まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングを、エピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などを交えて紹介しています。親しみやすいポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”な存在になってしまったのかもしれませんが、このブログがみなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。追加情報や曲にまつわる思い出などありましたらどんどんコメントしてください!text by 堀克巳(VOZ Record

「Things 」ルイス・コール(Louis Cole) (2018)

おはようございます。今日はルイス・コールの「Things」です。

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Never guess and never know
Losing everything you own
But just before you hit the red
Your best ideas hit your head

The ones you love will call you back
The regulars will treat you bad
A bolt of lightning from the blue
Now it’s really clear to you

Things may not work out how you thought
Things may not work out how you thought
Maybe it is good, maybe it is bad
Either way the only truth we have, is
Things may not work out how you thought

Use a coin to scratch away
Your desperation on display
A different era starts to show
So different friends will come and go

The one you love will hurt you bad
But a stranger has your back
It’s sunny when it starts to snow
And that is when you really know

Things may not work out how you thought
Things may not work out how you thought
Maybe it is good, maybe it is bad
Either way the only truth we have, is
Things may not work out how you thought

Things may not work out how you thought

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まったく思いもよらず、決して知ることもなく
すべてを失ってゆく
だけど、赤字寸前のその瞬間に
最高のアイデアが頭にひらめくんだ

愛する人は君を呼び戻すだろう
いつもの奴らは冷たくするだろう
青天の霹靂のように
すべてがはっきりわかる

ものごとは君が思ったようにはいかないかもしれない
思った通りにはいかないかもしれない
それが良いことなのか、悪いことなのか
どちらにせよ、たったひとつの真実は
ものごとは思ったようにはいかないかもしれないということ

コインで削ってみたら
君の絶望が現れて
新しい時代が見えてくる
だから、友だちも入れ替わっていくんだ

愛する人にひどく傷つけられる
でも見知らぬ誰かが君を支えてくれる
雪が降り始めるのに太陽が輝く
そのとき、君は本当に気づくんだ

君が思ったようにはいかないかもしれない
思った通りにはいかないかもしれない
それが良いことなのか、悪いことなのか
どちらにせよ、たったひとつの真実は
ものごとは思った通りにはいかないかもしれないということ

ものごとは君の思うようにはいかないかもしれない (拙訳)

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 人生は思うようにはいかない、なんてよく言いますが、100%うまくいかない時だけに使われるフレーズですよね。でも、確かに逆もあります。圧倒的にうまくいかないことの方が多いんでしょうけど、たまにうれしいこともあって、それもまったく思いもしなかったタイミングで訪れるものです。いや、サプライズだから、うれしいんですよね。
 悪いことでもいいことでも”自分が思い描いたようにはならない”というのが人生の唯一の真実、とはまさに僕も還暦にして(!)やっとわかるようになったことです。そんな”真実”を、さらっと見事なポップソングに仕上げた、ルイス・コールの才能には本当に感服します。人生の大半はうまくいかないことだらけだけど、絶望してやけになった後には思いがけないいいこともあるかも、と思わせてくれるそのバランスが本当にいいんですよね。
 
  彼はLA出身の超絶技巧のドラマー、マルチ・インストゥルメンタリスト。レコード会社に頼らず自分で配信リリースする人たちを”DIYアーティスト”なんて呼ぶことがありますが、彼の場合は曲作り、演奏、レコーディング、ミックス、そしてMV制作まで自分でやってしまうという真の”DIYアーティスト”なんですね。
 8歳でドラムを始め、ジェームス・ブラウンのベースライン集の本 と付属のCDでそういうグルーヴを自然に学んだことが彼の音楽の土台になったそうです。また彼の父親がジャズピアニストで一緒にジャムセッションをしたことが最大の学びだったとも語っています。そして、USCソーントン音楽学校のジャズ・スタディーズ・プログラムを卒業後、友人のジョン・コンテのすすめでYouTubeに動画をアップし始めると、その中の「bank account」という曲の動画を、ジョン・メイヤービョークSNSでシェアし一気に注目を集めます。

