まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「My Little Red Book」マンフレッド・マン(1965)

 おはようございます。

 今日はマンフレッド・マンの「My Lottle Red Book」です。


My Little Red Book-Manfred Mann

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I just got out my little red book
The minute that you said good-bye
I thumbed right through my little red book
I wasn't gonna sit and cry
And I went from A to Z
I took out every pretty girl in town
They danced with me
And while I held them
All I did was to talk about you
Hear your name and I'd start to cry
There is just no getting over you

No girl who's in my little red book
Just ever could replace your love
And each girl in my little red book
Knows you're the one I'm thinking of
Won't you please come back to me?
Without your precious love I can't go on
Where can you be?
I need you so much
All I do is to talk about you
Hear your name and I start to cry
There is just no getting over you, no, no, no

Won't you please come back to me?
Without your precious love I can't go on
Where can you be?
I need you so much
All I do is to talk about you
Hear your name and I start to cry
There is just no getting over you, no, no

All I do is to talk, talk about you
Hear your name and I start to cry
Well, there is just no getting over you, no, no

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キミがサヨナラって言った瞬間 

僕は小さな赤い手帳を取り出した

赤い手帳を親指でめくった

その場に座りこんで泣き出すつもりはないよ

住所録をAからZまで探したんだ

 

街の可愛い女の子とは全員デートした

みんな僕と踊ったよ

彼女たちを抱きしめると

いつも君のことを話してしまうのさ

君の名前を聞くと 泣き出しそうになるよ

ただ、君のことが忘れられないんだ

 

 

僕の赤い手帳に載っている女の子は誰一人 

君の代わりになれそうもない

僕の赤い手帳に載っている女の子は誰もが

僕が想っているのは君だけだってわかっているんだ

 

どうか僕のところに戻って来て

君のかけがえのない愛がなかったら

ぼくはやっていけないんだ 

どこに君はいるんだい?

君が本当に必要なんだ

口から出てくるのは君のことだけ

君の名前を聞けば 泣き出してしまう

君のことを忘れられないんだ、

 

どうか僕のところに戻って来て

君のかけがえのない愛がなかったら

ぼくはやっていけないんだ 

どこに君はいるんだい?

君が本当に必要なんだ

口から出てくるのは君のことだけ

君の名前を聞けば 泣き出してしまう

君のことを忘れられないんだ、

 

口から出てくるのは君のことだけ

君の名前を聞けば 泣き出してしまう

君のことを忘れられないんだ   (拙訳)

 

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  この曲はピーター・セラーズピーター・オトゥールが主演しウディ・アレンが脚本を書いたコメディ映画「何かいいことないか子猫チャン(What's New Pussy Cat?)」のために書かれた曲です。作ったのはバート・バカラック&ハル・デヴィッド。バカラックの初めての映画作品で、当時彼と付き合っていてこの後間もなく結婚する女優のアンジー・ディキンソンが売り込んで成立したと言われています。

 この映画の主題歌は映画タイトルと同じく「What's New Pussycat」。トム・ジョーンズが歌っています。


What's New Pussycat?

 この「My Little Red Book」は映画の中ではパリのディスコでピーター・オトゥールと相手の女優が服を脱ぎながら踊るシーンに用意されたもので、もともとはモータウンの楽曲が使われる予定だったそうです。

 ダンスをイメージしたというのは、彼の曲の中では相当レアです。しかも、コード・ワークや曲の構成にとことんこだわるのがバカラックですから、この曲も演奏が相当難しかったようです。マンフレッド・マンのリーダーのマンフレッド・マンはジャズピアノ奏者ですが、この曲がうまく弾きこなせず、結局バカラック本人が弾いたそうです。

 

  さて、マンフレッド・マンは南アフリカ出身のキーボード奏者マンフレッド・マンとドラマーのマイク・ハグがまず一緒にバンドを始め、ボーカリストのポール・ジョーンズらほかのメンバーが集まってきたときにマンフレッド・マン&ザ・マンフレッズという名前で活動をしますが、プロデューサーの意見でマンフレッド・マンというバンド名になります。

 ビートルズストーンズキンクスなどイギリスのロック・バンドが華々しく活躍した時代を代表する存在ですが、グルーヴィーなジャズ・テイストが特徴で、日本の渋谷系ブームでも再評価されました。

 彼らの一番のヒットは「ドゥ・ワ・ディディ・ディディ」。これは以前紹介したザ・クリスタルズの「ダ・ドゥ・ロンロン」の作者のジェフ・バリーとエリー・グリニッチが、同じような意味のない言葉を使った曲を書いてほしいという”無茶ぶり”に答えて作ったものと言われています。


Manfred Mann - Doo Wah Diddy Diddy

  

 さて。マンフレッド・マンの「My Littele Red Book」は実は残念ながらヒットしませんでした。

 しかし、翌1966年、LAのサイケデリックなフォーク・ロック・バンド”LOVE"がこの曲をデビュー・シングルにして全米チャート52位の小ヒットになっています。


My little red book - Performed by Love

   バカラックの曲の醍醐味であるコード感の魅力が完全に消えてしまったように僕には思えます。

 バカラックはこう言っています。

「わたしはまちがったコードを弾いている彼らのヴァージョンが好きになれなかった。だがそのヒットのおかげで、ロックンロールの世界でも少しは信用してもらえるようになったことについては、ありがたいと思っている。」

     (「バート・バカラック自伝 ザ・ルック・オブ・ラヴ」)

 カバー・ヴァージョンがオリジナルよりヒットする場合、昨日のこのブログの「光に

目もくらみ」のように必ず何らかの明らかな改善点が見つかるものですが、改悪とまで

はいいませんが、そういう成功例もあるんだなあ、と思います。もちろん、当時にアメ

リカ西海岸で流行っていたのがこういうサウンドだったというのは理解できます。

 でも、もっといいアレンジならチャートもきっと52位以上にいったはず、なんて思っ

てしまいますが、、、。

 

 さて、BOYZONEというボーイズ・グループにいたアイルランド出身のシンガー、ロー

ナン・キーティングが2011年にバカラック自身のプロデュースでカバーアルバムをリリ

ースしていて、その中にこの曲も収録されています。これが、バカラックがイメージす

るこの曲のアレンジなのかもしれません。


My Little Red Book

 

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