おはようございます。
今日はビッグ・スターの「セプテンバー・ガールズ」です。もう10月になってしまいましたが、、。
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September girls do so much
I was your Butch, and you were touched
I loved you, well, never mind
I've been crying all the time
December boys got it bad
December boys got it bad
September girls, I don't know why
How can I deny what's inside?
Even though I'll keep away
They will love all our days
December boys got it bad
December boys got it bad
When I get to bed late at night
That's the time she makes things right
Ooh, when she makes love to me
September girls do so much
I was your Butch, and you were touched
I loved you, well, nevermind
I've been crying all the time
December boys got it bad
December boys got it bad
December boys got it bad, ooh
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9月の女の子たちはやりすぎさ
僕は君のブッチ、で君は感動してくれた
君を愛していたんだ、まあ、気にしなくていいさ
僕はずっと泣いていたんだよ
*ブッチ(butch)タフガイ、頑丈な男
12月の男の子たちは恋しているのさ
12月の男の子たちは恋わずらいしてるのさ
9月の女の子たち、僕にはわからない
心の中にあるものをどうやったら否定できるるの?
たとえ僕が遠ざかっていても
彼女たちは僕らの日々を愛するだろう
12月の男の子たちは恋しているのさ
12月の男の子たちは恋わずらいしてるのさ
僕が夜遅くにベッドに入るとき
それは彼女が仲直りするときさ
ああ、彼女が僕を愛するのさ
9月の女の子たちはやりすぎさ
僕は君のブッチ、で君は感動してくれた
君を愛していたんだ、まあ、気にしなくていいさ
僕はずっと泣いていたんだよ
たとえ僕が遠ざかっていても
彼女たちは僕らの日々を愛するだろう
12月の男の子たちは恋しているのさ
12月の男の子たちは恋わずらいしてるのさ
僕が夜遅くにベッドに入るとき
それは彼女が仲直りするときさ
ああ、彼女が僕を愛するのさ
9月の女の子たちはやりすぎさ
僕は君のブッチ、で君は感動してくれた
君を愛していたんだ、まあ、気にしなくていいさ
僕はずっと泣いていたんだ
12月の男の子たちは恋しているのさ
12月の男の子たちは恋わずらいしてるのさ
(拙訳)
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”パワー・ポップ”というジャンルがあります。ざっくり言えば、ビートルズの影響を強く感じる、ポップなロック・バンドという感じになるかと思いますが、その最初期のアーティストとしてはイギリスではビートルズの直系であるバッド・フィンガー、アメリカではエリック・カルメン率いるラズベリーズが挙げられます。
そんな”パワーポップ”のアーティストの中でもある意味”神格化”されているのが、ラズベリーズに少し遅れてデビューしたこのビッグ・スターです。
彼らは、1971年にメンフィスでシンガー・ギタリストのクリス・ベルがギタリストのスティーブ・レイ、ベーシストのアンディ・ハメル、ドラマーのジョディ・スティーブンスと結成したグループ、アイスウォーター(別名ロック・シティ)というバンドが元になっています。
レイは結成後しばらくしてグループを脱退し、そこにアレックス・チルトンが後任として加わります。チルトンはかつてボックス・トップスというバンドのボーカリストだった人物で、1967年の「あの娘のレター(The Letter)」で全米チャートのトップに立ったときはまだ16歳だったといいます。
本当に16歳?と思ってしまいますね。
ボックス・トップスもメンフィスのバンドで、この「あの娘のレター」はダスティ・スプリングフィールドの名盤「ダスティ・イン・メンフィス」やメリリー・ラッシュの「夜明けの天使」なども録音された、チップス・モーマンが持つアメリカン・サウンド・スタジオで録音されてているんですね。しかも、スワンプ・ロックの代表アーティスト、ダン・ペンのプロデュースですから、ロック・バンドでありながらサザン・ソウル色が強いというのが特徴だったのです。
1970年にボックス・トップスが解散したあと、チルトンはニューヨークで一年間過ごし(セッションも行い、音源が後「1970」というアルバムとしてリリースされています)、メンフィスに戻ってきてビッグ・スターに参加しました。
