まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「オウン・ウェイ(Go Your Own Way)」フリートウッド・マック(1977)

 おはようございます。

 今日もフリートウッド・マック。「オウン・ウェイ」を。

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Loving you isn't the right thing to do
How can I ever change things that I feel?
If I could, maybe I'd give you my world
How can I when you won't take it from me?


You can go your own way, go your own way
You can call it another lonely day
You can go your own way, go your own way


Tell me why everything turned around
Packing up, shacking up's all you wanna do
If I could, baby, I'd give you my world
Open up, everything's waiting for you


You can go your own way, go your own way
You can call it another lonely day
You can go your own way, go your own way


You can go your own way, go your own way
You can call it another lonely day, another lonely day
You can go your own way, go your own way
You can call it another lonely day

 

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君を愛しちゃいけないんだ
どうすればこんな気持ちを変えられるの?
できることなら、君に僕の世界をあげたいよ
君が奪ってくれないなら、僕はどうしたらいい?


君は自分の道を行けばいい、自分の道を行けばいい
君はそれをまた別な孤独な日と呼んでもいい
君は自分の道を行けばいい、自分の道を行けばいい


なぜ、すべて空回りしたのか教えてほしい
荷造りして一緒に住むことだけが君の望むこと
できることなら、ベイビー、僕の世界を君にあげたいんだ
心を開いて、すべてが君を待っている

 

君は自分の道を行けばいい、自分の道を行けばいい
君はそれをまた別な孤独な日と呼んでもいい
君は自分の道を行けばいい、自分の道を行けばいい

 

君は自分の道を行けばいい、自分の道を行けばいい
君はそれをまた別な孤独な日と呼んでもいい

               (拙訳)

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 昨日はクリスティン・マクヴィを中心に書きましたが、今日はリンジー・バッキンガムスティーヴィー・ニックスが主役です。

 この「オウン・ウェイ」はリンジー・バッキンガムの作品。

 

 リンジースティーヴィー・ニックスは高校時代に音楽活動を始め恋人同士にもなります。そして、”バッキンガム-ニックス”というデュオを結成。メジャー・デビューを果たしますが、ヒットはしませんでした。

 しかし、彼らのアルバムのプロデューサーだったキース・オールセンがミック・フリードウッドに聴かせたところ、彼はリンジーのギター・プレイ、特に「Frozen Love」という曲を気に入リます。


Buckingham Nicks - ''Frozen Love''

  ミックはリンジーにバンドに入らないかと誘うと、スティーヴィーと一緒なら、と答えたそうです。彼らはフリートウッド・マックに参加(キースもプロデューサーとして加わります)、そしていきなりアルバム「ファンタスティック・マック」がロングセラー・ヒットになります。

 

 また、「バッキンガム-ニックス」のアルバムを聴いて気に入ったアーティストは他にもいました。ウォルター・イーガンというシンガー・ソングライターです。自分のプロデューサーを探していたところに、知り合いのエンジニアから「バッキンガム-ニックス」の音を聴かされ気に入った彼は、二人にプロデュースを依頼します。

 

 当時フリートウッド・マックが大ブレイクする直前のタイミングで、彼らはまだ”バッキンガム-ニックス”も並行して活動しようと思っていたので、二人でプロデュースすることを受諾します。

 しかし、その頃から、リンジーとスティーヴィーの関係に亀裂が入り始め、スタジオでウォルターが仲介するような場面も多々あったようです。そして、ウォルターはスティーヴィーに恋をするようになり、デートすることもあったようです。

 

 そしてウォルターはスティーヴィーへの気持ちを曲にします。それが「マグネット・アンド・スティール」。磁石と鉄のように心が引き付け合う、というダイレクトな歌詞でした。

 リンジーとスティーヴィーの関係はどんどん悪くなったので、プロデュースはリンジーがやるようになったのですが、スティーヴィーはコーラスでは参加し、結果としてこの曲は全米8位の大ヒットになります。


