まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「恋はすばやく(Sooner or Later)」グラス・ルーツ(1971)

 おはようございます。

 今日はグラス・ルーツの「恋はすばやく」です。

www.youtube.com

**************************************************************

Sooner or later love is gonna get ya
Sooner or later, girl, you got to give in
Sooner or later love is gonna let ya
Sooner or later love is gonna win

It's just a matter of time
Before you make up your mind
To give all that love that you've been hidin'
It's just a question of when
I've told you time and again
I'll get all the love you've been denyin'

Sooner or later love is gonna get ya
Sooner or later, girl, you got to give in (Girl, you got to give in)
Sooner or later love is gonna let ya (Oh, yeah)
Sooner or later love is gonna win

 

You say you'll never be mine
But, darlin', there'll come a time
I'll taste all that love that you've been hidin'
It's just a question of time
Before you make up your mind
And give all that love you've been denyin'

(You've been lookin' for love)
In all the wrong places
(You've been lookin' for love)
All the wrong faces
(Gotta get ya, girl)
All this illusion
(Gonna save your heart)
From all this confusion

 

Sooner or later love is gonna get ya
Sooner or later, girl, you got to give in (You got to give in)
Sooner or later love is gonna let ya
Sooner or later love is gonna win
Love is gonna win (Uh-huh)

It's just a matter of time (A matter of time)
Before you make up your mind (Make up your mind)
To give all the love that you've been hidin' (You know you've been hidin' love)
It's just a question of when
I've told you time and again (Oh, time and time again)
I'll get all the love you've been denyin' (You've been denyin')

Sooner or later love is gonna get ya
Sooner or later, girl, you got to give in (Baby, baby, got to give in)
Sooner or later love is gonna let ya
Sooner or later love is gonna win
Sooner or later love is gonna get ya
Sooner or later girl, you got to give in
Sooner or later love is gonna let ya
Sooner or later love is gonna win

**************************************************************

遅かれ早かれ愛が君をつかまえる

遅かれ早かれ君は降参するのさ

遅かれ早かれ愛は君を愛させる

遅かれ早かれ愛は勝つんだ

 

もう時間の問題さ

君がずっと隠していた愛を

全部あげようと心を決める前に

ただ、それがいつかということなんだ

僕は君に何度も言ってきたよね

君が否定してきた愛を全部自分のものにするってね

遅かれ早かれ愛が君をつかまえる

遅かれ早かれ君は降参するのさ

遅かれ早かれ愛は君を愛させる

遅かれ早かれ愛は勝つんだ


あなたのものにはならないと、君は言った

だけど、ダーリン、その時がくるよ

君が隠してきた愛を全部味わうのさ

それがいつになるか、ということだけ

君がずっと隠していた愛を

全部あげようと心を決める前に

 

(君は愛を探し続けてきた)
全く間違った場所でね

(君は愛を探し続けてきた)

全く違う顔ばかり見て

(君に見せてあげるよ)

この幻想を

(君の心を救ってあげるよ)

この混乱から

遅かれ早かれ愛が君をつかまえる

遅かれ早かれ君は降参するのさ

遅かれ早かれ愛は君を愛させる

遅かれ早かれ愛は勝つんだ 愛は勝つんだ

 

もう時間の問題さ

君がずっと隠していた愛を

全部あげようと心を決める前に

ただ、それがいつかということなんだ

僕は君に何度も言ってきたよね

君が否定してきた愛を全部自分のものにするってね

 

遅かれ早かれ愛が君をつかまえる

遅かれ早かれ君は降参するのさ

遅かれ早かれ愛は君を愛させる

遅かれ早かれ愛は勝つんだ 愛は勝つんだ、、、(拙訳)

 

**************************************************************

 グラス・ルーツは1965年にLAで結成されたロック・グループで、最初はスティーヴ・バリとP.F.スローンというダンヒル・レコードのスタッフ・ソングライター・チームの覆面バンドとしてスタートしています。

 1965年というとP.F.スローンが曲を書き、スローンとバリ、それにダンヒル・レコードの主宰者でもあり後にキャロル・キングやママス&パパスなどをプロデュースする、ルー・アドラーの三人でプロデュースしたバリー・マクガイアの「明日なき世界( Eve of Destruction」が全米1位の大ヒットになっています。 

www.youtube.com

 

  バンド結成のきっかけは、当時盛り上がり始めたフォークロック・ムーブメントに乗じようと、バリとスローンがいくつかの曲を書いていたことで、そのうちの1曲が「Where Were You When I Needed You」でした。この曲のデモでスローンはリード・ボーカルとギターを担当し、”レッキング・クルー”のラリー・ネクテル(キーボード)、ジョー・オズボーン(ベース)、ボーンズ・ハウ(ドラム)が参加していたそうです(グラス・ルーツの多くの楽曲も”レッキング・クルーの面々がサポートしていきます)。

 

