おはようございます。
昨日の「Blinding Lights」に続いて”光で目がくらんだ”曲をピックアップしました。
Manfred Mann - Blinded by the Light
「光に目もくらみ」。演奏しているのはマンフレッド・マンズ・アースバンドで1976年に発売され、1977年に全米NO.1ヒットになりました。
オリジナルはブルース・スプリングスティーン。彼の1973年のデビューアルバム「アズベリー・パークからの挨拶」からの最初のシングルカットで、いわばデビュー曲になります。(残念ながらヒット・チャートには全く入りませんでした)
ちなみに、スプリングスティーンの邦題は”光に”じゃなく「光で目もくらみ」です。
Blinded by the light- Bruce springsteen.
ブルース・スプリングスティーンは、ロックバンドのボーカルだったのにに、アコギ一本でオーディションを受けてそのパフォーマンスがすごかったために、レコード会社からもマネージャーになる人物からもフォーク・シンガーだと思いこまれた結果、第2のボブ・ディランとしてデビューしたという経緯を持つ人です。
しかし、ソングライティングにおいてはボブ・ディランに大きな影響を受けていて、特にこの時期の彼はイマジネーション豊かな言葉を洪水のようにまくしたてるような歌詞で、リスナーが理解するにはかなり難しいものでした。
マンフレッド・マンズ・アースバンドは60年代に活躍したUKのビート・バンド、マンフレッド・マンの発展形(?)で、サウンドは70年代らしくシンセをメインにしたプログレっぽいスタイルになりました。
マンフレッド・マンズ・アースバンドのヴァージョンを聴いてすぐに気づくのは、
原曲を大きく改編していることです。構成を整理した、とも言えます。
サビ始まりにしてそれを繰り返し、洪水のような歌詞は半分に削っています。
ヒット曲の法則に従ったかのようです。
それから注目されるのはサビの ”Cut Loose like a deuce”を”Revved up like a deuce"に換えていることです。
”cut loose””は解き放つ、自由になる、といった意味で、”revved up”は加速する、という意味です。
deuceとは”2シーターのカスタム・カー”のことで、ビーチボーイズに「Little deuce coupe」という曲があります。
両方とも「カスタムカーみたいにぶっ飛ばすぜ」ということなんですが、マンフレッドマンのほうが”deuce"じゃなく"douche"と歌っているみたいに聴こえるということが当時話題になったようです。(興味のある方は意味を調べていただければ、、)
これはTV番組のネタにもなったそうで、スプリングスティーン自身もその”空耳”のおかげで、大ヒットになったと冗談めかして語っていました。
ともかく、この曲はスプリングスティーンの唯一のNO.1ヒットになりました。
ポップ・ヒットというのはただ詞曲が良いだけでは生まれないんですね、曲の構成を見直して、聴き手にしっかり伝わるアレンジを施す、そこまできっちりやらないといけないのでしょう。
ちなみに、今年4月に日本でも公開される、ブルース・スプリングスティーンの大ファンの少年を描いたイギリス映画 「カセットテープ・ダイアリーズ」の原題が「Blinded By The Light」になっています。
BLINDED BY THE LIGHT - Official Trailer - Now Playing In Theaters
マンフレッド・マンズ・アースバンドはカバーするにあたり、この曲を大幅に改編しています。
Blinded by the Light (Single Edit)
- アーティスト:マンフレッド・マンズ・アース・バンド
- 出版社/メーカー: Creature Music
- 発売日: 2016/07/01
- メディア: MP3 ダウンロード