おはようございます。
今日はアメリカのポール・マッカートニー(?)にして、マルチ・プレイヤーでレコーディング・エンジニアもこなすアーティスト、エミット・ローズです。
マルチプレイヤーでエンジニアもやるというと、トッド・ラングレンが思い浮かびますが、彼は同年代(トッドが2歳上)です。
彼はビートルズやザ・バーズに影響を受けて”ザ・メリーゴーラウンド”というグループを結成、A&Mレコードから一枚アルバムをリリースしています。
しかし、バンドは成功せず解散。エミットは両親のガレージにレコーディング機材を持ち込み、すべての楽器を自分で演奏するかたちでレコーディングを始めます。
そして、完成したアルバムがレコード会社の目にとまり、リリースされることになります。日本では「エミット・ローズの限りない世界」という邦題がつけられました。
僕がこのアルバムを知ったのは、1990年代。隠れた名盤を発掘する動きが盛んな時代で、このアルバムも何かで紹介されているのを知って再発盤を買い求めました。
聴いてみると、確かにポール・マッカートニーっぽい。でも、ポールのようなつかみどころのない天衣無縫な天才性こそはないですが、そのかわりすべての曲が瑞々しく、ナイーヴで、すごく気に入りました。
このアルバムは全米29位、シングル「恋はひな菊」が54位とまあまあのヒットを記録しましたが、その後リリースされたアルバムは売れず、1973年を最後に彼の作品はリリースされていませんでした。
しかし2016年に43年ぶり(!!)のアルバム「RAINBOW ENDS」がリリース。甘いルックスのイケメンだった彼も、髪も髭も真っ白なじいさんになって(ジャケ写の表情が何とも言えない)、作風もぐっと渋くなっていましたが、節々に彼らしい瑞々しいメロディーラインが堪能できる感動的な作品でした。
それにしても、自宅でひとりで多重録音して作品を作るというのは、今では主流のようになっていますが、1970年当時はものすごくレアだったはずです。
エミット・ローズの若き日の作品は、今の時代の音楽と質感こそは違いますが、一人の情熱とセンスを集中させて手作りで作品を作り上げてゆくという空気感になにか相通ずるものを感じます。
(もちろん、テクノロジーが全然違いますから、エミットのほうが何十倍も大変だったと思いますからが)
せっせと自宅録音にいそしんでいる若いクリエイターたちにも一度聴いてほしい作品だと僕は思います。
Emitt Rhodes - Fresh As A Daisy
せっかくなのでもう1曲。
Emitt Rhodes - With My Face On The Floor
う~ん、調子に乗ってもう1曲!
Emitt Rhodes - Somebody Made For Me
The Emitt Rhodes Recordings (1969-1973)
- アーティスト: エミット・ローズ
- 出版社/メーカー: Geffen
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