    グラスルーツを正式なバンドにするため、彼らはソングライター/プロデューサーにまわって新たにメンバーを集め、まずThe Bedouinsというバンドに目をつけます。

 バンドのバーカル、ウィリー・フルトンを迎え「Where Were You When I Needed You」を再レコーディングし、全米28位まであがっています。

(ちなみにこの曲はバンドのキャリアの中で計3回録音し直しているそうです)


www.youtube.com

 しかし、この曲がリリースされる頃にはバリとスローン側とメンバーとの間で方向性をめぐってかみ合わなくなり分裂、1967年に13th Floorというバンドのメンバーとヴォーカルのロブ・グリルが参加することで軌道に乗り始めました。

 

 最初の大ヒットは「今日を生きよう(Let's Live for Today)」。1967年に全米8位まであがっています。

www.youtube.com

 ちなみにこの曲はカバーだったんですね。オリジナルはイタリアで活動していたイギリスのバンド、ザ・ロークス(THE ROKES)の「Piangi Con Me」、英語で表記すると” Cry With Me"になるそうで、「泣いておくれ」という邦題で日本盤も出ていました(バンド名はロークスじゃなくロックスとなっていました)。

 "Let's Live For Today"とはかなりニュアンスが違いますね。

"シャラララララ Cry With Me〜♩"だと結構悲しい歌になります。ただ、あのイントロのギターが”泣いていた”理由がよくわかります。

 この曲は萩原健一がいたザ・テンプターズが取りあげたことで日本でも有名になりました。


www.youtube.com

 

 

 

  さて、その後1968年に、チャート的には彼らの最大のヒット(全米5位)になる「MIdnight Confession」をリリースしています。ブラスがも入って、R&Bフィーリングを強く感じる曲です。

www.youtube.com

 

  そして、この「恋はすばやく」が1971年に彼らにとって3枚目の全米トップ10シングルになりました(全米9位)。

  ちなみにこの曲の共作者のゲイリー・ゼクリーとミッチェル・ポッターは1969年にThe Cliqueというバンドに「Superman」という曲を書いていて、にちにR.E.Mがカバーしています。

 当時のレコード盤を見ると、日本のレコード会社は彼らのことを「ヤンキー・ロック」とカテゴライズしていたようです。永ちゃんやキャロルみたいな不良のロックのことじゃないですよ。不良をヤンキーと呼ぶのは1980年代に入ってからで、本来「アメリカ人」の俗称、大リーグのヤンキースのヤンキーです。それにしても、おおざっぱな呼称ですよね。

 

 僕が初めてこの曲を聴いたのは、佐野元春のラジオ番組でした。当時の彼のヒット曲「ヤング・ブラッズ」はこの曲からインスパイアされたと彼は説明していたのをおぼえています。「ヤング・ブラッズ」はスタイル・カウンシルの「シャウト・トゥ・ザ・トップ」のパクリだという人が多かったので、反発心もあってわざわざこの曲をオンエアしたんだろうなあ、と僕はそのとき思いましたが。

 

 この曲はなになにのパクリだ、などとあげつらうのは簡単ですが、作る側からしたら、そんな単純なもんじゃない、もっといろんな音楽の要素が混ざり合って出来ているんだ、と主張したいのはよく理解できます。

 

 いろんな曲が一人の人間のフィルターを通して独自のブレンドとなって再生産されていくのがポップスの面白さです。なので、僕は、ほぼ同じとか、安直で元ネタへのリスペクトが感じられないものじゃない限り、パクリ云々という論議は無意味だと思っています。

 

 そう言えば、その「ヤング・ブラッズ」を明らかに下敷きにした、「I'll Be Back Again…いつかは」(ビートたけし松方弘樹)なんて曲もあって、そっちのほうが「恋はすばやく」に似てしまっていて、なんだか、ややこしいなあ、と当時僕は思いました。

 

www.youtube.com

 さて、この曲、Sooner or Later、遅かれ早かれ、どうなのかと言えば、

 今は君は僕のことを拒否しているけど

 遅かれ早かれ、君は僕のものになる、と自信満々な、ある意味相手を暗示にかけているようでもある歌です。少し間違えるとストーカーっぽくなりそうなスタンスです。

 ただ、君は僕のものになる、という直接的な言い方はしないで

 愛が君をつかまえる、愛が君を動かす、そして、愛は最後に勝つ、と、僕、じゃなく愛、を主語にしているところが、ストーカーっぽく聴こえないポイントのように思います。どうでもいいことですが(苦笑。

 

 最後に彼らのその後のヒット曲を2つ。

恋は二人のハーモニー "Two Divided by Love"(1971年全米16位)


www.youtube.com


涙の滑走路"The Runway" (1972年全米39位)


www.youtube.com

 

 

 

 

ティーヴ・バリのプロデュース曲にはこんなものも。popups.hatenablog.com

 

f:id:KatsumiHori:20210609165822j:plain