まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ミス・ユー」ザ・ローリング・ストーンズ(1978)

 おはようございます。

 今日はローリング・ストーンズの「ミス・ユー」です。

 

www.youtube.com

I've been holding out so long
I've been sleeping all alone
Lord, I miss you
I've been hanging on the phone
I've been sleeping all alone
I want to kiss you sometime


Well, I've been haunted in my sleep
You've been starring in my dreams
Lord, I miss you, child
I've been waiting in the hall
Been waiting on your call
When the phone rings
It's just some friends of mine that say
"Hey, what's the matter, man?
We're goingna come around at twelve
With some Puerto Rican girls thats just dying to meet you
We're goinna bring a case of wine
Hey, let's go mess and fool around
You know, like we used to"


Oh, everybody waits so long
Oh, baby, why you waitin' so long?
Won't you come on, come on?
I've been walkin' Central Park, singing after dark
People think I'm crazy
Stumbling on my feet, shuffling through the street
Asking people, "What's the matter with you, boy?"
Sometimes, I want to say to, to myself
Sometimes I say

 

I guess I'm lying to myself
It's just you and no one else
Lord, I won't miss you, child
You've just been blotting out my mind
Fooling on my time
No, I won't miss you, baby, yeah


Ah, ah, ah-ah-ah
Lord, I miss you child
Ah, ah, ah-ah-ah
Lord, I miss you child
Ah, ah, ah-ah-ah
Why, why, why, why

*****************************************************************

ずいぶん長い間耐えてきた
一人きりで夜を過ごしてきたのさ
ああ、お前が恋しい
電話を気にしながら
一人きりで眠っていた
お前にキスしたい いつか


うなされていたよ
お前の夢を見ていたんだ
ああ、お前が恋しい
玄関で待っていたよ
お前の電話を待ってたんだよ
電話が鳴ったら
それはただの友達の声で
"ヘイ、どうしたんだい?
12時くらいにそっち行くよ
お前に会いたげってるプエルトリコの女を連れてな
ワインを1箱持ってくるよ
ヘイ、馬鹿騒ぎしようぜ 昔みたいにさ"

 

おお、みんなずっと待ってる
おお、ベイビー、どうしてそんなに待つんだい?
さあ帰って来いよ、さあ

 

セントラルパークを歩きながら
オレは暗くなってもずっと歌ってる
みんなおかしいと思ってるさ
足元がふらついたまま 通りを歩いていると
"あんたどうしたんだ?" と聞いてるけど
時々、自分自身にたずねたくなるよ
時々言うのさ

 

オレは自分に嘘をついているんだろう
ただお前だけさ、他の誰でもダメなんだ
ああ、お前が恋しい
お前はオレのあたまの中を空っぽにして
オレの時間をもてあそんだ
もう、お前なんて恋しくないぜ ベイビー

 

Ah, ah, ah-ah-ah
ああ、オレはお前が恋しい
Ah, ah, ah-ah-ah
ああ、オレはお前が恋しい、、       (拙訳)

*****************************************************************

 映画「サタデーナイト・フィーバー」の大ヒットによって、ディスコが世界中を席巻していた1978年、ロック系のアーティストもディスコ・サウンドに次々とアプローチし始めました。その中でもローリング・ストーンズがディスコ風のリズムの曲をやったことは先駆けであり、大変な驚きとして受け止められました。その曲が「ミス・ユー」でした。

 

 「ミス・ユー」はクレジット上は、他のストーンズの楽曲と同じようにミック・ジャガーキース・リチャーズの共作になっていますが、実際はミック・ジャガーと、ビートルズの「アビー・ロード」や「レット・イット・ビー」にも参加している黒人アーティスト、ビリー・プレストンがツアーの間にジャム・セッションをしながら作ったと言われています。

 

 ミックはこう語っています。

「ビリーが四つ打ちのベース・ドラムのパートを叩いてくれて、オレはただギターを弾くだけだった 」

「キース(・リチャーズ)がトロントで裁判を受けていたときで、エル・モカンボ・クラブで演奏したのを覚えている。オレたちはそこでこのライブ盤を作るはずだったんだ」

 (Showbiz CheatSheet  September 15, 2022)

 

 ミックはディスコ・ミュージックを作ろうと思ったわけじゃない、と述べているようですが、事実上曲作りに参加していないキース・リチャーズは、すごくいいディスコ・レコードだ、ディスコで起こっていることがレコーディングに反映されている、と語っています。

 ドラムスのチャーリー・ワッツ

 ”ディスコに深く影響を受けている。四つ打ちのリズム、フィラデル・フィア・ソウル・スタイルのドラミングなどにね”と言っています。

 メンバーの中でミックとチャーリーはしょっちゅうディスコに言っていたそうで、ミュンヘンに行ったときにディスコに行った帰りに、ミックはなんと「Y.M.C.A」を口ずさんでいたそうです。

 ”キースはキレていたけどね。でも、ダンスフロアじゃすごくよく聴こえるんだよ”

 

 

 売れるために戦略的にディスコにアプローチしていたわけじゃなく、ディスコ通いするうちに、その感覚が全身にしみ込んでいて、自然とそういう音楽をやりたくなったということなのかもしれませんね。

 ドラムスと共に、ディスコっぽさを醸し出しているのはベース・ラインだと思いますが、この基本的なアイディアはベーシストのビル・ワイマンいわく、ビリー・プレストンだったそうです。

 「あのベースラインのアイデアビリー・プレストンが思いついたんだ。1年ほど前のレコーディング・セッションの後、ラフなデモを録っていたんだ。僕はもう家に帰っていて、メンバーであの曲を通して演奏し始めた時に、ビリーが僕の古いベースで演奏したんだよ」

 (FAR OUT  MAR 2021)

 

 それにしても、ビリー・プレストン。大した男です。

 ドキュメンタリー「ザ・ビートルズ :Get Back」をご覧になった方はよくご存知だと思いますが、メンバーの気持ちがバラバラで解散目前だったところに、スタジオに彼が現れてセッションし始めるやいなやメンバー全員がぐっと音楽にフォーカスしていくというシーンがありました。まさに5人目のビートルズの呼称にふさわしい貢献です。

 

 ストーンズの代表曲「ミス・ユー」の基本を作ったのも彼で、それが許されるほどの信頼を彼はメンバーから受けていたということでもあります。

 

 もっともっと彼を評価すべきと、声を大にして言いたいです。

 

 それにしても、「ミス・ユー」はディスコ・サウンドと言っても、ストーンズっぽさも十分出ていて、そのあたりのさじ加減はさすがに絶妙だと思います。

 

 当時はディスコというわりにリズムがちょっと遅いな、と当時僕は思っていたのですが、その後のライヴ動画を見ると結構テンポを上げている場合が多く、四つ打ちのリズムに合わせてお客さんが上下に飛び跳ねていて、ちょっとハウスっぽいノリだなあ、と思ったりしました。”四つ打ち”のリズムの威力は普遍的ですごいなあ、と痛感します。

 

 テンポアップした「ミス・ユー」のライヴ動画のひとつ、LIVE AID(1985)

www.youtube.com

ディスコ向けの12インチ・シングルも作られています。

www.youtube.com

 

女たち

女たち

Amazon

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

 

 

この当時ディスコに挑んだ他のロック・アーティストの楽曲は例えばこのあたりが有名です。

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

 

ビリー・プレストンの代表曲

popups.hatenablog.com