもの手段で僕を悩ませる

 

 軽妙な恋愛映画になりそうな世界観ですね。こういうタイプの歌詞もさらっと書けてしまうところが彼のすごいところなんだと思います。

 

 最後にこの曲のライヴ映像を。2011年にリリースされたライヴ・アルバム「The Return Of The Spectacular Spinning Songbook」に収録されていたものの動画のようです。

www.youtube.com

 

パンチ・ザ・クロック

パンチ・ザ・クロック

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