まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「風を感じて」浜田省吾(1979)

 おはようございます。

 今日は浜田省吾の「風を感じて」です。

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 僕が彼の歌を初めて聞いたのがこの曲で、カップヌードルのCMソングとして知りました。ちょうど、僕は洋楽も熱心に聴き始めた時期で、イーグルスの「テイク・イット・イージー」やリンダ・ロンシュタットの「イッツ・ソー・イージー」(R&R歌手バディ・ホリーのカバー)といった曲をFMでよく耳にしていたので、きっと彼はそういうイメージで作ったのだろうな、などと思ったものです。

 

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 この頃の彼はまだ売れる前で、山口百恵に曲を提供したり、CMタイアップ全盛期でしたので、CMのコンペに曲を提出していたようです。本人曰く”職業作家的な曲作り”をしていた時期ですね。

 

 この「風を感じて」もすでに出来上がった曲がCMに使われたのではなく、カップヌードルのCMのテーマに沿って作られたものだったそうです。

 

「で、例えばこの"風を感じて"は"イージー”っているのがキャッチコピーなんですよね。だからイージー食品でしょう。簡単に食べれるって意味で、どうしても”イージー”を入れてくれと」

 

「”テイク・イット・イージー”のイージーですよね。だから『じゃあイージーを入れてどうしようかあ?』みたいになるわけですよ(笑)」

          (「青空のゆくえー浜田省吾の軌跡」(株)ロッキング・オン

 

 やっぱり「テイク・イット・イージー」は念頭にあったようですね。

 

 無事にこの曲はCMに採用され、彼にとって初のヒットになるわけですが、タイアップの条件として、テレビ出演しなくてはいけなかったそうです。

 僕もよく覚えていますが、当時日清食品がスポンサーになっていた『ヤングおー!おー!』や『夜のヒット・スタジオ』に複数回出演しています。本人には不本意なものだったようですが、今となってみると、相当レアですね。

 

 このあと、彼は硬派なロックンローラーに変貌し、職業作家的に作った曲が合わなくなったこともあって、この「風を感じて」も彼のライヴのプレイリストからはしばらく消えてしまっていたようです。いい曲なのになあ、と個人的には残念に思っていましたが。

 

 しかし、1990年にライヴ・シングルとしてこの曲が再リリースされましたが、まさに「テイク・イット・イージー」風のアレンジが施されていました。彼の敬愛するジャクソン・ブラウンに自身のキャリアを照らし合わせて、あらためて浜省版「テイク・イット・イージー」としてのポジションを得ることになったのかもしれません。

 

 2011年には新たなライヴ・ヴァージョンがリリースされましたが、こちらはオリジナルのアレンジに近い感じに戻っています。

 

 彼が過去のトラウマ(?)を克服し、受け入れてゆく様を見るようで興味深いです。

(まったく余計なお世話ですが、、)

 

 さて、この曲の歌詞の一番印象的なところは

 

 ”自由に生きてく方法なんて100通りだってあるさ”

というところでしょう。 

 

 100通りある、というのはもちろん、いくらでもある、ということで100という数字には意味はないですよね。”いくらだってあるさ〜”と歌うより、はるかにツカミがあります。

 それで僕が思い出すのがポール・サイモンの『恋人と別れる50の方法(50 Ways to Leave Your Lover)」。僕は当時50個の方法を歌詞で一つ一つ説明している歌かと思ったのですが、歌詞を読むといくらでもあるさ、という意味で使われていました。。

 

 

 そしてもう一つ、自由になる、FREEというのは、アメリカのロック、ポップスはLOVEと並ぶくらい歌詞に頻繁に出てくる、とても大きなテーマです。このブログで取り上げた曲にも結構あります。でも、多くの日本人には不思議とピンとこない、いや、くる人もいるんでしょうけど、大衆に広くはアピールしないワードだったように思います。国民性なんでしょうね。

 アメリカは人種差別問題が生活の身近にあり、本質的な「自由」を常に意識する歴史がある、と言ってしまえばそれまでですが、そういう大きな「自由」だけじゃなく、仕事や時には家庭を捨てる、恋人と別れることなどで得る、日常生活の上での”自由”もアメリカではよく歌になっています。

 

 日本人の場合、人は思ったように生きてもいいんだ、という考え方は昔からどうしても押さえつけられがちです。人と調和することを良しとする、という意識は、すごく古くからあるようなものに思いますし、一つの美徳でもありますし。

 

 でもノリのいいサウンドで「自由」が歌われる時の開放感というのは、ポップ・ミュージックならではのものだと思います。

 

 そういう意味では、「風を感じて」はサウンドだけではなく、歌詞も日常的な「自由」という洋楽の普遍的なテーマにアプローチしている日本では数少ない曲だと思います。

 

 最後に2019年のライヴ映像を。

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 聴き比べも楽しいです。

 

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