まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「雨に微笑みを(Laughter In The Rain)」ニール・セダカ(1974)

 おはようございます。

 今日はニール・セダカの「雨に微笑みを」。ハッピーな雨の歌の代表曲ですね。日本でも1990年代にタバコのCMで使われていましたね。


Neil Sedaka - Laughter in the Rain (1974)

 

  ”僕の彼女と一緒に田舎道を歩いていると

    雨が降り出したと思ったら 土砂降り

    傘のない僕らは   ずぶ濡れ

    僕の背筋を寒気が走ったけど

         彼女の手の温もりも感じたんだ

 

   ああ、雨の中に笑い声が聞こえる

         愛する人と手を取り合って歩きながら 

   ああ、雨の日とこの幸福感     なんて愛しいんだろう

 

   しばらく木の下に逃げ込んで

   彼女の方を見ると 僕にキスしてくれた

   木の葉をたたく雨の音に そっと彼女の吐息が重なると

   僕は目を閉じて  荒れ模様の空の下 二人愛を分かち合うんだ

 

   ああ、雨の中に笑い声が聞こえる

         愛する人と手を取り合って歩きながら 

   ああ、雨の日とこの幸福感     なんて愛しいんだろう  ” (拙訳)

 

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 Strolling along country roads with my baby
It starts to rain, it begins to pour
Without an umbrella we're soaked to the skin
I feel a shiver run up my spine
I feel the warmth of her hand in mine

Oh, I hear laughter in the rain,
Walking hand in hand with the one I love
Oh, how I love the rainy days and the happy way I feel inside

After a while we run under a tree
I turn to her and she kisses me
There with the beat of the rain on the leaves
Softly she breathes and I close my eyes
Sharing our love under stormy skies

Oh, I hear laughter in the rain,
Walking hand in hand with the one I love
Oh, how I love the rainy days and the happy way I feel inside

I feel the warmth of her hand in mine


Oh, I hear laughter in the rain,
Walking hand in hand with the one I love
Oh, how I love the rainy days and the happy way I feel inside
Oh, I hear laughter in the rain,
Walking hand in hand with the one I love
Oh, how I love the rainy days and the happy way I feel inside

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 幸福感がまさに全開になっている歌ですが、実はこの曲を作曲し歌っているニール・セダカにとっても、幸福な曲でもありました。

 彼は1958年から1960年代前半にかけて活躍した、アメリカを代表するヒット・メイカー、ヒット・シンガーで、キャロル・キングなどと共に、アメリカン・ポップスの礎を作った人です。その時代らしい明快でキャッチーなポップスをたくさん生み出しました。しかし、60年代後半から音楽の流れが変わり、彼は一気に過去の人になってしまいます。

 そんな彼がなんと12年ぶりに全米1位になった復活作がこの「雨に微笑みを」でした。この曲が収録されたアルバムのタイトルが「Sedaka's Back」、セダカが帰ってきた、と名づけられたほどです。

 人生しばらくずっと雨ふりだった(?)彼に、久しぶりに光があたった、というわけで、この曲の歌詞が一段と説得力が増したのじゃないかと思います。お日様ガンガン浴びて幸ハッピー、みたいな歌詞だったら、売れなかったかもしれない、なんて僕は思ったりします。

 ちなみに、歌詞を書いたのはフィル・コディという人。田舎の山小屋のような仕事場でニールと一緒に曲を書いたそうですが、この時彼はちょうど新しいガールフレンドができたばかりだったので、全然仕事モードじゃなくて、とっとと作って早く彼女のいる街に帰りたいと思っていたそうです。

 で、ニールにこのメロディを聴かせてもらってとき、一切何にも浮かばなくて彼はうろたえたみたいです。それで、外に出て散歩したり、マリファナを吸ったり、鹿を眺めたり(?)、木の下でうたたねしたりしてから戻ると、わずか5分でほとんどの歌詞が書けたそうです。

 ネットではこの辺りを端折って、マリファナ吸ったら歌詞が浮かんだ、とか、5分で書いた、とか書いてありますけど大事なことは、

 最初のネガティヴなモードからいったん離れて、頭をリセットして

 リラックスすることに集中した

 ということです。

 そこで、リラックスしたムードのなかで、頭の中が整理されて、新しいガールフレンドへの思いとメロディが自然と結びついたのかもしれません。

 素晴らしいアイディアはリラックスした時に浮かぶ、それはたくさんのクリエイターたちが言うことでもあります。

 

 それから、古い洋楽マニア向けの情報を一つ。

この曲には、ダニー・コーチマー、リーランド・スカラー、ラス・カンケルという

”セクション”というグループのメンバーが参加しています。キャロル・キングの名盤「つづれおり」のメンバーですね。そういう演奏の空気感も、この曲をスタンダードにしている要因なのかもしれません。

 

 それから、この曲の歌詞を書いたフィル・コディは他にニール・セダカの「バッド・ブラッド」(1975年。全米NO.1)の作詞もしています。この曲は人気絶頂だったエルトン・ジョンがバック・ヴォーカルをつとめている他、まだスタジオ・ミュージシャンだったデヴィッド・フォスターもキーボードで参加しています。


Neil Sedaka & Elton John - Bad Blood (1975)

 

 またフィルはシンガー・ソングライターとしても、地味ながら素敵なアルバムをリリースしています。ニールとのコンビで作り、ニールも歌っている「New York City Blues」という曲はなかなかいい仕上がりです(アルバム「Phil Cody」<1976>収録)。


Phil Cody - New York City Blues

 

 

Laughter in the Rain

Laughter in the Rain

 

 

 

Sedaka's Back

Sedaka's Back