Walter Egan - Magnet and Steel

 ウォルターはリンジーをこう評しています。

「レコードを特別なものにしてくれる、手直しの達人だ」

                                                           (「ヨット・ロック」)

 

  彼には独特のアレンジの才があったようで、「オウン・ウェイ」ドラミングは、リンジーが「ストリート・ファイティング・マン」のドラミングをイメージして、ミックに手振り身振りで指示したものだそうで、ライヴを見たジェフ・ポーカロも感嘆したというエピソードがあるそうです。

 

 さて、”君を愛することは正しいことじゃない”という辛辣な言葉で始まるこの歌は、このとき亀裂が入っていたスティーヴィーに向かって作られた歌でした。

 スティーヴィーも同じアルバム「噂」の収録曲で、彼への気持ちを歌にしています。


Fleetwood Mac - Dreams (Official Music Video)

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ほら、また始まった 俺は自由が欲しいんだって 
ねえ、あなたを抑えつけているという私って何なの?
あなたが感じるままに演奏すればいいそれだけ
だけど、あなたの孤独の音に注意深く耳を傾けてね


心臓の鼓動があなたをおかしくするように
自分が持っていたものを思い出す時の静けさの中で
あなたが失ったもの
あなたが持っていたもの
あなたが失ったもの


ああ、雷が鳴るのは雨が降っているときだけ
演奏者たちは演奏しているときだけあなたを愛してくれる
女たちは、やって来て、去って行くもの
雨があなたをきれいに洗うとき、あなたは知るの
あなたは知るの、、

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Now here you go again, you say you want your freedom
Well, who am I to keep you down?
It's only right that you should play the way you feel it
But listen carefully to the sound of your loneliness


Like a heartbeat drives you mad
In the stillness of remembering what you had
And what you lost
And what you had
And what you lost


Oh, thunder only happens when it's raining
Players only love you when they're playing
Say, women, they will come and they will go
When the rain washes you clean, you'll know
You'll know

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 スティーヴィーは、

 リンジーの歌詞は腹を立てているだけだけど

 私のは哲学的なのよ、

 とあるインタビューで語っています。

 しかし、クリスティン・マクヴィーによると、最初この曲を彼女が弾き語ってくれたときは、他のメンバーは単調な曲でいいとは思わなかったらしいですが、リンジーがアレンジを加えると俄然素晴らしくなった、と語っています。

 

 しかし「オウン・ウェイ」と「ドリームス」の映像を見て思うのは、リンジーとスティーヴィーがお互いのことを悪く入っている曲にそれぞれ相手がコーラスを入れて演奏しているんですよね。

 メンバー5人のうち2組のカップルの両方が別れていて、残る一人(ミック・フリートウッド)も同じ相手(有名モデルだったジェニー・ボイド)との2度目の離婚をした状況で、一つの家を借りてレコーディングをして作ったのが「噂」でした。

 ”大人版テラスハウス”なんていうなまやさしいものじゃないでしょう。

 ミックは”呪われた館のようだった”と回想していましたし、クリスティンはドラッグ、アルコール、大麻などあらゆる手段を借りていたと言っています。

 音楽史上類のない特殊な環境で作られているんですね。そしていくつかの収録曲は、バンド・メンバーがお互いのことを歌い合っているという、、。

 

 例えば、昨日紹介しました「ドント・ストップ」はクリスティンからジョンへ、そして「オウン・ウェイ」と「ドリームス」はリンジーとスティーヴィーがお互いに対して、あと「オー・ダディ」という曲は二人の子供がいながら離婚してしまったミックに対してクリスティンが書いた歌なのだそうです。

 

 その後、このバンドは解散したり再結成したりと紆余曲折あったのですが、2017年にはなんとリンジーとクリスティンがデュオ・アルバムをリリースしています。

 リンジーが書いたシングル曲「In My World」が、心なしか「ドリームス」を思わせる曲調で、なんかちょっと怖くなったのは僕だけでしょうか、、。


Lindsey Buckingham and Christine McVie - In My World (Official Audio)

 

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