まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ドント・ディスターブ・ディス・グルーヴ( Don't Disturb This Groove)」ザ・システム(1987)

 おはようございます。

 今日はザ・システムの「ドント・ディスターブ・ディス・グルーヴ」です。


The System - Don't Disturb This Groove

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I'm in Heaven
Listen


Pay attention, are you listening?
You're my favorite girl
Excuse me for the moment
I'm in another world
On a mountain, by a fountain
Flowers blooming everywhere
With Venus and with cupid
The picture's very clear


Hang the sign upon the door, say, 'Don't disturb this groove'
Just a way to say that, I'm so into you
And the feeling's so real, so don't disturb this groove


Erotic whispers for the listener
Let the music fill the air
Excuse me for a moment
I'm at a loss for words
By election, sheer perfection
And as if these eyes would care
Your heart is in the right place
So don't you go and change
Baby over and over
The passion starts again
You're my lollipops and everything
And a little taste of sin
Causing fire and desire
In this mortal soul to live
'Til the angels fall from Heaven
And the day the earth stands still

 

Hang the sign upon the door, say, 'Don't disturb this groove'
Just a way to say that, I'm so into you
And the feeling's so real, so don't disturb this groove


When it feels so real, don't disturb this groove


Close your eyes and let the music put you in the mood
Can you feel it? (Uh huh)
Baby, just lock the door and turn the phone off
This time, it's time for me and you
Are you ready? (Yes)


Hang the sign upon the door, say, 'Don't disturb this groove'
Just a way to say that, I'm so into you
And the feeling's so real, so don't disturb this groove


Close your eyes and let the music put you in the groove
Lock the door and turn the phone off, it's time for me and you
Hang the sign upon the door, say, 'Don't disturb this groove'

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最高の気分だ
聞いて


注目して、聴いてる?
君は僕のお気に入りさ
ちょっとごめん
僕は別世界にいるみたいだ
山の上、泉のそば
花はいたるところで咲いている
ヴィーナスとキューピッドと
映像はとてもクリアさ


ドアにサインをぶら下げよう「このグルーヴを邪魔するな」って
ただの表現さ、君に夢中だってね
その感覚は本物さ、だから、このグルーヴを邪魔しないでくれ


エロティックな囁きを聴かせて
音楽で空間を満たそう
ちょっとごめん
言葉がみつからない
神に選ばれた、完全無欠な存在
まるで、彼らの目が気にかけているみたいさ
君の心が正しい場所にあるかって
だから、君は変わらないで
ベイビー、何度も何度も
情熱はまた始まるのさ
君は僕のロリポップ、すべてさ
そして、少し罪の味がする
炎と欲望を引き起こす
この死すべき魂に生かすために
天使が天国から落ちてくるまで
そして、地球が静止する日まで


ドアにサインをぶら下げよう「このグルーヴを邪魔するな」って
ただの表現さ、君に夢中だってね
その感覚は本物さ、だから、このグルーヴを邪魔しないでくれ


リアルに感じたなら、このグルーヴを邪魔するな


目を閉じて、音楽で気分を盛り上げよう
感じるかい?
ベイビー、ドアに鍵をかけて、電話を切って
今度こそ、僕と君の時間だ
準備はいいかい?


ドアにサインを掛けよう「このグルーヴを邪魔するな」って
ただの表現さ、君に夢中だってね
その感覚は本物さ、だから、このグルーヴを邪魔しないでくれ

目を閉じて、音楽にノッて楽しもう
ドアに鍵をかけ、電話を切って、僕と君の時間だ
ドアにサインをぶら下げよう「このグルーヴを邪魔するな」って

               (拙訳)

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 システムは、白人クリエイターのデヴィッド・フランクと黒人シンガー、ミック・マーフィーのユニットでニューヨークで結成され、1982年に「It's Passion」という曲でデビューしています。


The System - It's Passion

 ちなみにこの曲はザ・システム結成以前にデヴィッドが作った曲で、ブレイクする前のマドンナがボーカルを入れをしたことがあったそうですが、最終的に彼女はやらないことになったため、デヴィッドはNTベースのファンク/ディスコ・バンド”Kleeer”の仕事で一緒になったミックを呼び、ミックが同じトラックに新たなメロディをつけたということです。マドンナが辞退しなければ”ザ・システム”は生まれていなかったわけです。

 

 そして、セカンド・シングル「You're in My System」が全米64位、R&B10位とスマッシュ・ヒットになります。

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   この曲に素早く反応したのがロバート・パーマー。翌1983年にカバーし、シングルでもリリースしています(全米78位、全英3位)。

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 80年代のR&Bは、プリンスに代表されるような”シンセ・ファンク”が主流で、いかにシンセサイザーを効果的に使うかということがサウンド面ではとても重要な時代でした。

 その中で、彼らは単なる”シンセ・ファンク”から徐々にニューヨークらしい都会的で洗練されたサウンドへと自分たちのサウンドを磨き上げていき、その最高の成果だと言えるがこの曲だったと思います。全米R&Bチャート1位、総合チャートでも4位まで上がりました。

 デヴィッドはこう語っています。

「この曲はいつも何か特別なものさ。奇抜すぎて成功しないかもしれないと思ったけど、今までで一番いいものができたという自信もあったんだ」

「マネージャーとレコード会社はこの曲をファースト・シングルにすべきではないと考えていたんだけど、僕とミックはそうしたいと思ってその結果、僕らが勝ち取ったんだ、本当によかったよ」

     (Rediscover the '80  October 09, 2020)

 

 この頃ニューヨーク産R&Bに傾倒していた角松敏生もシングル「THIS IS MY TRUTH〜SHININ' STAR〜」(1987)などでは明らかに彼らのサウンドを取り入れていましたが、1989年のシングル「OKINAWA」では、ついに彼らにプロデュースを依頼しています。

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 デヴィッドはクラシックの素養もある優れたキーボーディストで、ザ・システムの活動と並行して、ミュージシャン、アレンジャーとして活躍し、やスティーヴ・ウィンウッド「ハイアー・ラヴ」のシンセ・ホーンのアレンジ、チャカ・カーンの「フィール・フォー・ユー」のキーボードとシンセのプログラミング、スクリッティ・ポリッティのアルバム『キューピッド&サイケ85』では「パーフェクトウェイ」を含む5曲でキーボードを弾くなど、数多くの重要な作品に参加しています。フィル・コリンズのこの曲ではギター、ホーン、ドラム以外の楽器すべてを彼が演奏しています。

 「Sussudio」(1985年 全米1位)

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 彼は実は、1980年代のサウンドを担った重要人物の一人だったんですね。

 また、その後はソングライターとしても活躍し、1999年のクリスティーナ・アギレラのNo.1ヒット「ジーニー・イン・ア・ボトル」を共作しています。

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 彼らは1989年を最後に一旦活動を停止しますが、21世紀に入り再び一緒に活動することが増えています。

 

 追記:2021年12月にインコグニートが彼らの「You're in My System」をカバーしていますのでそれをお聴きください。

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