おはようございます。
今日はトミー・ボイス&ボビー・ハートの「あの娘は今夜」です。
I Wonder What She's Doing Tonight?
If I had told her that I loved her
She would have stayed til who knows when,
but I guess she couldn't understand it
when I said I wanna be your friend,
because a friend would never doubt you
or ever put you uptight,
and now I wonder what she's doing tonight.
oh yes I wonder what she's doing tonight?
oh I wonder what she's doing to night?
We were so close but we should've been closer
and it's making me feel so sad
but I tell myself I didn't lose her
'cause you can't lose a friend you never had
because a friend won't say it's over
and got out just for spite.
and now I wonder what she's doing tonight,
oh yes I wonder what she's doing tonight?
oh I wonder what she's doing to night?
A friend will always be there
if you're wrong or if your right,
and now I wonder what she's doing tonight
oh yes I wonder what she's doing tonight?
oh I wonder what she's doing tonight?
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もしあの娘に愛しているって言ったなら
いつまでもここにいてくれただろうか
だけど、彼女には理解できなかったんだ
僕が君の友達になりたいと言ったとき
だって、友達は君を疑ったりしないものさ
君をがんじがらめにすることはあっても
それでいま、僕は思うんだ、
あの娘が今夜何しているんだろうって
そう、あの娘は今夜何しているんだろう
ああ、あの娘は今夜何しているんだろう
僕たちはとても近くにいたのだから
もっと親密になるべきだった
それが僕をひどく悲しくさせるんだ
だけど僕は 彼女を失ったわけじゃないと
自分に言い聞かせる
もともと友達じゃなかった人が
友達じゃなくなることはないんだから
だって、友達はもうおしまいなんて言わないものさ
ただ腹いせにいなくなるものだから
それでいま、僕は思うんだ、
あの娘が今夜何しているんだろうって
そう、あの娘は今夜何しているんだろう
ああ、あの娘は今夜何しているんだろう
友達っていつでもそこにいるもの
たとえ君が間違っていようと 正しかろうと
それでいま、僕は思うんだ、
あの娘が今夜何しているんだろうって
そう、あの娘は今夜何しているんだろう
ああ、あの娘は今夜何しているんだろう
(拙訳)
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イギリスからやって来たビートルズが全米チャートのTOP3を5週に渡って独占するという(そのうち1週はTOP5を独占)空前前後の大ブームを起こすのを見て、”アメリカ版ビートルズ”を作ってやろうと考えた人間がいました。
その人間は、スクリーン・ジェムズという映画・テレビ番組の制作をする会社の音楽部門であったことから、「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」をヒントにしたテレビ番組を作り、メンバーをオーディションで選ぶことになります。
そして、そこで選ばれたメンバーで結成されたのがモンキーズです。
シングルはデビューから2作連続、アルバムは4作連続して全米で1位を獲得、彼らは一気にアメリカきってのアイドル・グループになるわけです。
そのオーディションを受け落選したのが、このトミー・ボイスとボビー・ハートです。もともとボイスはソングライター志望で、ファッツ・ドミノやカーティス・リーに曲を書いています。ハートはシンガー志望でした。同い年の二人は1959年に出会い、ハートのシングルのギターをボイスが弾くなどしているうちにコンビを組むようになります。
1964年に二人が書いたジェイ&ジ・アメリカンズの「Come a Little Bit Closer」が全米3位の大ヒットを記録します。
同年彼らはポール・リヴィア&ザ・レイダースなどにも曲を書いています。
ソングライター・コンビとして勢いに乗って来たタイミングでモンキーズのオーディションを受け、有力候補にもなったのですがメンバーに選ばれませんでした。
そのジャッジを下したのが、スクリーン・ジェムズの音楽部門の責任者ドン・カーシュナーだと言われています。彼は以前にこのブログにも登場しましたが、キャロル・キングやバリー・マン、ニール・セダカなどが所属していたアルドン・ミュージックの共同経営者だった人で、アルドンをスクリーン・ジェムズに売り、彼はそこのトップになっていたのです。
ドンは彼らをメンバーではなく、裏方の音楽制作に任命します。そして、ボイスとハートは、TV番組「モンキーズ」の第1シーズンのほとんどのバックトラックを、作曲、プロデュース、録音しデビューアルバムを制作しました。
ボイスとハートはメンバーになるには少し年齢が上でしたし、ドンのよく知る作家たちが”モンキーズ”のプロジェクトに興味を示さなかったため、音楽能力のある彼らを使う必要があったのでしょう。また、彼らはアーティストではなく作家としてのほうが売れるとドンは考えたのかもしれません。
そしてボイス&ハートが手がけたモンキーズのデビュー曲「恋の終列車(Last Train to Clarksville)」が全米1位になります。
有名な「モンキーズのテーマ」も彼らの作品。
裏方をやっていても、やはりアーティストをやりたかったのでしょうか。同年トミー・ボイスは1966年にA&Mと契約しソロ・シングルを2枚リリースしています(ひとつはレオン・ラッセルがプロデュースした「サイモン・スミスと踊る熊」のカバー)。そして1967年にはボイス&ハートとしてA&Mと契約を結びます。
前後関係は確かではないですが、彼らはドンからモンキーズ用におさえたスタジオで自分たち用のレコーディングをしていたと言われ、モンキーズのプロデューサーの職をクビにされていました。
ボイス&ハートは1967年に「Out and About」でデビュー。これはもともと彼らがモンキーズのシングル用に書いて却下されたものでした。二人のヴァージョンは全米39位まであがっています。
そして、同年リリースのセカンド・アルバムからのシングルがこの「あの娘は今夜」。彼ら唯一のヒットで全米8位まであがっています。
その後、彼らはコンビを解散し、それぞれがソングライターとして活動していましたが、1975年モンキーズのメンバーだったミッキー・ドレンツ、デイヴィー・ジョーンズと彼らで、”ファースト・モンキーズ・リユニオン”というコンセプトでドレンツ、ジョーンズ、ボイス&ハート(法的にモンキーズという名前は使えなかったため)を結成、TVスペシャルも作られました。
モンキーズのメンバーになれなかったボイス&ハートの”怨念”が、時間をかけて実を結んだのかもしれません。
ボイス&ハート作で、ボビー・ハートがメインボーカルを取り、シングルにもなった
「I Love You (And I'm Glad That I Said It)」
I Love You (And I'm Glad That I Said It)
1976年には来日公演も行われ、モンキーズ・ナンバーをたっぷりやっています。
その音源は1981年に「コンサート・イン・ジャパン」として発売されました。ボイス&ハートも悔いはなかったことでしょう。
Dolenz, Jones, Boyce & Hart - Concert In Japan 1976