まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「バンド・オブ・ゴールド(Band of Gold)」フリーダ・ペイン(1970)

 おはようございます。

 今日はデトロイト出身の女性シンガー、フリーダ・ペインの「バンド・オブ・ゴールド」です。


Band Of Gold , Freda Payne , 1970 Vinyl

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Now that you're gone

All that's left is a band of gold
All that's left of the dreams I hold
Is a band of gold
And the memories of what love could be
If you were still here with me

You took me from the shelter of my Mother
I had never known or love any other
We kissed after taking vows
But that night of the honeymoon
We stayed in separate rooms

I'd wait in the darkness of my lonely room
Filled with sadness, filled with gloom
Hoping soon
That you'd walk back through that door
And love me like you tried before

Since you've been gone
All that's left is a band of gold
All that's left of the dreams I hold
Is a band of gold
And the dream of what love could be
If you were just here, here with me


Doncha know that I wait in the darkness of my lonely room
Filled with sadness, filled with gloom
Hoping soon that you'd walk back through that door
And love me like you tried before

Since you've been gone
All that's left is a band of gold
All that's left of the dreams I hold
Is a band of gold
And the dream of what love could be
If you were still here with me
Since you've been gone
All that's left is a band of gold...

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あなたが行ってしまった今

残されたのは金の指輪だけ

残されたのはつかんでいた夢

それは金の指輪と

あなたがもしまだ一緒にいてくれたら

愛はどうなったかという思い

 

あなたは私を母の庇護から連れ出してくれた

私は他の人を知ることも、愛したこともなかったわ

誓いのあとキスを交わし

でも、ハネムーンの夜

私たちは別々の部屋にいた

 

孤独な部屋の暗闇で待っていたの

そこは悲しみと憂いに満ちていたわ

すぐに、と願った

あなたがそのドアから戻ってくるのを

そして、前みたいに私を愛してくれることを

 

あなたが行ってしまったから

残されたのは金の指輪だけ

残されたのはつかんでいた夢

それは金の指輪と

愛はどうなっていたかという夢

あなたがもしここに、ここに一緒にいてくれたら

孤独な部屋の暗闇で待っていたの

そこは悲しみと憂いに満ちていたわ

すぐに、と願った

あなたがそのドアから戻ってくるのを

そして、前みたいに私を愛してくれることを

 

あなたが行ってしまったから

残されたのは金の指輪だけ

残されたのはつかんでいた夢

それは金の指輪と

愛はどうなっていたかという夢

あなたがもしまだここで一緒にいてくれたら

あなたが行ってしまったから

残されたのは金の指輪だけ、、、   (拙訳)

 

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 この曲を作ったのはホランド=ドジャー=ホランドスプリームスの「恋はあせらず」など、モータウンを代表する数々の大ヒット曲を作ったソングライター・チームです。

 

  彼らはモータウンを辞めて(お金のことでモメたのです)、インヴィクタスという自分たちのレコード会社を立ち上げます。ただ、モータウンと法的なトラブルは続いていたので、ホランド=ドジャー=ホランドという作家名をクレジットできなかったようで、エディス・ウェインというペンネームを使っています。

 

 ただし、モータウンサウンドを作った凄腕ミュージシャンたち”ファンク・ブラザーズ”を使える契約はあったようで、彼らが演奏しています。

 

 モータウンのメイン作家とミュージシャンが作ったということなので、この曲はモータウンの外で作られた、正真正銘のモータウンサウンドという、異色な作品なのです。

 ちなみに歌っているフリーダ・ペインは「恋をあせらず」を歌ったスプリームスのメンバー、シェリー・ペインのお姉さんです。

 モータウンにしてみたら、かなり挑発的な作品だったんじゃないでしょうか。

しかも全米3位、イギリスではNO.1という大ヒットになったわけですから。

 

 モータウン好きの僕は、この曲もポップでいいなあと長年愛聴してきたのですが、あらためて歌詞を調べてみると、予想外にすごく悲しいものでした。

     バンド、というと楽器演奏するグループのことか、ベルトみたいなものしか僕はイメージできなかったのですが、装飾のない指輪もバンドというんですね。なので、バンド・オブ・ゴールドとは金の結婚指輪のことみたいです。

    結婚した夜に花婿から取り残されてしまう若い花嫁。花婿が残したものは金の指輪とつかみかけた夢だけ、という相当切ない歌だったんです。

 しかもこの曲の作者の一人、ラモン・ドジャーはインタビューで、この歌で花婿が離れたのは、決して彼女のことが嫌いなわけじゃなくて彼がゲイだったから、という驚きの真相を話しています。

 軽快なポップソングに、なんという複雑なストーリーを組みこんでくれたんだ、と、ちょっとビビってしまいました。

 ネイティヴに英語が聴き取れなくてかえってよかったなあ、とも僕は思いました。

    日本人は歌詞はあまり考えず、軽快なモータウンサウンドを楽しみましょう(苦笑

 

 さて、この若い花嫁の歌を歌ったときには、フリーダはすでに28歳、もっと若い人が向いてるわよ、と本人は歌いたがらなかったそうです。

 でも、プロデューサーの一人が、”大丈夫、この曲を好きにならなくてもいい、ただ歌えばいいんだよ”と説得したそうです。

 そして結果、彼女は一躍ヒット・シンガーの仲間入りをするわけです。

 流行歌、ポップ・ミュージックというのは、本当に不思議なものだなあと思います。

 嫌だなと思ったことでもやってみると思わぬ結果になることがある、という教訓なんでしょうか、、、

 

   最後は、フリーダ・ペインにとって「バンド・オブ・ゴールド」に次ぐヒットになった1971年の「Bring the Boys Home」(全米最高12位)。ベトナム戦争に行ってしまった子供たちを還してほしい、と歌う反戦歌です。

www.youtube.com

 

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