おはようございます。
今日は来生たかおの「灼けた夏」。
彼は数々のヒット曲を持つ作曲家として有名ですが、最初は才能あるシンガー・ソングライターとして期待されて売り出された人です。
デビュー曲「浅い夢」と、同曲が収められたアルバム「浅い夢」は内容の素晴らしさにセールスが伴わなかったようで、レコード会社がさらに気合を入れて海外レコーディングを行ったのが「ジグザグ」というアルバムで、そのアルバムのシングル曲がこの「灼けた夏」です。
もちろん、海外のすごいミュージシャンを使ったからと言って売れるわけではないのですが、1970年代の後半というのは、日本のポップス・シーンはひたすら洋楽の”背中を追って”あらゆるクオリティをあげることにエネルギーを注いでいた時代だったのです。
それに、音楽史に残るような海外のミュージシャンたちが日本のポップスのレコーディングに参加した、その音源が残っているだけでも今となっては貴重だと思います。
さて、この「灼けた夏」に参加しているのは、、。
ドラムスはジム・ケルトナー。ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、ストーンズなどもう”偉人レベル”のアーティストと共演しています。
ベースはクラウス・フォアマン。ジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドのメンバーですが、画家としてビートルズのあの「リボルバー」のジャケット・イラストを書いた人でもあります。
そしてキーボードはデヴィッド・フォスター。のちにシカゴ、ホイットニー・ヒューストン、セリーヌ・ディオンなどの仕事で日本でも有名なスーパー・プロデューサーになる人ですね。
E.ギターはスティーヴ・ルカサー。このレコーディングがあった年にTOTOを結成しています。
もう一人E.ギターはダニー・コーチマー。キャロル・キングの名盤「つづれおり」やジェイムス・テイラー、ジャクソン・ブラウンのバックを務めた”ザ・セクション”のギタリストです。
本当にすごいメンバーです。
ただ、これだけのメンバーが集まったことが功を奏したかというと、う〜ん、、、、というのが僕の正直な感想です。
「浅い夢」も日本の素晴らしいミュージシャンが集まっていましたし、来生の洋楽っぽさと歌謡今日っぽさの微妙な混ざり具合は、日本人ミュージシャンの方が本質を理解しやすかったんじゃないかと思われるからです。
言い換えれば、海外のスーパープレイヤーが本領発揮できるタイプの曲ではなかった、日本のミュージシャンで録音しても印象の大きな違いはなかった、そういう感じが僕にはしました。
それから、デヴィッド・フォスターやスティーヴ・ルカサーが自分のサウンドをはっきり打ち出したのは1980年あたりだったので、タイミングもちょっと早すぎた感じがあり、彼ららしさがまだ出ていないせいで”CITY POP”としても再評価されずにもいます。
ただ、来生のヒット曲のほとんどがマイナー調のメロディーが基準になっていたり、ミディアムテンポかバラードが多い中で、彼のメジャーなアップテンポの曲も実はいいんだよなあ、と前々から思っていました。
この「灼けた夏」もそうですし、「夢の肌」という曲も同じ系統です。そのラインから、このブログでも紹介した松田聖子の「P・R・E・S・E・N・T」や「マイアミ午前5時」に繋がってゆくわけです。
「夢の肌」来生たかお
他の曲にはジェイ・グレイドンも参加。エアプレイ(フォスター&グレイドン)が初めて参加した日本の作品だと言われています。
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