おはようございます。
今日はキリンジの「雨は毛布のように」です。
いつもキリンジの曲には、独創的なフレーズが数多くありますが、この曲でも雨は毛布のようだという比喩にちょっとびっくりします。
普通、毛布は雨で冷え切った体をくるむもの。雨の反対側にあるものです。じゃあ、毛布のようにに感じる雨ってどんなんだろう?と謎解きをするみたいについついあらためて歌詞を読んでしまう。聴き流せるような調子で歌いながら、なかなか聴き流せないようなフレーズを残す、これが彼らのやり方(?)なんですね。
ちょっとけんかして気まずい恋人同士が、土砂降りの中に思い切って飛び出して騒ぎながら歩く、そうこうしながら、気持ちが高鳴ってゆく。土砂降りで服がびっしょり重いけど体温は暖かい、→毛布のようだ、と。見事ですね(こんな分析すること自体、かなり野暮ですが)。
普通は相対するようなものを組み合わせてみると斬新なものになる、という着想の見事な例だと思います。
ちなみに、僕はレコード会社に勤務していた時に彼らのデモテープを聴いたことがあります。オーディションではなく、あるディレクター宛で直接送られてきたもので、僕は偶然聴くことができました。
確か「堀込兄弟」というアーティスト名にだったと思います。同封されていた写真は、蕎麦屋さんで二人が蕎麦を食べているモノクロのもので、わざとレトロ感を演出しました。その少し前に大ブームだった渋谷系のオシャレな横文字の世界とは真逆のアプローチが新鮮でした。デビュー前なのに、セルフプロデュースに長けている相当な曲者だなあ、と僕はすごく感心して即連絡しましたが、時すでに遅し、でしたがw。
しかし、彼らが最初に音源を制作する際にナチュラル・ファウンデーションという事務所を選んだのは大正解。彼らの音楽を深く理解して尊重し続けたスタッフ・ワークももちろん素晴らしいのですが、なんと言ってもまだ知名度の低かったアレンジャーの冨田恵一(冨田ラボ)を彼らと結びつけたというのは、日本ポップス史に残る”名マッチング”だったと僕は思います。
この「雨は毛布のように」は、作詞が弟の泰行、作曲が兄の高樹が手がています。現在ではキリンジの代名詞となっている名曲「エイリアンズ」の次のシングルとしてリリースされ、4枚目のアルバム「Fine」に収録されています。
コーラスにはaikoが参加していたんですね。
最後はこちらも名曲、「雨は毛布のように」の次のシングルでやはりアルバム「Fine」収録の「Drifter」を。