まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「アイム・セクシー(Da Ya Think I'm Sexy?)」ロッド・スチュワート(1978)

 おはようございます。

 今日はロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」です。


Rod Stewart - Da Ya Think I'm Sexy? (Official Video)

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She sits alone waiting for suggestions
He's so nervous avoiding all the questions
His lips are dry, her heart is gently pounding
Don't you just know exactly what they're thinking?


If you want my body and you think I'm sexy
Come on sugar, let me know
If you really need me, just reach out and touch me
Come on honey tell me so
Tell me so, baby


He's acting shy looking for an answer
Come on honey, let's spend the night together
Now hold on a minute before we go much further
Give me a dime so I can phone my mother
They catch a cab to his high rise apartment
At last he can tell her exactly what his heart meant


If you want my body and you think I'm sexy
Come on honey, tell me so
If you really need me, just reach out and touch me
Come on sugar, let me know, oh

 

His heart's beating like a drum
'Cause at last he's got this girl home
Relax, baby, now we are all alone, oh


They wake at dawn 'cause all the birds are singing
Two total strangers but that ain't what they're thinking
Outside it's cold, misty and it's raining
They got each other, neither one's complaining
He says, "I'm sorry but I'm out of milk and coffee
Never mind sugar we can watch the early movie"


If you want my body and you think I'm sexy
Come on sugar, let me know
If you really need me, just reach out and touch me
Come on honey, tell me so


If you really need me, just reach out and touch me
Come on sugar, let me know
If you really, really, really, really need me
Just let me know
Just reach out and touch me
If you really want me
Just reach out and touch me
Come on sugar, let me know
If you really need me, just reach out and touch me
Come on sugar, let me know
If you, if you, if you really need me
Just come on and tell me so

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彼女は一人で座って声をかけてくれるのを待っている
彼はとてもナーヴァスさ、質問は全部避けている
彼の唇は乾き、彼女の心臓は優しく高鳴る
君ははっきりわかるかい?彼らが何を考えているか


僕の体が欲しいなら、そしてセクシーだと思うなら
さあシュガー、教えて
本当に僕が必要なら、ただ手を伸ばして触れるんだ
さあハニー そう言えよ
そう言えよ、ベイビー


彼は答えを探しながらシャイなふりをする
さあ、ハニー、一緒に夜を過ごそう
ねえちょっと待って、このまま行ってしまう前に
10セントちょうだい、ママに電話するから
二人はタクシーに乗り、彼の高層マンションに向かう
とうとう彼は自分の心を正確に彼女に伝えることができるんだ


僕の体が欲しいなら、そしてセクシーだと思うなら
さあシュガー、教えて
本当に僕が必要なら、ただ手を伸ばして触れるんだ
さあハニー そう言えよ
そう言えよ、ベイビー


彼の心臓はドラムのように鳴っている
それじはついにこの娘を家に連れ帰るからさ
リラックスして、ベイビー、今僕たちは二人きりなんだ


夜明けとともに二人は目覚める、鳥のさえずりを聞きながら
まったく見知らぬ二人 でも彼らはそう思っちゃいない
外は寒く、霧がたちこめ、雨が降っている
彼らはお互いのもの、どちらも文句は言わない
彼は言う、「ごめん、ミルクとコーヒーを切らしているんだ」
「気にしないで、シュガー、 早い回の映画でも観ればいいわ」


僕の体が欲しいなら、そしてセクシーだと思うなら
さあシュガー、教えて
本当に僕が必要なら、ただ手を伸ばして触れるんだ
さあハニー そう言えよ
そう言えよ、ベイビー

本当に僕が必要なら、ただ手を伸ばして触れるんだ
さあシュガー、教えて
もし、君が本当に、本当に、本当に、僕を必要としているのなら
ただ、教えてくれればいい
ただ、手を伸ばして触れて
もし本当に僕がほしいのなら
ただ、手を伸ばして触れて
さあシュガー、教えて
本当に僕がほしいなら、ただ手を伸ばして触れるんだ
さあシュガー、教えて
もし君が、もし君が、もし本当に僕がほしいなら
さあ、僕にそう言うんだ

