まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「コパカバーナ(Copacabana (At the Copa))」バリー・マニロウ(1978)

 おはようございます。

 今日はバリー・マニロウの「コパカバーナ」です。


www.youtube.com

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Her name was Lola, she was a showgirl
With yellow feathers in her hair
And a dress cut down to there
She would merengue and do the cha-cha
And while she tried to be a star
Tony always tended bar


Across the crowded floor
They worked from eight 'til four
They were young and they had each other
Who could ask for more?

 

At the Copa, Copacabana (Copa, Copacabana)
The hottest spot north of Havana (Here)
At the Copa, Copacabana (Copacabana)
Music and passion were always the fashion
At the Copa, they fell in love
(Copa, Copacabana)


His name was Rico, he wore a diamond
He was escorted to his chair
He saw Lola dancing there
And when she finished, he called her over
But Rico went a bit too far
Tony sailed across the bar


And then the punches flew
And chairs were smashed in two
There was blood and a single gunshot
But just who shot who?


At the Copa, Copacabana (Copa, Copacabana)
The hottest spot north of Havana (Here)
At the Copa, Copacabana (Copacabana)
Music and passion were always the fashion
At the Copa, she lost her love
(Copa, Copacabana)
(Copa, Copacabana)
(Copacabana)
(Music and passion)
(Always in fashion)


Her name is Lola, she was a showgirl
But that was thirty years ago
When they used to have a show
Now it's a disco, but not for Lola
Still in the dress she used to wear
Faded feathers in her hair


She sits there so refined
And drinks herself half-blind
She lost her youth and she lost her Tony
Now she's lost her mind

At the Copa, Copacabana (Copa, Copacabana)
The hottest spot north of Havana (Here)
At the Copa, Copacabana (Copacabana)
Music and passion were always the fashion
At the Copa, don't fall in love
(Copa, Copacabana) Don't fall in love
(Copacabana, Copacabana)

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彼女の名前はローラ、ショーガールだったんだ
髪に黄色い羽根をつけて
思いっきりカットダウンしたドレスを身につけ
メレンゲやチャチャを踊ったもんさ
彼女が店のスターになろうってがんばってた時は
トニーはいつもバーテンダーをしていたよ


混雑したフロアをはさんで
奴らは8時から朝の4時まで働いた
二人は若く、お互いささえあっていた
これ以上望むものはないだろう

 

コパで, コパカバーナ
ハバナの北の最新スポットさ
コパでは、コパカバーナでは
音楽と情熱はいつだってファッションだったさ
コパで、奴らは恋に落ちた


ヤツの名前はリコ、ダイヤモンドを身に着けてた
彼は席までエスコートされて
そこでローラが踊っているのを見た
彼女が踊り終えると、彼は彼女を呼び寄せた
だけど、リコはちょっとやりすぎた
トニーはバーをかき分けていった


そしてパンチが飛び交い
椅子は2つに割れた
血が流れ、一発の銃声がした
だけど誰が誰を撃ったんだ?


コパで, コパカバーナ
ハバナの北の最新スポットさ
コパでは、コパカバーナでは
音楽と情熱はいつだってファッションだったさ
コパで、彼女は恋人を失った


彼女の名前はローラ、ショーガールだった
でもそれは30年も前のこと
昔はショーをやっていたのに
今はディスコ、でもローラの居場所はない
まだあのドレスを着たまま
髪には色褪せた羽根


彼女はとても上品にそこに座り
すっかり酔っ払っている
彼女は若さを失い、愛しいトニーを失って
今、彼女は正気を失っている

 

コパで, コパカバーナ
ハバナの北の最新スポットさ
コパでは、コパカバーナでは
音楽と情熱はいつだってファッションだったさ
コパじゃあ、決して恋に落ちちゃいけない、、

                    (拙訳)

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「コパカバーナ」の楽譜はこちら

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 コパカバーナは三日月形のビーチで有名なブラジルのリゾート地。僕も一度行ったことがありますが、そのときはここぞとばかりに、バリー・マニロウの「コパカバーナ」を頭の中でガンガン鳴らしてすっかり調子に乗っていました。

 しかし、歌の「コパカバーナ」はモデルとなったのはニューヨークにある「コパカバーナ」というナイト・クラブだったそうです(着想したのはブラジルのコパカバーナのホテルだったらしいですが)。

  NYの「コパカバーナ」は1940年にオープン、60年代には偉大なソウル・シンガー、サム・クックがライヴを行い(ライヴ・アルバムになっています)、モータウンも興行を行っていた時期があって、マーヴィン・ゲイスプリームスなどのライヴ音源が発表されています。

 

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   みんなタイトルが”At The Copa"ですね。”Copa"という略称、そして”At The Copa”という言い回しが定着していたのでしょう。

 バリー・マニロウのこの曲の副題も”At The Copa"となっていて、わざわざ副題を付けたのも意味があったんですね。

 リオのコパカバーナ・パレスというホテルで、”そういえば「コパカバーナ」ってタイトルの曲ってないよね”、とバリーと共作者のブルース・サスマンが話したことがきっかけになって、ジャック・フェルドマン、この方は後にディスニーものの歌詞も書きエミー賞も獲得する人ですが、彼とブルースに「コパカバーナ」を舞台にした物語を作って歌詞を書いてくれとバリーが依頼します。そして、上がってきた歌詞を見ながらピアノに向かったバリーは、ものの15分でこの曲を書きあげたそうです(この曲も、大ヒット曲はあっという間に書けた曲が多いという法則にのっとってますね)。

 

 それまでバリーは、アルバムの多くの曲を自分で作曲しながら、シングル・ヒットしたのは他の作家のものばかり。しかも、大ヒットしていたのはバラードばかりでした。

 共作したブルースも、あくまで彼にとっての目新しい1曲くらいのイメージしかなくて、こんなにヒットするとは思っていなかったようです。

 

 しかし、これが初の自作によるシングル・ヒットになり、しかもそれがサンバ調のアップ・テンポ曲ということで、彼のイメージを大きく変えることになったわけです。

 バラード主体のシンガーからエンターテイナーへと舵を切るきっかけの1曲だったのかもしれません。

 

 この曲の歌詞の物語は、スターを夢見ている、店のショー・ガールのローラとバーテンダーのトニーに、ギャングのリコがからむ、悲劇のラブ・ストーリーなのですが、そこから1985年にはバリー本人が主役を演じ「コパカバーナ」をTVミュージカル化します。そして、1994年には舞台のミュージカル化も果たし、日本でも宝塚が上演しました。

 ちなみに、あの大ヒット曲「マツケンサンバⅡ」もこの曲をヒントの作られたようです。

 

 さて、この曲の最後は”30年後のコパカバーナ”に舞台は変わり、”今やここはディスコ”と歌われていますが、実際のコパカバーナも、休業を経て1976年にディスコとして再オープンしたそうです。

 この曲がリリースされた1978年はディスコものばかりがヒットしていた年で、当時歌のモデルになったお店の「コパカバーナ」もディスコだったわけです。

 なのに、そんな中、バリーはディスコじゃなくラテン・ポップのアレンジでこの「コパカバーナ」のことを歌ったわけですね。でも、当の”コパカバーナ”はモデルになった店なわけですから、たとえディスコ調じゃなくても、この「コパカバーナ」(ややこしい)は頻繁に店でかけたことでしょう。

 最後に彼のYouTubeチャンネルにアップされている”リミックス・ヴァージョン”と、まさにこの曲がリリースされた1978年のライヴ映像を。


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