まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「恋のひとこと(Something stupid)」フランク・シナトラ&ナンシー・シナトラ(1967)

 おはようございます。

 昨日に続いてデュエット曲を。でも、親子なんです。フランク・シナトラナンシー・シナトラで「恋のひとこと」です。


Frank & Nancy Sinatra ~ Something Stupid (1967)

 

I know I stand in line until you think you have the time to spend an evening with me
And if we go someplace to dance,

I know that there's a chance you won't be leaving with me
Then afterward we drop into a quiet little place and have a drink or two
And then I go and spoil it all by saying somethin' stupid like, "I love you"


I can see it in your eyes, that you despise the same old lies you heard the night before
And though it's just a line to you, for me it's true, and never seemed so right before

 

I practice every day to find some clever lines to say to make the meaning come true
But then I think I'll wait until the evening gets late, and I'm alone with you
The time is right, your perfume fills my head,

the stars get red, and, oh, the night's so blue
And then I go and spoil it all by saying somethin' stupid like, "I love you"


The time is right, your perfume fills my head,

the stars get red, and, oh, the night's so blue
And then I go and spoil it all by saying somethin' stupid like, "I love you"


"I love you",,,,

 

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僕は列に並んで待つのだろう
君が僕と一緒に夜を過ごそうと思うまで
そして、もし僕たちがどこかに踊りに行くなら
君は僕を残して帰らないはずさ
その後、静かな店に寄って一杯か二杯飲むんだ
そこで僕は台無しにしてしまうのさ
バカなこと言ってしまって、I Love You、なんてね

 

君の瞳を見ればわかるさ、昨夜のような、聞き慣れた嘘にはもううんざりだってね
だけど、君にはただのセリフでも、僕には真実さ、
今までこんなにしっくりしたことはないくらいに

 

僕は毎日練習してるのさ
気持ちが伝わるような、何か気の利いたセリフを探すために
だけど、夜が更けて君と二人きりになるまで僕は待つのさ

その時になって 君の香りで頭がいっぱいで

星は赤くなり、ああ、夜はあまりにブルー

そして、僕は台無しにしてしまうのさ
バカげたことを言ってしまって、I Love You、なんてね

 

その時になって 君の香りで頭がいっぱいで

星は赤くなり、ああ、夜はあまりにブルー

そして、僕は台無しにしてしまうのさ
バカげたことを言ってしまって、I Love You、なんてね

 

I Love You、、I Love You、、              (拙訳)

 

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 昨日取り上げた「Baby,It's Cold Outside」を書いたフランク・レッサーが音楽を担当した映画「野郎どもと女たち(Guys And Dolls)」にも出演していたフランク・シナトラと、彼の娘のナンシー・シナトラ、親子でデュエットした大ヒットしました。

 フランク・シナトラアメリ音楽史上最大の大物よいっていいほどのアーティストですが、ナンシーは彼の最初の奥さん(彼女もナンシーといいます)との間に生まれた、初めての子供でした。可愛かったのでしょう、彼女の誕生に合わせて「ナンシー(Nancy (with the Laughing Face))」という歌まで発表したほどです。

 学校で音楽やダンスを学んでいた彼女にチャンスを与えたのもフランクでした。自身のTVショーに出演させ、自分が持つレーベル(リプリーズ)で彼女を歌手として契約しました。

    彼女の二枚目のシングル「Like I Do」はアメリカでは売れませんでしたが、イタリアでヒット、そして日本でもヒットします。「レモンのキッス」という邦題がつけられ、ザ・ピーナッツがカバーしました。


LIKE I DO

 アメリカではパッとしなかった彼女でしたが、フランクがリー・ヘイズルウッドというシンガー・ソング・ライターと組ませたことから状況は変わります。二人の組み合わせで数多くの曲をチャートに送り込みました。

 代表的なのがこの2曲。「にくい貴方」(1965年全米、全英1位)、「シュガー・タウンは恋の町(1966年全米5位)」。


Nancy Sinatra - These Boots Are Made for Walkin'


NANCY SINATRA - Sugar Town 1967

  あるとき、フランクはナンシーに合いそうな曲を知り合いから教えてもらいます。それがこの「Something Stupid」。カーソン&ゲイルという夫婦デュオが発表したものでした。曲を書いたのはカーソン・パークス。旦那さんの方です。ちなみに、ビーチ・ボーイズの作品にも関わったヴァン・ダイク・パークスのお兄さん、なんですね。 


the original "Something Stupid" Carson & Gaile

 (*ちなみにこの曲の入ったカーソン&ゲイルのアルバム昨年日本でCD化されています)

 フランクがヘイズルウッドに聴かせたところ彼も気に入り、フランクがディエットしないなら自分が歌うと申し出たそうで(ナンシーとヘイズルウッドは数多くデュエットしています)、そう言われたフランクは、いや俺たち(親子)で歌うからスタジオをおさえてくれ、と答えたそうです。

 

 アレンジはビリー・ストレンジ。ビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」にも関わっている人ですね。ドラムスはポピュラー・ミュージック史に名を残す名ドラマー、ハル・ブレイン

 そして、ギターは、シンガーとしても多くの大ヒット曲を持つグレン・キャンベル。ただし、フランクがカーソン&ゲイルのヴァージョンと同じフレーズを求めた箇所があったらしく、そこはオリジナルを演奏していたアル・ケイシーが弾いているそうです。

 確かにこの曲の影の主役はギターです。多くのカバー・ヴァージョンは、このギターのイントロのフレーズもそのまま再現しています。このイントロが重要な”ツカミ”になっているんですね。

 

 そして、この曲はアメリ音楽史上初めて1位になった、父娘デュエット・ソングになりました。

 近年ではロビー・ウォリアムスとニーコール・キッドマン、マイケル・ブーブレリース・ウィザースプーンという、なぜか”男性シンガーと女優”という組合せでカバーしています。

 

 さて、今回僕がこの曲を取り上げた大きな理由は、日本のポップスの二大巨頭、細野晴臣大瀧詠一がともにカバーして歌っているからです。

 大瀧は竹内まりやと、細野はアン・サリーとデュエットしています。

 はっぴいえんど以降、遠く離れた道筋をたどった二人が同じ曲を歌う、というのは何か感慨深いものがあります。しかも細野が発表した年の年末に、大瀧は亡くなってしまいます。細野がこの曲を取り上げたのは、大瀧に対して何かメッセージを伝えたかったのか?などと深読みしたくもなりますが、素晴らしい仕上がりのこの2つのヴァージョンを、聴けるだけでもほんとうに幸せな気分になれます。

 


www.youtube.com


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Start Walkin' 1965-1976

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