おはようございます。
今日はドナ・ルイスの「ラヴ・オールウェイズ」です。
Donna Lewis - I Love You Always Forever (Official Music Video)
全米チャートは9週連続2位だったそうで、1位にはずっとこの曲が居座っていました。これは仕方ないですかね、、
Los del Rio - Macarena (Original Video) [HD]
しかし、当時のアメリカのラジオのオンエア数はこの曲だけが100万回を超え、ぶっちぎりの1位、「マカレナ」の5倍以上のオンエア数だったようで、1990年代で最もラジオ出かかった曲のひとつで、彼女が所属していたアトランティック・レコード史上第3位のオンエア数なのだそうです。
ウェールズ最大の都市カーディフ出身の彼女は、父親がアマチュアのジャズ・ピアニストだったこともあり、幼いころからピアノを始め、十代ではクラシックの作曲を学んでいたそうです。そして1年教師をやった後、音楽でプロになるためにバーミンガムに引っ越し、カバー・バンドでヨーロッパを営業しながら、自宅で録音できる環境を整えデモを作っていたそうです。
そして、送ったデモテープにあった「ラヴ・オールウェイズ」を当時アトランティック・レコード社長のダグ・モリスが気に入り、彼女をニューヨークまで呼んで契約を結びます。
(ちなみに、このダグ・モリスはその後ユニバーサル・ミュージック、ソニー・ミュージックのCEO(最高責任者)も務めた超大物です)
そんな彼女のデビュー・ヒットにして唯一の超ポップ・チューンである「ラヴ・フォーエバー」を書くきっかけは、イギリスの作家H.E.ベイツが1952年に出した「ラヴ・フォー・リディア(Love For Lydia」という小説だったそうです。
リディアという少女が大人になってゆく物語で、イギリスでは1970年代にテレビ・ドラマになっています。
「作者は英国の田舎の光景を叙述的に美しく描いている。その雰囲気をこの曲の中にも生かしたかったの。このメロディーを考えたときは、初めて恋した夏のことを思い出しながら、その魔法のような素晴らしい瞬間を、ただシンプルに書きたいと思っていた。そして、本当に全部が一緒になって浮かんできたの」
古い小説の世界に入り込んで、いつもとは違うテンションでのソング・ライティングだったのかもしれません。
曲のタイトルも、最初は「リディア」だったそうです。
それから、この曲の肝になっている
”I Love You Always Forever、Near and Far Closer Together"
というコーラスの言葉はこの小説に出てくるものをそのまま使っています。
デビュー曲で大ヒットした彼女ですが、その後はヒット曲はなくメジャーの契約も終了し、典型的な”一発屋”の軌跡をたどっているようですが、それはある程度彼女自身が選んだことでもあったようです。
彼女はこの2年後のアルバムのリリース時にこんなことを語っています。
「”ラヴ・オールウェイズ”みたいなヒット曲を持っている人間が、考えてしまいがちな最大の過ちは”同じような曲を書かないといけない”と思ってしまうことよ。そんな風に考えちゃダメだと思う。あくまでも自分の心にあるものを歌にして、願わくば他の誰かにそれを気に入ってほしい、ということよ」
確かに彼女の歩みを追っていくと”ラヴ・オールウェイズ”みたいな曲はおろか、それっぽくトライしたと思われるような曲すらありません。
また十代のころの彼女に影響を与えたり、彼女がバンドでカバーしたアーティストとして、プリンス、リッキー・リー・ジョーンズ、ヴァン・モリソン、ケイト・ブッシュといった名前が挙がっていますから、本来彼女は”ポップ指向”ではなく”アーティスティックな人だったようです。
また自身の”ケルティック”のルーツを音楽に反映させいと語っていたこともありまりました。
彼女は最初のヒットで得たものを”元手”にして、自分が納得できる音楽活動を続けることを選んでいったかもしれません。
ちなみに彼女は今年新しい曲を発表しています。
Donna Lewis - Take it Down (inspired by the film 'Swallow')