まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「夢の人 (I've Just Seen a Face)」ケニー・ランキン(2002)

 おはようございます。

 今日もケニー・ランキン。

 ポップス・シンガーとしてデビューし、アコースティックなシンガー・ソングライターへと変わっていった彼ですが、その後いろんな曲をケニー・ランキン流にアレンジするスタイルを磨き上げていきます。

 特にビートルズ・ナンバーのカバーには定評があり、僕も大好きです。

 

 中でも僕が驚いたのは「夢の人」でした。オリジナルはこんな感じでしたね。


I've Just Seen A Face (Remastered 2009)

     ”ちょうど顔を見たばかり 

   その時間も出会った場所も忘れられない

   彼女はまさに僕のための女の子     世界中に僕らの出会いを知って欲しいんだ

   これが別の日だったら 

   僕は違う方を見ていて 彼女に気づかなかったかも

   でも実際出会ってしまったから 今夜彼女のことを夢に見るよ

 

   落ちてゆく そう僕は落ちてゆく  そして彼女は僕を呼び続けてくれる

    

      こんな感じは初めてなんだ 

   ずっとひとりきりで    ものごとをやり過ごして  見ないようにしてきた

   でも 他の女の子たちは全然こんな感じじゃなかったんだ”  (拙訳)

   

   そして、こちらがケニーのカバー。

 
I've Just Seen A Face

   ケニーはこの曲の歌詞を読んだとき胸を突かれたような感じがして、こういう解釈を思いついたのだそうです。

 これはそれぞれの解釈で違うでしょうが、確かに歌詞を読むと、この歌の主人公はけっこうナイーヴな感じがしますから、ビートルズのオリジナルはちょっとノリが明るすぎる気がしないでもないですね。ケニーはまったりし過ぎているようにも思いますが、、。

   ケニーのニューヨークのボトムラインのライブ・アルバムでピアノの弾き語りでやっているんですが、それがちょうどいい気もします(すみません、そっちの動画はアップされていないようです)。

 

 ケニーのビートルズ・ナンバーのカバーでは有名なのは「ブラックバード」。ポール・マッカートニーが絶賛していたようで、レノンーマッカートニーが「ソングライターの殿堂」入りを果たした際のイベント(1987)で、ポールがケニーにこの曲をやって欲しいとリクエストしたのだそうです。 


Blackbird (Kenny Rankin)

 「ペニーレイン」もいい感じです。


Penny Lane (Kenny Rankin)

 「夢の人」のようにバラードにするパターンは、この曲でもやっています。


With a Little Help from My Friends

 

 彼はこんな風に語っています。

 

「僕はただのシンガーだから、自分の心に触れた曲ならなんだって歌えるよ」

 

「僕はいつもずっとメロディをくずして歌ってきた、実際に書かれたものとは違うメロディが僕には聴こえてくるんだ」

 

 フランク・シナトラやメル・トゥーメのようなポピュラーなジャズ・シンガーに憧れていたという彼ですが、到達したスタイルは彼にしかできないまったく独自のものでした。

 

 

 

ア・ソング・フォー・ユー

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Silver Morning

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  • アーティスト:Rankin, Kenny
  • 発売日: 2010/02/16
  • メディア: CD
 

 

 

After the Roses

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  • アーティスト:Rankin, Kenny
  • 発売日: 1990/08/18
  • メディア: CD