まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます

「テイク・オン・ミー(Take On Me)」a-ha(1985)

 おはようございます。

 今日はa-ha。80年代ポップスを象徴する曲を選べと言われたら僕はこの曲をあげるかもしれません。

 それは、80年代ポップスの特徴である(1)ポップでキャッチー(2)シンセ主体のサウンド(3)PVがMTVでブレイク という要素をすべてハイレベルにクリアしていると思うからです。


a-ha - Take On Me (Official 4K Music Video)

 彼らはノルウェイ出身。ポップ・ミュージックが盛んじゃない国のしかも無名のバンドがデビューでいきなり世界的なヒットを飛ばすというのは異例中の異例。それは、いろんな要素が重なった結果だったようです。

 まず彼らは、バックの二人、ギターのポールとキーボードのマグネが一緒にバンドを始めます。ドアーズやジミ・ヘンに影響を受けていてダークでヘヴィなロックが好きだったようです。

 そして、この頃に「Take On Me」の原曲、マグネが作ったあの有名なリフもできていたそうです。ただ、当時はかなりパンクっぽいアレンジだったそうです。

 そして、そこにボーカルのモートンが加わり、そのリフを聴いて”これは世界的なヒットになる”と思ったそうです。

 3人は曲を完成しようとしましたが、納得できる形が見つからず何度も挫折して放り出す、その繰り返しでした。曲名はポールとマグネがやっていた時は「Miss Eerie(不気味、という意)」その後「Lesson One」になっていたそうです。

 ノルウェイの音楽市場は小さかったため、成功を夢見たポールとマグネは、学生だったモートンを置いて、二人でロンドンに行ったそうですが、全くうまくいかずノルウェイに戻ってきます。しかし、しばらくしてまたモートンを加えて3人でロンドンに行き、今度はマネージャーを見つけレコード会社に売り込むことに成功しました。

 レコード会社の担当者は、モートンが映画スターのようなルックスでロイ・オービソンのような声をしている、というところにまず魅かれたようです。

 そして、3曲あった彼らのデモの中に「Take on Me」があって、スタッフも気に入ってシングルにしようということになります。

 

 プロデューサーとして選ばれたのはトニー・マンスフィールド。”テクノ・ポップ”のパイオニアの一人で、高橋幸宏のアルバムにも参加するなどYMOのファンからもかなり認知されていた人です。

   ↓彼がやっていたバンドがNEW MUSIKです。


New Musik - Straight Lines

 トニーは1982年に購入したフェアライトCMI(サンプラーシーケンサー、シンセが一体化した、80年代を象徴する画期的な機材のひとつ)を使って「Take on Me」を仕上げました。それがこのヴァージョンです。


A-HA Take On Me 1984 Version

 しかし、地元ノルウェイ以外では全く売れませんでした。しかし、メンバーはこの曲は売れる可能性があると思ったようで、自分たちだけでもう一度トライしますがうまくいかず、そこで呼ばれたのがクリフ・リチャードとレオ・セイヤーを売った、アラン・ターニーでした。

popups.hatenablog.com

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 メンバーが作ったデモの評価が、本人たちからもスタッフからも高かったので、

アランはもとのデモのアレンジに近づけながら、よりブラッシュアップする方針をとります。

 そして、あのリフのフレーズは、いろいろ試した結果アランが持っていたローランドのJuno60というアナログシンセが一番しっくりしたそうです。

 

 曲はぐっと良く仕上がりました。しかしそれだけではまだ売れなかったそうです。そこで、相談を受けたレコード会社のエグゼクティヴの発案で実写をトレースしてイラスト化する”ロトスコープ”という手法を使ったPVを作ることになります。

 監督はマイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」やダイア・ストイレイツ「マネー・フォー・ナッシング」を手掛けたスティーヴ・バロン

 完成に3か月を要したそうですが、その甲斐あってPVがMTVでオンエアされ始めると一気にブレイクしたのです。

 

 メンバーのマグネがあの”イントロ”を思いついてから、大ヒットするに至るまで、実はかなりの年月と数えきれない試行錯誤と膨大な労力を要していたんですね。

 そして、それだからこそ、80年代のポップヒットの中で、今なお人気の高いスタンダードの一つになることができたのだと思います。

 

 そして、a-haはなぜ「テイク・オン・ミー」みたいなポップな曲を他に作らなかったのだろうと、僕はずっと不思議だったのですが、本来彼らはダークな音楽が好きな人たちで、「テイク・オン・ミー」だけは”イントロ”ができちゃったがために苦労して作った彼らにとっては異色な曲だったというわけなんですね。

 

 最後に、数あるこの曲のカバーの中から、一番オリジナルに忠実な感じのするウィーザーのヴァージョンを。


Weezer - Take On Me (Official Video)

Take on Me (2015 Remaster)

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  • アーティスト:a-ha
  • 出版社/メーカー: Rhino/Warner Records
  • 発売日: 2015/09/18
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

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