ベルとチルトンは高校時代のカバー・バンドを一緒に演奏やっていたことがあったそうで、彼の参加により、アイス・ウォーターは地元のスーパーマーケット・チェーンから名前を借りて、ビッグ・スターと改名します。
1972年にデビュー・アルバム「#1 Record」をリリース、当初はレノン&マッカートニーのようにベルとチルトンの双頭バンドでしたので、全12曲中10曲が二人の共作によるもので、メインボーカルも二人が均等のバランスで保たれていました。ただレコーディング全体のディレクションはベルが完全に中心になっていたようです。
「#1 Record」に収録されている「Thirteen」。彼らの人気曲の一つで2020年にディズニー映画「スターガール」にも使われていたそうです。
「#1 Record」はメディアから素晴らしい評価を受けますが、流通を請け負っていたスタックス・レーベルがちゃんと動かなかったため、レコード店にほとんど置かれることなく終わってしまいました。
そして、そのことが、アルバム制作の中心人物だったベルの精神状態に大きく影響することになります。また、ボックス・トップスでの成功によりチルトンのほうがリスナーや批評家からの注目度が高く、ベルのバンドへの貢献は低く見られがちだったことも。彼の心に悪影響を及ぼしました。そこにプライベートなトラブルも重なり、1972年末にベルはバンドを脱退してしまいます。
(その後、クリスはシングルを一枚リリースしたきりで、1978年に交通事故で亡くなってしまいます)
その数ヶ月後にベル以外の3人があらためて集まり、スリーピース・バンドとして活動を継続させていくことになり、制作されたアルバムが「ラジオ・シティ」でした。制作の主導権はチルトンが握り進められましたが、ベースのハメルも創作能力を進化させ少なからず貢献しています。
そして「ラジオ・シティ」にこの「セプテンバー・ガールズ」が収録されていました。
”セプテンバー・ガールズ”に"ディセンバー・ボーイズ”。語感はいいですが、ちょっと意味がわかりません。文字通り、9月生まれ女子、12月生まれ男子、と解釈する人が多いようです。その根拠となっているのは、アレックス・チルトンが12月生まれだからなんですね。
調べてみると、チルトンは、10代の頃から占星術に興味を持っていたようで、ボックス・トップスの解散後にマンハッタンに住んでいたチルトンは、グラディ・ホワイトブレッドというミュージシャンから占星術を教わったそうです。後年、占星術のチャートを読んで解釈するのがすごく得意だと彼は語っていて、長年にわたり、バンドのメンバー候補や誰と付き合うべきかを決めるために星占いを使っていたそうです。
それから、ウィキペディアには「セプテンバー・ガールズ」はビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」へのトリビュートだと書いてあって、真偽は定かではありませんが、もし本当だとしたら興味深いことです。
というのも、ケイティ・ペリーの全米NO.1シングルに「カリフォルニア・ガールズ」(2010)というのがあって、こっちは”California Gurls”ってつづるんですが、これはSeptember Gurlsと一緒なんです。なんでもケイティのマネージャーがビッグ・スターの大ファンで、ケイティにつづりをGurlsにしないかと提案したそうです。
GurlsはGirlsのくだけた書き方(NIghtとNiteのように)のようですが、”California Girls"と”California Gurls”の間に”September Girls"を置くと、見事につながるというわけです。
さて、この曲は1985年にバングルズがカバーしていて日本でも知名度が上がりました。大ヒット曲「マニック・マンデー」が入っている「シルバー・スクリーンの妖精 (Different Light)」に収録されています。
「ラジオ・シティ」も商業的に失敗に終わり、長く続く無収入生活に疲弊したハメルは音楽の世界を離れ、二人きりになったバンドはそれでも三枚目のアルバムを作りますが、リリースしてくれるところが見つからず、結局解散することになります(1978年にアルバムはリリースされています)。
1980年代以降にバンドはカルト的再評価を受け90年代にチルトン、スティーブンスに新たなメンバーを加え再結成し、2005年に4thアルバム「In Space」をリリースしています。その後、チルトンは2010年に心臓発作で亡くなっていますが、彼のトリビュート・コンサートに参加したオリジナル・メンバーのハメルもその4ヶ月後に癌で亡くなったそうです。
オリジナル・メンバーはドラムのジョディ・スティーブンスだけになってしまいましたが、ビッグ・スターの楽曲は、リアルタイムではあれほど報われなかったことが嘘のように、様々なメディアで使われています。
最後はクリス・ベルの1978年のソロ楽曲と、アレックス・チルトンが1970年に録音した楽曲を1曲ずつ。双頭バンドの場合、ジョンやポール、ミックとキースのように対照的なキャラであることが多いですが、ビッグ・スターの場合は両者ともに儚さを感じてしまうほどセンシティヴであるということが、このバンドの特徴なのかなと僕には思えます。
Chris Bell "You and your sister"
Alex Chilton "The Emi Song"