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 自分の銀行口座をチェックしたくない、チェックするのがすごく怖いという歌詞を、すごくファンキーに歌っていますね。本人はキーボードの練習を目的に作ったらしいので、それがバズって驚いたようです。

 ちなみに、彼の友人のジョン・コンテとは2013年に”Patreon”というクリエイター向けのクラウドファンディングのサイトを立ち上げる人物なのですが、当時彼はルイスにこうアドバイスしたといいます。

「すべての音楽をYouTubeにアップして、あとは気にするな」

 これ、まさに今の時代のアーティストたちに捧げたい言葉です。ルイスも気にしないようにしたそうです。今はYouTubeにプラスしてサブスクにもアップしたほうがいいですけど、あとは気にするな、というのが大事です。アーティストがYouTubeやサブスクで食っていこうとすると、再生数がものすごく気になるわけで、そうするとだんだん心が病んで、新しい創作にも間違いなく悪影響が出ますから。別に食い扶持を見つけて、ネットやSNSはなるべく楽しく回転させて行った方がいい、と思います。

 話が脱線してしまいましたが、今回ご紹介した「Things」はルイスがBrainfeederというレーベルと契約して出した3枚目のアルバム「Time」に収録されていました。

 このアルバムからの最初のシングルは、サウンドもMVも衝撃的に”おもしろかっこいい”「Weird Part of the Night 」でした。

youtu.be

このアルバムにはもう1曲、彼らしい曲があります。「When You're Ugly」

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We all live on planet earth and this is how it works

When you’re sexy, people wanna talk to you
When you’re ugly, no one wants to talk to you
When you’re ugly, there is something you can do, called
Fuck the world and be real cool

俺たちはみんな地球に住んでる

そしてこれがこの星の仕組み

セクシーなら 人は話しかけてくる
ブサイクなら 誰も話しかけてくれない
でもブサイクでも できることがひとつある
それは「世界なんてクソくらえ」って言って、クールになることさ

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 クソみたいな世界だとしても、なんか楽しんでやろうぜ、みたいな心意気を彼の歌詞から僕は感じます。

 彼は自身のパーソナリティについてこんな風に語っています。

「明るい気持ちと暗い気持ち、両方が好きなんだよね。どちらかに収まろうとしてるわけじゃなくて、自然とそうなる。曲によっては感情が合致することもあるけど、感情同士が戦ってる こともある。現実でも、気分のアップダウンが激しい んだ。すごく落ち込んでたかと思えば、急に明るくなったり。その感覚が自分にとって自然だから、音楽にも出るんだろうね」(Passion of The Weiss 2018/10/03/)

  またBrainfeederにはサンダーキャットも所属していて「Time」にゲスト参加していますが、逆に2020年リリースのサンダーキャットのアルバム「It Is What It Is」にはルイスがゲスト参加、その曲名はなんとI Love Louis Cole」というものでした。

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  サンダーキャットは本来ベースプレイヤーですから、ドラマーのルイスとのツーマンのライヴ映像もYouTubeで見ることができます。

 あと共演ということでは、ミニマル・ファンクバンド、Vulfpeck(ヴルフペック)が「Time」と同じ2018年にリリースしたアルバム「Hill Climber」に収録されていた「It Gets Funkier IV 」という曲でルイスがフィーチャーされ、高速ファンクを聴かせてくれています。

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  そんなわけで、僕はルイスにはとんがったドラマー、ビート・メイカーのイメージを持っていたので「Things」のような心の琴線に触れるようなポップ・チューンも作れることに驚きました。

 彼のインタビューを見てみると、マイケル・ジャクソンにも大きな影響を受けたそうですし、2011年に彼が自主制作したセカンドアルバム「Album2」には、こんな、ビーチボーイズというかブライアン・ウィルソン・スタイルが全開の曲が入っていました。

 古今東西実にいろんな音楽が彼の中に混在しているんですね。

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