           (拙訳)

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 ビー・ジーズはディスコへ転向して大成功を収め、そしてあのストーンズまでも「ミス・ユー」でディスコ・サウンドを取り入れている中で、それに続けとばかりにアクションを起こしたのがロッド・スチュワートでした。

 

 このころの彼はまわりで何が起こっているか常に情報収集をして、ヒットチャートもしっかりチェックしていたようです。21世紀に入ってからは名曲カバー集「Greatest American Songbook」シリーズを大ヒットさせたところを見ても、ビジネス感覚に優れた人だったというのがよくわかります。

 

 

 この曲の共作者であるデュアン・ヒッチングスはこう語っています。

サタデー・ナイト・フィーバー」時代の「コカイン・ラウンジの常連客」のやつらをもじった曲だった。この映画とビージーズが出てきたとき、オレたちロックンロール野郎は自分たちのことを死体だと思ったものさ。ビージーズは素晴らしいミュージシャンで、本当にいい人たちだったよ。大きなエゴもなくてさ。ロッドはその才覚で、ディスコをもじったものを作ろうって決めたわけさ。すげえ賢いヤツだよ。音楽ビジネスには「間抜けな」超売れっ子は存在しないのさ」

http://www.rockunited.com/

 

 ストーンズの「ミス・ユー」も彼をディスコ路線に向かわせるきっかけになったようで、、彼はバンドとのリハでそれをメンバーに伝えると、後日ドラマーのカーマイン・アピスジェフ・ベックとの共演が有名)がこの曲のAメロとBメロを考えると、ロッドがサビのメロディを考えたそうですが、そのサビメロが後に盗作騒動になり、裁判でロッドが敗訴してしまうことになります。

 それがこの曲、ブラジルのアーティスト、ジョルジ・ベンの「タジ・マハール

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    ちょっと病みつきになりそうな、いい曲ですよね。

 ジョルジ・ベンはジュルジ・ベンジョールともいいますが、1960年代から活動しサンバにファンクやロックの要素をミックスした音楽を作り上げたブラジルを代表するアーティストです。

 ブラジルの曲で日本人に最も知られている一つと言っていい、セルジオ・メンデスで有名な「マシュ・ケ・ナダ」も彼が書いた作品です。彼のヴァージョンで聴いてみましょう。

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 さて、この曲に話を戻しますが、ロッド本人は、1978年に彼はリオのカーニバルに行き、その際エルトン・ジョンフレディ・マーキュリーもいたそうですが、そのころブラジルではいたるところでこの「タジ・マハール」が流れていたので、無意識に刷り込まれ、その後曲を作るときに出てきてしまったものなので、意図した盗作ではないと語っています。しかし、無意識とはいえ、心当たりはあったわけですから、最終的に自分の印税の取り分をユニセフに寄付するということで裁判は決着したそうです。

 

 サビの次に、この曲で印象深いフレーズはイントロのストリングスのメロディですが、こちらはボビー・ウーマックの「(If You Want My Love)Put Something Down On It」 から流用していることが判明しています。

   これは1975年に発売された彼の7枚目のアルバム「I Don't Know What the World Is Coming To 」に収録されていた曲です。

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 最も印象的な2箇所、サビもイントロの両方とも元ネタがあるのか、、、と思うと、1978年当時中学二年生でこの曲をカッコいいなあと思って飛びついた僕はちょっと切ない気持ちにもなるのですが、ディスコ期のロックを象徴する曲であることは間違いないでしょう。

 

 最近ではTikTokでも人気らしく300万本以上の動画があげられています。

 

  そして、2017年にアメリカのバンド、DNCEをフィーチャーしたリミックス・ヴァージョンがリリースされていますので、最後はそちらを。

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