まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「風を感じて」浜田省吾(1979)

 おはようございます。

 今日は浜田省吾

 僕が彼の歌を初めて聞いたがこれで、カップヌードルのCMソングとして知りました。ちょうど、僕は洋楽も熱心に聴き始めた時期で、イーグルスの「テイク・イット・イージー」やリンダ・ロンシュタットの「イッツ・ソー・イージー」(R&R歌手バディ・ホリーのカバー)といった曲をFMでよく耳にしていたので、きっと彼はそういうイメージで作ったのだろうな、などと思ったものです。

 その後すぐ、彼は硬派なロックンローラーに変貌したことと、CMタイアップにまつわる嫌な思いもあったようで、この曲は、彼のプレイリストからしばらく消えてしまっていたようです。いい曲なのになあ、と個人的には残念に思っていました。

 そして、1990年にライヴ・シングルとしてこの曲が再リリースされましたが、まさに「テイク・イット・イージー」風のアレンジが施されていました。彼の敬愛するジャクソン・ブラウンが作って歌っていたものなので、浜省版「テイク・イット・イージー」的ポジションを得たのでしょう。そして、2011年のライヴ・ヴァージョンを聴くとオリジナルのアレンジに近い感じに戻っています。めでたし、めでたし(?)

 

 さて、この曲の歌詞の一番印象的なところは

 

 ”自由に生きてく方法なんて100通りだってあるさ”

 

というところでしょう。 

 自由になる、FREEというのは、海外のロック、ポップスはLOVEと並ぶくらい頻繁に出てくる、とても大きなテーマです。このブログで取り上げた曲にも結構あります。でも、多くの日本人には不思議とピンとこない、いや、くる人もいるんでしょうが、大衆に広くはアピールしないテーマだったように思います。国民性なんでしょうか。

 アメリカは人種差別問題など、本質的なものとして「自由」を常に意識する歴史がある、と言ってしまえばそれまでですが、そういう大きい「自由」だけじゃなく、仕事や時には家庭を捨てる、恋人と別れることなどで得る、”日常的な自由”も常に歌になっています。

 日本人の場合、人は思ったように生きてもいいんだ、という考え方はどうしても抑制されがちです。人と調和することを良しとする、という意識は、すごく古くからあるようなものに思いますし、一つの美徳でもあると思います。

 ただ、今は、自分にとっての「自由」って何なんだ、ってあらためて考えなくてはいけない時代のように思います。

 それを考えるときに大事なのは自分が今何に一番「ストレス」を感じているか、探ることのように思います。ストレスは正体不明です、気づかないうちにあちこちに支障が出てきてしまいます。原因をじっくり突き止めて、対処しなければ今後ますますヤバいことになりそう、僕はそんな風に感じています。

 そして、そのために自分の気持ちを自由にさせる方法を見つけたほうがいいとも思っています。

 

 そういう意味では、「風を感じて」はサウンドだけではなく、歌詞も日常的な「自由」という洋楽の普遍的なテーマにアプローチしている日本では数少ない曲だと思います。

 ショウウィンドウの中は欲しいものだらけで、頭は飽和状態、そんなことから抜け出して、「風の青さを抱きしめて」荒野に向かって走りだそう、と歌うこの歌詞は、この曲が発売された40年前(!)よりも、情報過多で頭が飽和状態になっている今の時代の方が説得力を持って聴くことができるのかもしれません。

 

 


風を感じて

 

風を感じて(1979)

風を感じて(1979)