まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ビー・マイ・ベイビー(Be My Baby)」ヴァネッサ・パラディ(1992)

 おはようございます。

 今日はヴァネッサ・パラディの「ビー・マイ・ベイビー」です。


Vanessa Paradis - Be My Baby

 

I saw you walk down the street with some other girl, yeah
Always thought that I was the only one in your world
Baby, can you tell me so
Out of sight, out of mind ain't what love ought to be, yeah
And I hoped all the time that you'd be faithful to me
You'd be faithful to me


All I'm asking you for when you walk out the door
Is to be my baby, baby
I just want to be sure that forever and more
You would be my baby

 

Love is just like a flower, baby, it has to grow, yeah
And when you are away I'm even loving you more
I just have to let you know
One-on-one is the way and that's the way it should be, yeah
So if you're not gonna stay, then don't be playing with me
You can set me free


All I'm asking you for when you walk out that door
Is to be my baby, baby
'Cause all this love is for you and you know that I'm true
And I'll be your baby
All I'm asking you for when you walk out that door
Is to be my baby, baby
'Cause you knew from the start that you were working my heart
Won't you be my baby


I remember our walk the other Saturday night, yeah
Sweet harmonies filled and floated through our minds
Never felt this way before
We were riding so high on love and understanding
So why go wasting your time when you have got such a find
That is everlasting

 

All I'm asking you for when you walk out that door
Is to be my baby, baby
I just want to be sure that forever and more
You would be my baby
All I'm asking you for when you walk out the door
Is to be my baby, baby
'Cause all this love is for you and you know that I'm true
And I'll be your baby


And I want you to love me, baby
Ooh Ooh Ooh-yeah, ooh-yeah, ooh-yeah
And I want you to love me, baby

 

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あなたが他の娘と一緒に通りを歩いているのを見たわ
いつもあなたの世界にいるのは私だけだと思ってた
ベイビー、私にそう言える?
見えなくなって、正気を失うなんて 愛のあるべき姿じゃないわ
いつだってあなたが私に忠実だと願っていた
忠実だったらいいのに

 

あなたがドアを出て行く時にお願いしたいのは、ただ
私のベイビーでいて
私はただ、いつまでもずっと、確信していたいの
あなたが私のベイビーだって

 

愛は花のようなもの、ベイビー、成長しなければならないの
あなたがいないとき、私はもっとあなたを愛おしくなる
あなたにはわかってほしくて
1対1の関係、それがそうあるべきやりかた
だから、あなたが一緒にいる気がないなら、私を弄ばないで
あなたは私を解放できる

 

あなたがドアを出て行く時にお願いしたいのは、ただ
私のベイビーでいて
だってこの愛は全部あなたのため、私が真剣だってあなたは知っている
私があなたのベイビーになるって

あなたがドアを出て行く時にお願いしたいのは、ただ
私のベイビーでいて
だって、あなたは最初からわかっていたわ、あなたが私の心を動かしたって
私のベイビーになってくれない?

 

この間の土曜の夜の散歩を思い出すわ
甘いハーモニーが、二人の心を満たして夢心地
こんな感じが初めてだった
私たちは愛と理解で高揚していた
なのに、せっかく永遠に続くものを見つけたのに、あなたはなぜ時間を無駄にするの

 

あなたがドアを出て行く時にお願いしたいのは、ただ
私のベイビーでいて
私はただ、いつまでもずっと、確信していたいの
あなたが私のベイビーだって

あなたがドアを出て行く時にお願いしたいのは、ただ
私のベイビーでいて
だってこの愛は全部あなたのため、私が真剣だってあなたは知っている
私があなたのベイビーになるって

 

あなたに愛してほしいの、ベイビー、、、         (拙訳)

 

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 長い間、彼女についてマスコミで取り上げられるのはほとんど、事実婚関係にあったジョニー・デップとのゴシップばかりでしたが、もう少しさかのぼって、約30年前、日本でも巷でよく耳にした大ヒット曲がこの「ビー・マイ・ベイビー」でした。

