まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「FIVE」YAJICO GIRL(2020)

 おはようございます。

 今日は日本の最新のCITY POPチューン、YAJICO GIRLの「FIVE」です。


FIVE

  1980年代にFMから流れてきた日本のポップスに慣れ親しんだ人だったら、”これホントに新曲なの?再発じゃないの?”と思うんじゃないでしょうか。

 最近のCITY POPシーンが盛り上がっているのは知っていましたが、こんなテイストの楽曲が若いバンドの新曲として聴けることに僕も驚いてしまいました。

 

 この「FIVE」を演奏しているYAJICO GIRLは、大阪を拠点として活動している五人組(今年上京したようです)。

 彼らはもともとはASIAN KUNG-FU GENERATIONBUMP OF CHICKENなどに憧れてバンドを始めて、「出れんの!?サマソニ!?」や「未確認フェスティバル」といった、ロック・フェス系のオーディションなどで勝ち残って有名になった、いかにも日本のロック・バンドらしいプロフィールの持ち主で”CITY POP”との接点など全くなさそうなんですよね。

 

 2016年リリースの「いえろう」


YAJICO GIRL - いえろう[Official Music Video]

 

 興味深いのはバンドのフロントマンである四方颯人がインタビューで、2016年頃にフランク・オーシャンやチャンス・ザ・ラッパーやソランジュといったアーティストの作品を聴いて

「ファッションとして受け止めたわけじゃなくて、本当に、彼らの作品を聴いて、耳が変わってしまったんですよ。なにもかも今までと違った。そうなるともう、あとには戻れない」

                          (CINRA.NET)

 そしてSpotifyApple Musicといったストリーミング・サービスに適した音楽、海外の音楽シーンの動向が反映された作品作りへと、意識がシフトしていったようです。

 そして作ったのが「インドア」というアルバムでした。


YAJICO GIRL - NIGHTS [Official Music Video]

 このアルバムを作った後、四方は”明るいものを作りたいモード”になったと語り、

コロナ禍の中でリモートで制作していったのがこの「FIVE」だったようです。


 特に、CITY POPがどうとか、いう意識はなかったようで、今風であり、懐かしさもあるサウンドだと彼らはとらえているようです。

   "内向き"だった制作の後に、”揺り戻し”のように現れた、率直さや開放感が反映されたものなのかもしれません。

 ちなみに「FIVE」とはメンバー五人のことで、

 歌詞は

” 僕ら何度戸惑ってこの道を歩いてるだろう。何度も壊してやり直しても構わない。夢に描いたところまで あとどれくらいかな 幾つもの音重なって、僕はただ耳を澄ましている”

 とコロナ禍の中で自分たちの音楽制作について、自分たちの立ち位置について見直したようなものになっています。

 歌詞も含めて、これほど清々しい曲はいまどきめずらしいな、と僕は思い、閉塞感が強い今の時期に聴くと特に少し救われるような気持ちになります。

 

    


YAJICO GIRL - FIVE [ Studio Live at FS.]

 

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