まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ジス・オールド・ハート・オブ・マイン(This Old Heart of Mine (Is Weak for You))」アイズレー・ブラザーズ(1966)

 おはようございます。

 今日はアイズレー・ブラザーズの「ジス・オールド・ハート・マイン」です。


The Isley Brothers This Old Heart Of Mine

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This old heart of mine been broke a thousand times
Each time you break away, I fear you've gone to stay
Lonely nights that come, memories that flow, bringing you back again
Hurting me more and more

Maybe it's my mistake to show this love I feel inside
'Cause each day that passes by you got me
Never knowing if I'm coming or going, but I, I love you
This old heart darling, is weak for you
I love you, yes, I do
These old arms of mine miss having you around
Makes these tears inside start a-falling down

Always with half a kiss
You remind me of what I miss
Though I try to control myself
Like a fool I start grinnin' 'cause my head starts spinnin' 'cause I

I love you
This is old heart, darling is weak for you
I love you, yes I do, yes I do

Ooh, I try hard to hide, my hurt inside
This old heart of mine always keeps me cryin'
The way you're treating me, leaves me incomplete
You're here for the day, gone for the week now

But if you leave me a hundred times
A hundred times I'll take you back
I'm yours whenever you want me
I'm not too proud to shout it, tell the world about it 'cause I

I love you
This is old heart, darling is weak for you
I love you
This is old heart, darling is weak for you

I love you
This is old heart, darling is weak for you
I love you, yes I do, yes I do
I love you, yes I do, darling is weak for you

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僕のこのくたびれたハートは 何度も何度も傷ついてきた

君がいなくなるたびに 帰って来ないんじゃないかと怖くなるよ

ひとりぼっちの夜が来て 思い出があふれ出し、君をまた思い出すと

どんどんつらくなってゆく


たぶん僕の胸の内を見せてしまったのが間違いなのさ

だって日ごとに 君のせいで自分がどうしていいのかわからなるんだ

だけど、愛している 

このくたびれたハートは、ダーリン、君のせいで弱っている

愛している そうなんだよ

長く放っておかれた僕の腕は 君を抱きしめたがっている
そして、心の中の涙が こぼれ落ち始める

 

いつだって半分のキスで

君は僕が失ったものを思い出させてくれる

自分をコントロールしようとするけど

バカみたいにニヤけて、頭がまわり始めるんだ
だって

愛しているんだ

このくたびれた心は ダーリン、君のせいで弱っている

愛している、そうなんだ、そうなんだよ

 

ああ、心の傷をなんとか隠そうとがんばっても

僕のこのくたびれたハートはいつも僕を泣かせるんだ
君が僕をあつかうやり方は 僕を不完全なまま放っておくんだ

その日はここに君がいても 1週間はいなくなってしまうのさ

 

だけど100回君が僕から去って行っても、

100回僕は君を取り返すよ
君が求める限り、僕は君のものさ
僕はそれを叫んで、世界中に伝えるほど高慢じゃない

だって僕は

 

愛しているんだ

このくたびれた心は ダーリン、君のせいで弱っている

愛している、そうなんだ、そうなんだよ          (拙訳)
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  アイズレー・ブラザーズは結成が1954年で今も活動しているという、日本風に言えば”国宝級”のR&Bグループです。

 1970年代の全盛期にはR&BグループとしてはE,W&Fに匹敵するセールスをあげていました。

 日本では長らく”知る人ぞ知る”グループでしたが、山下達郎渋谷系のアーティストの熱心なプッシュでじわじわと知名度をあげていきました。

 彼らの作品を順番にたどることは、アメリカのR&Bの歩みをざっくりと把握するにはとてもいい方法だと僕は思っています。

 

  彼らはわずか3年ではありますがモータウンと契約していた時期があって(1965〜68)、この曲は彼らがモータウンに在籍していたころの唯一のヒット曲です(全米12位、R&B6位、イギリスでは1968年に再発された時に3位になっています)。

 

 曲を作ったのは、モータウン最大のヒットメイカー・トリオ、ホランド=ドジャー=ホランド、それにシルヴィア・モイが加わっています。彼女はスティーヴィー・ワンダーの「アップタイト」や「愛するあの娘に」、「マイ・シェリー・アモール」などを共作している作家です。

 当初はスプリームスのために書いたという説とフォー・トップスに書いたという説があるようです。

 

  上々のスタートを切った彼らですが、モータウンにはテンプテーションズ、フォートップスという強力な男性グループの二枚看板がいましたので、彼らは二線級のポジションしか得られなかったため、モータウンを離れることを決めたようです。

 

 さて、この曲の内容なんですが、山下久美子に「時代遅れの恋心」なんて曲がありましたが、タイトルThis Old Heart of Mineの”Old"は年とった、とか、時代遅れになった、っていうことじゃないみたいですね。

 彼女から何度も何度も傷つけられボロボロになった、という感じでとらえている訳がネットを見ると多いようです。僕はキミを待ち焦がれて、待ちくたびれた、というニュアンスも感じます。

 あと、このOldには、昔から長い付き合いの僕の心よ、みたいなちょっとした親愛の情も僕は感じるのですが、そのあたりはネイティヴじゃないのでよくはわかりません。

 さて、タイトルはフルサイズでは This Old Heart of Mine is Weak For Youなんですが、僕のボロボロの心は君のせいで弱っている、ということですから、よくぞそれをこんな軽快でノリのいい曲にした、と驚きます。

 ロッド・スチュワートがこの曲を最初にカバーするときに、きっと歌詞のトーンに合わせたのでしょう、ミディアム・バラード調にしたのですが、聴いていて僕はほんとに悲しくなってしまっていました。

 その後、彼は、アイズレー・ブラザーズのボーカル、ロナルド・アイズレーとのデュエットで再度カバーしたのですが、そのときには軽快なアレンジにしていました。

 

 悲しいアレンジだと主人公はほんとに救いがなくなってしまうし、ノリのいいアレンジに載せると、ちょっと懲りないやつというか、しょうがないか、みたいな気持ちになるもので、つくづくポップスって、アレンジで変わるもんだなと思います。

 

本来この曲を最初に歌うはずだった?スプリームスのヴァージョン(1966)

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ロッド・スチュワート最初のカバー。1975年のアルバム「アトランティック・クロッシング」からシングルカット。全米83位、全英4位

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 ロッド二度目のカバーはロナルド・アイズレーとのデュエット。1989年全米10位、全英51位

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追記:日記のブログを始めました。映画や本などについても語っています。

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