 

 フランスのパリ郊外にあるサン=モール=デ=フォッセ出身の彼女は、昨日このブログに登場したシャニース同様、幼い頃から芸能活動を始めています。

 レコード・プロデューサーだった叔父のサポートで7才から子供のシンガーを集めた地元のTV番組に出演していたそうです。

 そして1983年彼女が11才の時にレコード・デビューを果たします。 


Vanessa Paradis La magie des surprises parties

 オールディーズ、アメリカン・ポップス・スタイルの楽曲でした。残念ながらこの曲はヒットはしなかったようですが、1987年、彼女が14才の時に念願の大ヒット曲が生まれます。"Joe Le Taxi"という曲で「夢見るジョー」という邦題がつけられて日本でも発売されました。

 タクシー・ドライバーのジョー、のことを歌ったもので、

”彼の黄色い車はパリのいたるところ、小さなバーや危険な場所まで知っていて、車の中は彼の好きなルンバやマンボ調のロックがかかっている、行って、ジョー、走って、ジョー”

 そんな内容です。 大人びた、ちょっと”あぶない”方向にイメージを変えたんですね。
Vanessa Paradis - Joe Le Taxi

 フランスで11週連続1位、フランス語の曲なのにイギリスでも3位、スウェーデンノルウェーデンマーク、ベルギーなどでも軒並みトップ10入りしたそうです。

 14才の少女が歌うには相当大人びた歌だったからでしょう、2009年に彼女が歌っている映像がありますが、全く違和感がありません。

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  フランスでは、この「夢見るジョー」で彼女のイメージが確立されたのかもしれません。

 その次のアルバムではフランスを代表する”ワル”な色男、セルジュ・ゲンズブールを作詞家に迎えることで、彼女の”小悪魔”のイメージは完成します。

 

 フランスのチャートで22位、ゲンズブールが作詞したシングル「Tandem」

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 そして、彼女の次のステップは英語圏に進出することだったのでしょう。彼女をサポートしたのは、当時付き合っていたレニー・クラヴィッツ。ちょうどその時にリリースされたセカンド・アルバム「ママ・セッド」で、1960年代後半〜1970年代前半のロックのテイストを新鮮な感覚で表現する彼の才能が世界的に評判になっている時期でした。

  そして、ヴァネッサのアルバムの翌年には、レニーの代名詞でもある第ヒット曲「自由への疾走(Are You Gonna Go My Way)」をリリースするわけですから、彼のクリエイティヴィティがまさに最高潮だったタイミングに彼女がピタッとハマったわけですね。

 

 彼女は渡米し、レニーのホームグラウンドであるニュージャージー州ホーボーケンにあるスタジオでアルバム「Vanessa Paradi(邦題”ビー・マイ・ベイビー”)」は録音されました。

 そして、アルバムからのファースト・シングルがこの「ビー・マイ・ベイビー」で、全英6位、フランス5位などヨーロッパ各国で大ヒットしました。

 

 曲を書いたのはレニーと彼のいとこのジェリー・デヴォー。彼はレニーの「Heaven Help」を手がけたほか、カイリー・ミノーグチャカ・カーンにも曲を書いていて、レニー、ヴァネッサ人気にあやかって、90年代半ばに日本で自身のアルバムも二枚リリースしています。

 調べてみると、彼は今はファッションの仕事をメインに活動しているようです。

 

 ヴァネッサにとって英語の歌を歌うことはかなり大変だったようで、かなり練習もしたそうですが、結果アルバム「Vanessa Paradi(邦題”ビー・マイ・ベイビー”)」は

 今聴き直しても、本当によくできた、ちょっと他に類のないタイプの面白いアルバムだと思います。

 ちなみに、アルバムに入っていた「Lonely Rainbows」をレニー自身が歌ったデモがのちに発表されています。


Lonely Rainbows

 僕がこのアルバムの中で当時一番好きだったのはこの曲でした。 「Sunday Mondays」。最後にどうぞ。


Vanessa Paradis - Sunday Mondays

 

 

 

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