まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「クリスマス・リスト(Grown-Up Christmas List)」ナタリー・コール&デヴィッド・フォスター(1990)

 おはようございます。

 今日は、21世紀に入ってからゆっくりとクリスマスのスタンダードになっていった曲、「クリスマス・リスト(Grown-Up Christmas List)」です。

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Do you remember me?
I sat upon your knee
I wrote to you
With childhood fantasies

Well, I'm all grown-up now
Can you still help somehow?
I'm not a child
But my heart still can dream

So here's my lifelong wish
My grown-up Christmas list
Not for myself
But for a world in need


No more lives torn apart
That wars would never start
And time would heal all hearts
Every man would have a friend
That right would always win
And love would never end
This is my grown-up Christmas list

 

What is this illusion called?
The innocence of youth?
Maybe only in our blind belief
Can we ever find the truth

 

No more lives torn apart
That wars would never start
And time would heal all hearts
Every man would have a friend
That right would always win
And love would never end
This is my grown-up Christmas list

This is my only lifelong wish
This is my grown-up Christmas list

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私を覚えていますか?
あなたの膝の上に座っていた私を
私はあなたに手紙を書いたわ
子供の頃の空想をこめて

 

私はもう大人になったけど
今も私を助けてもらえますか?
私は子供ではありません
でも、私の心はまだ夢を見ることができるの

 

だから、私の一生の願いです
大人になった私のクリスマスリスト
自分のためではなく
困っている世界のために


もう、引き裂かれる命がないように
戦争が始まらないように
そして、時がすべての心を癒してくれるように
全ての人に友だちができるように
正しいものがいつも勝つように
そして、愛が決して終わらないように
これが大人になった私のクリスマスリスト

 

この幻想をなんと呼べばいいの
若さゆえの無邪気さ?
私たちの盲目的な信仰の中だけのこと
私たちは真実を見つけることができるの

 

もう、引き裂かれる命がないように
戦争が始まらないように
そして、時がすべての心を癒してくれるように
全ての人に友だちができるように
正しいものがいつも勝つように
そして、愛が決して終わらないように
これが大人になった私のクリスマスリスト

 

これが私のたったひとつの一生の願いです
これが大人になった私のクリスマスリスト          (拙訳)

 

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「クリスマス・リスト」楽譜はこちら

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 山下達郎の「クリスマス・イヴ」やワム!の「ラスト・クリスマス」などもそうですが、クリスマス・ソングというのはある程度の時間が経過してからスタンダードになってゆく、どうやらそういうパターンが多いみたいですね。

 この曲も、派手ではないですが、じわじわとカバーが増えていき、日本でも平原綾香などもカバーするようになりました。もはやスタンダードと呼んでもいいでしょう。

 作曲したのは大プロデューサー、デヴィッド・フォスター。 作曲家としても大ヒットをいくつも書いていますが、この曲はメロディ・メイカーとしての彼の個性が存分に発揮されたものでもあると僕は思います。

 

 「クリスマス・リスト」が発表されたのは1990年、様々なゲスト・ボーカルを迎えて制作された彼のソロ・アルバム「RIVER OF LOVE」の中の1曲として収録されていました。

 ただし、最初にお披露目されたのはその前の年のTV番組「A David Foster Christmas Card」の中でした。

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 歌っているのはナタリー・コール。この曲の1年後、彼女は亡くなった父親のナット・キング・コールと”バーチャル”でデュエットした「アンフォゲッタブル」がグラミーを獲得するほどの大ヒットになりましたが、そのプロデュースをしたのがデヴィッドでした。

 

  その後、 この曲は1992年にエイミー・グラントがカバーしたことで知名度を広げますが、1990年代ではまだこの曲は地味な存在だったと言ってもいいでしょう。

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 ちなみに、エイミー・グラントは2番のAメロのパートを新たに付け足しています。

 

As children we believe
The grandest sight to see
Was something lovely wrapped beneath the tree
But Heaven only knows
That packages and bows
Can never heal a hurting human soul

 

子供の頃、私たちは信じていた
最も壮大な光景は
ツリーの下に置かれた素敵にラッピングされたものだって
だけど、神様だけは知っている
パッケージやリボンでは
傷ついた人間の魂を決して癒すことはできないと   (拙訳)

 

 以降、たくさんのカバーが生まれますが、2番のAがあるものとないもの、どちらかに偏ることなく結構ふたつに別れているようです。

 僕が好きなのは、渋いんですけど、BJトーマス。「雨にぬれても」の人ですね。リリースは1997年。この曲のカバーの中ではかなり早いほうです。こちらは2Aありヴァージョンです。


B.J. Thomas - Grown-Up Christmas List

 21世紀に入ると、この曲のカバーはどんどん増えていきます。アレサ・フランクリンバーブラ・ストライサンドマイケル・ブーブレケリー・クラークソンなど超大物や人気者が取り上げていて、あるサイトでは200近いカバーがあるとされています。

 

 クリスマスは1年の中でも、平和を願うに最も適したタイミングであるのは間違いありません。そして、特に悲劇的な出来事や不穏な事件が尽きない今の世界では、この曲の歌詞はいっそう切実に響くようになっているのかもしれません。

 

 歌詞を書いたのはリンダ・トンプソン。1991年から2001年までデヴィッド・フォスターと婚姻関係にありましたが、その以前から二人はすでにプライベートでもパートナーだったようです。

 フォスターとトンプソンが共作した曲で有名なものはこれでしょう。

 

映画「ボディガード」からホイットニー・ヒューストン「アイ・ハヴ・ナッシング」

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 最後に、新しめのカバーの中から、ペンタトニックスのものを。ゲストはケリー・クラークソン。しかし、この人、クリスマス企画にちょくちょく顔出しますね。


[Yule Log Audio] Grown Up Christmas List ft. Kelly Clarkson - Pentatonix

 

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