まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「よくあることサ(It's Not Unusual)」トム・ジョーンズ(1965)

 おはようございます。

 今日は21世紀に入って、日本でいくつかのCMに使われて再び脚光を浴びたこの曲です。


It's Not Unusual

   "誰かに愛されることはめずらしいことじゃない

 誰かと楽しむことだってめずらしくはない

 でも、君が誰かと一緒に歩いてるところを見たら

 僕が泣いたっておかしくない 死にたくなるよ” (拙訳)

 

 この曲はサンディ・ショーというイギリスの女性シンガーのために書かれたものでした。彼女は1964年にバート・バカラックの「(There's) Always Something There To Remind Me」(邦題は「恋のウェイトリフティング」!)で大ヒットを飛ばしたばかりでした。


Sandie Shaw - Always Something There To Remind Me (1964)

 しかし、この曲のデモを聴いた彼女は”誰が歌っているにしろ、この曲はこの歌手のものよ”と言って断ったのだそうです。それだけこの曲と歌手は見事にハマっていたんですね。

   *ちなみに、デモの歌が良過ぎて歌手が歌うのを拒んでしまったということは、日本でも”Unusual”ではありません。なので、今デモ音源を歌ってもらうときには上手すぎず、個性が強過ぎない人に依頼するのが”Usual”になっています。

 さて、このデモを歌っていたのがトム・ジョーンズです。

 ウェールズ出身の彼はトミー・スコット&セネターズというグループで歌っていたところをマネージャーのゴードン・ミルズに見出され、ウェールズからロンドンに移ります。

 彼の本名がトーマス・ジョン・ウッドワードだったことと、当時有名な小説を映画化した「トム・ジョーンズの華麗な冒険」が大ヒットしていたことから、芸名を”トム・ジョーンズ”にしました。

 そして二枚目のシングルがこの「よくあることサ」で、全英1位、全米10位の大ヒットになり、彼は一躍スターになります。

 この曲は、レス・リードとマネージャーのゴードン・ミルズの共作。ゴードンは作詞作曲もできました。アレンジはレス・リード。

 

 ちなみに、この曲のレコーディングにレッド・ツェッペリンジミー・ペイジが参加していたと言われていて、彼のWEBのセッションの一覧にも掲載されているのですが、レス・リードはそれを否定しているので真偽は定かではありません。

 しかし、このレコーディングには、別の超大物が参加していました。まだデビュー前のエルトン・ジョンです。

 トム・ジョーンズの使っていたキーボーディストが参加できなくなり、ドラマーのクリス・スレイド(1970年代にマンフレッド・マンズ・アース・バンドのメンバーになる人)が慌てて、隣のコーヒーショップにいたエルトンを口説いて参加させたと言われています。

 その後トム・ジョーンズはヒットを連発し、ショービジネスの超大物として君臨することになります。

 ちなみに、僕の子供の頃の記憶では、当時日本で一番流行っていた彼の曲はこれだと思います。日本の歌手がTVでトムのモノマネで歌っていたくらいですから、知名度は高かったのだと思います。


Tom Jones - Love Me Tonight

 田原俊彦の「抱きしめてTONGHT」はこの曲の歌謡ユーロビート版と捉えていいでしょうね。

 1970年代以降彼はヒット曲には恵まれなくなりますが、唯一無二の”パワフルなボーカル”は度々再評価されることになります。

 1988年、プリンスの「Kiss」をアート・オブ・ノイズと一緒にやっています。


Tom Jones and Art Of Noise - Kiss (Official Video)

 そして日本でも大ヒットした1994年の「恋はメキメキ(If I Only Knew)」


Tom Jones - If I Only Knew

 

 日本にも、尾崎紀世彦とか松崎しげるとか、男っぽいパワフルなシンガーはいましたけど、もう若い人からはそう言う人は出てきてませんね。みんなキーが高くてナイーヴです。

 トム・ジョーンズみたいな人は”絶滅種”かもしれないですね。

 

It's Not Unusual

It's Not Unusual

  • 発売日: 2017/02/28
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

グレイテスト・ヒッツ

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