おはようございます。
今日は映画「シング・ストリート 未来へのうた」のサントラ盤から「UP」を。
「シング・ストリート」は以前にこのブログで紹介した映画「はじまりのうた」のジョン・カーニーの監督作品です。
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It's two o'clock on the edge of the morning
She's running magical circles around my head
I hitch a ride on a dream she's driving
She turns to kiss me, I crash back into bed
Across the street on a grayed out Monday
I see the girl with the eyes I can't describe
And suddenly it's a perfect Sunday
And everything is more real than life
I think I'm back in the dream
I think I'm back on the ceiling
It's such a beautiful feeling
Going up
She lights me up
She breaks me up
She lifts me up
You find a mystery bound in perfection
You've got to read, but you don't wanna reach the end
Cause what if everything beautiful's fiction
And this reality's just pretend?
And then I'm back in the dream
I'm looking up at the ceiling
It's such a beautiful feeling
Going up
She lights me up
She breaks me up
She lifts me up
Up to the stars she shows me
Dame Street, George's Street, miles below me
Up where the world won't let us down
(Na, na, na, na)
Going up
(It's two o'clock on the edge of the morning)
She lights me up
(She's running magical circles around my head)
She breaks me up
(I hitch a ride on a dream she's driving)
She lifts me up
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朝が始まりかけた午前2時
頭をあの娘が魔法のサークルを描いきながら回っている
彼女が運転する夢にヒッチハイクで乗せてもらうのさ
彼女が振り返ってキスすると 僕はベッドに激突さ
グレイに塗りつぶされた月曜日の通りを横切る
なんとも言い表せない瞳の少女を見たんだ
そして、突然完璧な日曜日に変わる
そしてすべてが人生よりもリアルになるんだ
また僕は夢に戻ったみたいだ
また僕は天井に戻ったみたいだ
それはなんて素晴らしいフィーリングなんだ
のぼってゆく 彼女は僕を照らす
彼女は僕をバラバラにする 彼女は僕の気持ちを持ち上げる
君は完璧に装丁されたミステリーを見つける
読まなきゃいけない だけど最後を知りたくない
だって、もし美しいもの全部がフィクションで
この現実はただの見せかけだったとしたら?
そして、また僕は夢に戻ったみたいだ
また僕は天井に戻ったみたいだ
それはなんて素晴らしいフィーリングなんだ
のぼってゆく 彼女は僕を照らす
彼女は僕をバラバラにする 彼女は僕の気持ちを持ち上げる
星に向かって上昇しながら 彼女は僕に見せる
デイム・ストリート、ジョージズ・ストリート、僕のはるか眼下に
世界が僕らをがっかりさせることのない場所へ上昇してゆく
のぼってゆく 彼女は僕を照らす
彼女は僕をバラバラにする 彼女は僕の気持ちを持ち上げる (拙訳)
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映画の内容は1980年代不況にあえぐアイルランドのダブリンでバンドを組む高校生の話です。そのバンド名が”シング・ストリート”なんです。
主人公は、学校の近くで偶然見かけたモデル志望のお姉さんに近づくために、「僕たちのミュージック・ビデオに出てみない?」と声をかけて、それから急いでバンドにおメンバーを探すわけです。段取りの順番が逆なんです。
ジョン・カーニーという監督は元ミュージシャンだけあって前作の「はじまりのうた」や、その前の「ONCE ダブリンの街角で」でも、音楽が生み出される瞬間にだけに表れてくる、ときめくような至福感、それがいかにかけがえのないものかをよくわかっていて、それを見事に映像化できる人です。
たぶん、その至福感はいつも現れるわけじゃない、本当に無心で夢中でやれたときに知らないうちに現れる、幻、みたいなものです。ずっと音楽を続けていくうちに、いつか失われてしまうものでもあります。
彼はきっとそれをよくわかっているから、自身の映画で何度も映像化しようとするんだと思います。
なかでも、ティーンエイジャー特有の恋のときめき、現実と妄想がごっちゃになりながら、猛烈に高揚していく気持ちを歌ったこの「UP」が使われるこの映画の場面のピュアな至福感は格別です。
そういう十代のころの初期衝動は、バンドで特にそれが顕著に出るとは思いますが、他のジャンルでもあると思います。
自主で映画を作るとか、野球チーム作るとか、無性に興味を持ったものに初めて取り掛かったときのときめきというのは、無意識に胸の中で”仕分け”されていて、大事に保管されているものです。ただ、日常とあまりに接点がないので忘れられてしまうだけで。
もちろん、何歳になっても好奇心旺盛でビギナーの気分になれる人はいるでしょうし、そういう人はすごくうらやましいなと思います。でも、そうじゃない人の場合も、あるときふいに、誰か若い人たちの初期衝動に感応して、十代だった時の自分にその瞬間戻ることがあって、そういうのも悪くないことだと僕は思います。
ジョン・カーニーの「はじまりのうた」で歌われた、高揚感が最高のポップ・チューンpopups.hatenablog.com