まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「誰かが彼女を見つめてる(Somebody's Baby)」ジャクソン・ブラウン(1982)

 おはようございます。

 今日はジャクソン・ブラウンの「誰かが彼女を見つめてる」です。


Jackson Browne - Somebody's Baby (Fast Times At Ridgemont High) (1982)

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Well, just, a look at that girl with the lights comin' up in her eyes.
She's got to be somebody's baby.
She must be somebody's baby.
All the guys on the corner stand back and let her walk on by.

She's got to be somebody's baby.
She must be somebody's baby.
She's got to be somebody's baby.
She's so fine.

She's probably somebody's only light.
Gonna shine tonight.
Yeah, she's probably somebody's baby, all right.

I heard her talkin' with her friend when she thought nobody else was around.
She said she's got to be somebody's baby; she must be somebody's baby.
Cause when the cars and the signs and the street lights light up the town,

She's got to be somebody's baby;
She must be somebody's baby;
She's got to be somebody's baby.
She's so

She's gonna be somebody's only light.
Gonna shine tonight.
Yeah, she's gonna be somebody's baby tonight.

I try to shut my eyes, but I can't get her outta my sight.
I know I'm gonna know her, but I gotta get over my fright.
We'll, I'm just gonna walk up to her.
I'm gonna talk to her tonight.

Yeah, she's gonna be somebody's only light.
Gonna shine tonight.
Yeah, she's gonna be somebody's baby tonight.
Gonna shine tonight, make her mine tonight.

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なあ、あの娘を見てごらんよ 瞳がキラキラしてさ

誰か彼氏がいるに違いない

きっと誰かの彼女さ

彼女が歩いていけるように

ヤツらはみんな後ろに下がっているよ

 

誰か彼氏がいるに違いない

きっと誰かの彼女さ

誰かの彼女に違いない

彼女は最高

 

彼女はたぶん、誰かのたったひとつの希望の光

今夜輝くのさ

ああ、彼女はたぶん誰かの彼女さ、そうなんだ

 

彼女がまわりに他に誰もいないと思って

友達としゃべっているのを聞いたんだ

彼女は言ってたよ 誰かの彼女にならなきゃ 誰かと付き合わなきゃ

それは、車やネオンの光や街灯が街を照らす時には、、、

誰かの彼女にならなきゃ 誰かと付き合わなきゃ

誰かの彼女にならなきゃ 

彼女はすごく、

 

彼女は誰かのたったひとつの希望の光になるんだ

今夜輝くのさ

ああ、彼女はたぶん誰かの彼女になるのさ、今夜

 

目を閉じようとしたけど 彼女の姿は消せないんだ

彼女のことを知りたい、だけどこの恐怖を乗り越えなくちゃ

彼女のもとに歩いていって 話しかけるよ 今夜

ああ、彼女は誰かのたったひとつの希望の光になるんだ

今夜輝くのさ

ああ、彼女はたぶん誰かの彼女になるのさ、今夜

今夜輝くのさ、彼女を僕のものにするのさ、今夜     (拙訳)

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 ジャクソン・ブラウンは1970年代から現在に至るまで活動を続けている、アメリカを代表するシンガー・ソングライターです。

 浜田省吾尾崎豊など日本のアーティストにも人気が高く、浜田省吾のバンド名「THE FUSE」や事務所の名義「ロード&ザ・スカイ」は、ジャクソンブラウンの曲名からとられたことはファンにはよく知られています。

 青年期の若者の心情を描いた内省的で深みのある曲や、政治的なメッセージを含んだ作風で知られていますが、彼自身が”臆面ないほどのポップソング”と自ら評しているのがこの「誰かが彼女を見つめている」です。

 

 この曲は映画「初体験リッジモンドハイ」のために書かれたものでした。共作は、ダニー・コーチマー。彼は70年代のアメリカ西海岸を代表する名ギタリストです。

 

 映画の原作者で脚本を描いたのがキャメロン・クロウ。のちに「あの頃ペニーレインと」やトム・クルーズの「ザ・エージェント」の監督として知られるのですが、もともとが音楽誌「ローリング・ストーン」の記者だったため、ジャクソンやダニーとも知り合いで、キャメロン本人が彼らに映画のために曲を書いて欲しいとリクエストしたそうです。

 青春映画用ということで、自分のアルバム用とは違ったスタンスで曲をかけたのでしょう。

 それに加えて、1982年という時代性もあると僕は思います。

 1979年から1980年、僕は中三から高一という頃で、せっせとアメリカのヒットチャートを追いかけていましたが、1980年になるとヒット曲の持つ空気感が一気に明るくなったという実感がありました。

 1990年や世紀が変わろうとする2000年でも、そんなヒット曲の質感の劇的変化はなかったはずです。

 もちろん、年が明けて1980年の1月から一気に音楽が変わったなどということはないですが、1980年の一年間の間で、ポップで明るいとされている時代の気分は出来上がっていたと思っています。

 そこに、音楽的にはシンセやリズムマシーンという機材の急速な普及、宣伝媒体としてのMTVのブレイクが、猛烈な追い風になったのはもちろんです。

ただし、

 シンセやMTVがあらわれて、それに引っ張られるように80年代のヒット曲が明るくなったということじゃなく、シンセやMTVをためらいなく受け入れる、おおらかで前向きなムードがすでにあった、ということを僕は主張したいです。だからってなんだって話ですけど(苦笑

  

 そしてジャクソン・ブラウンの場合、1980年代始めだったからで、同じ映画の話がきたのが何年かずれて1970年代後半や1980年代中頃だったらら、ここまで明るい曲にならなかったんじゃないかという気がします。人を妙に明るい気分にさせる時代の追い風があった気がします。

 ビリー・ジョエルの「イノセント・マン」(1983年)もきっとそうだったんだろうと思います。

 

 ともあれ、今となっては彼のレパートリーの中で”浮いている”感すらあるこの曲ですが、彼にとって一番のヒット曲になり、ライヴでもよく歌っています。僕も彼のライヴを見たことがありますが、ナイーヴでシリアスなレパートリーが多い中で、こういうポップソングがライヴの流れの中で大事なスパイスになっていると感じました。

 

 そして、映画「初体験リッジモンドハイ」の話になりますが、これは青春映画の常套手段とも言える”青春あるあるエピソード”を散りばめたような作品で、深みなどは一切ないですが、あざとさや安直さもない、実にいろんなものが絶妙に”ちょうどいい”バランスの青春映画で、僕の年代には隠れファンが多いです(僕もその一人です。出演していたフィービー・ケイツも好きでした)。

 そして、2005年にはなんとアメリカ議会図書館に永久保存される映画に選ばれたそうです。

 

 


Jackson Browne - Somebody's Baby (Fast Times At Ridgemont High) (1982)

 

 

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