まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「あなただけを(Somebody To Love)」ジェファーソン・エアプレイン(1967)

 おはようございます。

 今日はジェファーソン・エアプレイン。

 昨日登場したフリートウッド・マックは時代によって全く別のバンドのようですが、それ以上のギャップがあるのが彼ら。

 また、女性ボーカリストの加入がきっかけでブレイクしたところも似ているかもしれません。


ジェファーソン・エアプレイン あなただけを Jefferson Airplane Somebody To Love

  ジェファーソン・エアプレインはマーティ・バリンとポール・カントナーを中心にサンフランシスコで結成されたバンドです。1966年にメジャーデビューしています。

 LSDなどのドラッグで覚醒した感覚を、ロックで表現する”サイケデリック・ロック”を代表するバンドとされています。

 このバンドのライヴに感銘を受けてバンドを始めた女性がグレイス・スリック。旦那のジェリー・スリック、義弟のダービー・スリックなどとともに”ザ・グレイト・ソサエティ”というバンドを組みます。

 そして、そのバンドのレパートリーだったのがこの「あなただけを」でした。当時はシングルのB面としてリリース。

義弟のギタリスト、ダービー・スリックが作った曲です。

 


The Great Society — Someone to Love

 ジェファーソンのヴァージョンだけ聴くと、ヒットしたのは曲の力だと思ってしまいますが、オリジナルと比較してみると、アレンジが本当に大事だと思い知らされます。

 

 さて、プロフィールを続けます。

 当初ジェファーソン・エアプレインにはシグニー・トリー・アンダーソンというかなり迫力のある女性シンガーがいたのですが彼女が辞めることになり、メンバーがグレイスをバンドに誘います。

 そして、グレイスはジェファーソンのメンバーになり、「あなただけを」と自作の「ホワイト・ラビット」という曲を持っていきます。そして、新たにレコーディングし発売したところ2曲ともバンドの顔となるような大ヒットになります。

 元々、彼女自身が敬愛していたバンドですので、売れたからって自分が主役になろうとは思わなかったのでしょうし、創設メンバーのプライドもあったのでしょう。その後も、彼女は完全にバンドのフロントマンになったわけではありませんでした。

 しかし、この2曲のヒットは彼女は60年代後半という激動の時代を象徴するような”時代のアイコン”にまでなりました(ちなみに当時彼女は既婚で20代後半でした)。

 

 この当時僕はまだ幼児だったので、リアルタイムで彼女がどういう風に受け止められていたかはよくわかりません。

 僕が彼女の名前を強く認識したきっかけは、ユーミンの「グレイス・スリックの肖像」(1981)という曲でした。

 「彼女の長い髪と 激しい歌が好きでした」

 1960年代後半という時代を象徴し、強く憧れた存在として、ユーミンが名前を挙げるほどの人なんだなあ、とこの曲を聴いて思いました。


Yumi Matsutoya - グレイス・スリックの肖像 (1981) [Japanese Soft-Rock/Artpop]

Somebody To Love (Pop #5/Chart Debut: 4/1/67)

Somebody To Love (Pop #5/Chart Debut: 4/1/67)

 

 

グレイス・スリックの肖像

グレイス・スリックの肖像