おはようございます。
今日はKIRINJIの「再会」です。
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交差点の向こうに君を見つけて
思わず駆け寄った
季節はいくつ廻ったろう
馴染みの店も新しいスタイル
他愛ないことばかり
話は尽きない
並んだ料理も冷めてしまいそう
待ちわびていた
待ちわびていた
この日を
この時を求めてた
グラスをかかげ
肩を寄せあおうよ
嬉しくてみんな笑う
夜どおし歌い踊ろう
人熱れにクラクラ
背中と背中
揺れる君の体温
そんな夢を見た朝
ディスプレイの中の
その微笑みも 悪くはないけど
たまに会えてもなんだか
心はリミッターがかかったまま
あの頃にはもう戻れないのかも、でも
透明のパーティションで
愛までも遠ざけないで
待ちわびている
待ちわびている
その日を
その時を求めてる
All the things あらゆるものが恋しいよ
長いトンネルの先
誰だって望んでいるよ
その時を求めている
嘆きと怒り
諍いの向こうで
また会える日を
Let‘s meet again
作詞・作曲:堀込高樹
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いまのコロナ渦がはっきりと反映された歌ですね。
ただし、社会的な問題をストレートに告発するようなものでも、弱った心情に安易によりそった応援ソングでもなく、”普通に暮らしていながら、コロナによって心に確実に忍び入ってしまったもの”を見据えながら、ポジティヴな方向に目を向けようとする曲になっています。
肩を寄せ合って夜通し踊るというくだりは、夢だった、というオチも効いていますね。
社会全体を飲み込んでしまうな大きな出来事があった時、ソングライターとして、ポップ・ソングというかたちでそれをどう表現するか、ということに、KIRINJIは大変意識的なアーティストでした。
想像力をうまく働かせることができずに、ひたすら、希望とか、明日とか、あきらめないで、とかいう常套句にしがみつかざるをえなかった多くのソングライターたちを尻目に、彼らは独特のポップソングを作り出しました。
僕が印象強かったのは、東日本大震災の時に彼らがリリースした「新しい友だち」という曲で、被災地をやむなく離れなくてはいけなくなり転校した子供が主役の歌でした。
ポップ・ソングを作るということは、ただ作り手の心情やメッセージを語ることではなく、何らかの<世界>を作って提示する、ということなんだなあとこの曲を聴きながら僕は思いました。
それに比べると、今回の「再会」は作者本人の等身大の心情が結構ストレートに反映されているように思えます。そして、技巧的な”ヒネリ”を得意としてきた彼にしては、”夢オチ”はあるにせよ、ナチュラルな曲だという印象がありました。
キリンジは堀込高樹、泰行の二人ユニットだったのが、2013年に泰行が脱退したことを機に5人組バンド「KIRINJI」になり、そして、今年2021年「KIRINJI」は堀込高樹のソロ・プロジェクトになり、その第一弾がこの「再会」でした。
たぶん、ソロ・プロジェクトになったことで、曲の”等身大”感も意図的だったのかもしれません。
あと、この曲はサビのメロディが、KIRINJIの今までのレパートリーと比べても高揚感がすごくあるような気がします。
”ローリングストーン・ジャパン”のインタビュー(2021年4月14日)によると、この曲の作曲面で参考にしたのがビル・ウィザースの「Lovely Day」だったそうです。
「ビル・ウィザースの「Lovely Day」。今年の正月にずっと聴いていました。彼の曲はアガるというか、明るい気分になれる」
きっかけは、西友に買い物に行ったらかかっていたからなのだそうです。
(確かに何年か前から西友のBGMの選曲のセンスが良くなったんですよね、僕も西友でたまたま聴いた曲を「まいにちポップス」でとりあげたことが二回くらいあります(笑))」
「それで「Lovely Day」を聴いて、「ビル・ウィザースいいじゃん」となって、家に帰ってから同じ曲を何回も聴くという。そういうのは久々でしたね。「Lovely Day」と「再会」を聴き比べれば、ムードが近いことに気づいてもらえると思います。」
また、「再会」のテーマも、新宿で漫画家のしまおまほさんに偶然ばったり出会ったことがきかっけだったとインタビューで語っています。
何の根拠もないのですがこの話を聞いて僕は、”偶然に導かれる創作”というのは、これからの時代ますます大事になるように思えます。
”最初から決めてかかって”作るようなものは、世の中にまったくアピールしなくなるんじゃないか、そんな予感めいたものがあります。
何の根拠もないのですが(笑。
それでは最後はその「Lovely Day」を。
この「Lovely Day」についても「まいにちポップス」では掘り下げています。
僕の好きなキリンジの曲の一つ