おはようございます。
今日はバンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス(Do They Know It's Christmas?)」です。
It's Christmas time
There's no need to be afraid
At Christmas time
We let in light and we banish shade
And in our world of plenty
We can spread a smile of joy
Throw your arms around the world
At Christmas time
But say a prayer
Pray for the other ones
At Christmas time it's hard
But when you're having fun
There's a world outside your window
And it's a world of dread and fear
Where the only water flowing
Is the bitter sting of tears
And the Christmas bells that ring there
Are the clanging chimes of doom
Well tonight thank God it's them
Instead of you
And there won't be snow in Africa this Christmas time
The greatest gift they'll get this year is life
Where nothing ever grows, no rain or rivers flow
Do they know it's Christmas time at all?
Here's to you
Raise a glass for everyone
Here's to them
Underneath that burning sun
Do they know it's Christmas time at all?
Feed the world
Feed the world
Feed the world
Let them know it's Christmas time again
Feed the world
Let them know it's Christmas time again
Feed the world
Let them know it's Christmas time again
Feed the world
Let them know it's Christmas time again
***********************************************
クリスマスがやってきた
もう怖れる必要はない
クリスマスには
光を入れて、影を追い払うんだ
十分に満たされた僕たちの世界で
喜びの笑顔を広げていこう
あなたの腕で世界を抱きしめよう
クリスマスには
だけど、祈りは捧げよう
他の人たちのために祈ろう
クリスマスには
楽しんでいるときには難しいことだけど
窓の外には世界が広がっている
それは怖れと不安の世界だ
唯一流れる水は
苦い痛みのある涙
そこで鳴るクリスマス・ベルは
激しく鳴らされる運命の鐘
今夜は神に感謝しよう
あなたたちが彼らと同じ境遇じゃないことに
今年のクリスマスはアフリカに雪は降らないだろう
彼らにとって今年最も素晴らしい贈り物は命なんだ
何も育たず、雨も川も流れない場所にいて
彼らはクリスマスが来たことを
知っているのだろうか?
乾杯
みんなのためにグラスをあげて
彼らに乾杯
あの灼熱の太陽の下で
彼らはクリスマスだって知っているだろうか?
世界に食糧を
クリスマスだって知らせよう もう一度
世界に食糧を
クリスマスだって知らせよう もう一度
世界に食糧を
クリスマスだって知らせよう もう一度
(拙訳)
<PR>
「Do They Know It's Christmas?」の楽譜はこちら
**************************************
この曲は、1984年にBBCテレビのニュース番組で記者のマイケル・バークがエチオピアの飢饉をレポートし、それに触発されたブームタウン・ラッツのボブ・ゲルドフが発案したチャリティ(基金)のために作られた曲でした。
ゲルドフはそのアイディアを友人で、ウルトラヴォックスの中心メンバーであるミッジ・ユーロに相談し、一緒に曲を書き、ユーロが曲やアレンジをまとめる形で完成しました。
後にゲルドフはユーロに声をかけた時にもし彼が乗り気じゃなかったら、このプロジェクトは進まなかったかもしれない、と語っています。
ちなみにウルトラヴォックスといえば、日本ではこの曲がサントリーのCMで使われ人気でしたね。
ユーロはゲルドフとの作曲をこう回想しています。
「実はボブが曲の骨格をすでに書いていたんだ。その時に彼は言わなかったんだけど、それは彼がブームタウン・ラッツ用に作ったもので、メンバーが気に入らずに却下したものだったんだ。彼は僕のスタジオに現れて、それを僕に歌ったんだけど、歌うたびに違うんだ。明らかに彼は要素をつなぎ合わせてはメロディを変えてたのさ。ボブはメロディを作る人ではないから、まとめることができないんだ。
僕は彼が歌ったものをカセットプレーヤーに録音した。そして、彼を見送った後、僕はそれを微調整して、ある程度の構造を持つように形を整えていったんだ。それにもかかわらず、この曲自体にはサビがないのさ。本当に奇妙な構造の曲なんだ」
(Song Facts Interview Midge Ure)
そして、二人はイギリスを代表するアーティストたちに声をかけ、ユーロは4日でオケを作り、参加メンバー用の歌のガイド・トラックなども用意したといいます。
そして、録音開始からミックスを完成させるまでトータル24時間しか猶予がない中、無事に作り上げることができたのです。
レコーディングを行ったのが11月25日でしたが、なんと12月3日にこのシングルが店頭に並んだと言います。
イギリスでは当時の記録となる300万枚を超える大ヒットとなり、アメリカのチャリティ・ソング「ウィ・アー・ザ・ワールド」のきかっけになり、一大チャリティ・ライヴイベント「ライヴ・エイド」へとつながる、音楽史上例のない規模の盛り上がりになりました。
「ライヴ・エイド」での「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」
しかし、このあまりに大きなプロジェクトの”顔”となった反動が、ゲルドフ本人の生活に大きく影を落としたようです。
「自分の仕事に戻ることができなくなってしまったんだ。僕はポップ・シンガーで、それで文字通りお金を稼いでいた。それが僕の仕事だった。朝起きて、気分が乗っていたら、曲を書いたり、リハーサルに出かけるっていうね」
「でも、できなくなったんだ。誰も興味を持たなくなった。聖なるボブなんて呼ばれて、そうしたことができなくなってしまったんだ。取るに足らない無意味なことになってしまったんだよ。それで、自分を見失ったんだ」
(NME Japan 2020.7.14)
ユーロもまたこう語っています。
「バンドエイドやライブエイドの弊害は、ウルトラボックスを殺してしまったことだ。それによって、僕は長い間、バンドから引き離されてしまったんだ」
(Express Dec 20, 2015 )
ゲルドフもユーロもこの曲自体はさほど大した曲じゃないと思っているようですが、ユーロはレコーディングや制作に関しては今も誇りに思っていると語っています。
その後もチャリティの対象を変えながら、この曲は何度も録音されていますので、最後にそれを追ってみたいと思います。
1989年の「バンド・エイド II」。まだ進行中のエチオピアの救済のためにボブ・ゲルドフが、当時の大人気プロデューサー、ストック=エイトキン=ウォーターマンに依頼して作ったものです。バナナラマ、カイリー・ミノーグ、ジェイソン・ドノヴァンなどストック=エイトキン=ウォーターマン・ファミリーが揃っています。
2004年の「バンド・エイド20」。コールドプレイのクリス・マーティンが発案し、レディオヘッドのプロデュースで知られるナイジェル・ゴッドリッチがプロデュースしています。
2014年の「バンド・エイド30」。コンゴで流行したエボラ出血熱(エボラ危機)に対するチャリティとして行われたもの。アデルを手がけたことで知られるポール・エプワースのプロデュース。エド・シーラン、ワン・ダイレクションなどが参加。
歌詞がかなり改編されていますので、興味のある方はチェックしてみてください。
最後のコーラスは「Feed The World」じゃなく「Heal The World」になっています。
この曲と発売時期が被ったために当時全英2位どまりだったのがワム!の「ラスト・クリスマス」。今年の1月についに全英1位になったそうです。
ボブ・ゲルドフのブームタウン・ラッツ最大のヒット