まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「愛はエネルギー」松原みき(1979)

 おはようございます。

 今日は、松原みきの「愛はエネルギー」。

 


Miki Matsubara (松原みき) - 愛はエネルギー

 ここ数年YouTubeを介して、日本のシティポップが海外で人気を集めています。

 代表的なのが竹内まりやの「Plastic Love」。アップされている動画をトータルすると約4000万視聴というすごい数字。コメントは海外からのものがほとんどです。そして、同様に海外からの反響が大きいのが、松原みきの「真夜中のドア」で約1500万回視聴されています。

 

 実は、僕が生涯で一番好きな日本のポップスが「真夜中のドア」です。はじめてラジオで聴いた時のことを今でもはっきり覚えています。僕は中学三年で、高校受験の勉強しながらラジオを聴いていました。TBSラジオのチャート番組。今週の推薦曲のコーナーでした。うわぁ、なんだこの曲、誰だこの歌手、と興奮してしまい、勉強がずっと手につかなくなってしまったのを覚えています。発売日にシングル盤を買いに行きました。それまで本当に待ちきれない、気持ちでした。

 その後大学生になって、AORと呼ばれるジャンルのアルバムを買い集める中で、キャロル・ベイヤー・セイガーという女性シンガーの「It's the Fallin in Love」という曲のアレンジを「真夜中のドア」がかなり拝借していることを知りましたが、かと言ってこの曲の評価が下がるということはありませんでした。

 

 今回ピックアップした「愛はエネルギー」は「真夜中のドア」かわわずか1ヶ月でリリースされたセカンド・シングル。

 「真夜中のドア」の延長線上にありながら、より軽快でポップな曲で、YouTubeを見ると海外でも反響はあるようです。

 実は、こちらもデニース・ウィリアムスという女性シンガー(日本では映画「フットルース」の「レッツ・ヒア・ボーイ」がヒットしました)の「I Found Love」という曲のアレンジ、特にイントロを借用(?)しています。

 


Deniece Williams - I Found Love

 この曲は彼女の1979年にリリースした「ラヴ・コーリン(When Love Comes Calling)」というアルバムの冒頭を飾っていたナンバーです。このアルバムは「真夜中のドア」の元ネタ「「It's the Fallin in Love」をアレンジしたデヴィッド・フォスターもプロデュースに参加していますが、「I Found Love」のほうはレイ・パーカーJrのアレンジによるものです。

 

 この曲も日本のポップスは洋楽ポップスを日本らしく”転用”するという作業を繰り返しながら成長していったものなのだということがよくわかる例なんじゃないでしょうか。特に、1970年代後半から80年代中頃にかけてというのはそういう流れのピークだったと思います。

 競うように”洋楽っぽい日本のポップス”というものがたくさん作られていました。

 借用があったとしても、ただのパクリではなく、日本的に洗練された魅力的な”カスタマイズ”であったからこそ、今も再評価されているのだと思います。

 アプローチが安直、安易でさえなければ、心惹かれるものに対しては積極的にアプローチすることはよいことじゃないでえしょうか。

 ご存知の通り松原みきさんは、残念なことに2004年に亡くなられています。最近、彼女の作品はストリーミング・サイトで聴けるようになったので、ぜひ世界中のいろんな人に聴いてほしいなあと思います。

 

 最後は個人的なフェイヴァリットを。「真夜中のドア」のB面に入っていた「そうして私が」(作詞:三浦徳子 作曲:林哲司)。

www.youtube.com

 

 

 

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