まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ウーマン・ニーズ・ラヴ(A Woman Needs Love (Just Like You Do))」レイ・パーカーJr&レイディオ(1981)

 おはようございます。

 今日はレイ・パーカー・Jr。

 朝のワイドショーでチョコレート・プラネットの”Mr.パーカーJr”というネタが子供達に人気だという話題をやっていたのですが、それで反射的に思い出したんです、、。


Ray Parker Jr., Raydio - A Woman Needs Love (Just Like You Do) (Official Music Video)

 

 ”女性には愛が必要さ キミと同じようにね

  彼女は違うって思うことで自分をごまかしちゃダメだ

  彼女だって浮気できるんだよ キミと同じようにね

  もしキミが彼女が欲しがっている愛をあげなければ

 

  昔風の考えで失敗しないように

  時代は日々変化してるんだ

  そんな古い男性本位の考え方は

  今の女性は受け入れないよ

 

     だからキミが彼女を欺いてるって思ったときは

   彼女もキミを欺いてるのかもしれない

   いいかい キミにやれるってことは 彼女にもやれるってことなんだ

 

      だって女性には愛が必要なんだ  キミと同じようにね

   彼女は違うって思おうとして 自分をごまかしちゃダメだ

   彼女だって浮気できるんだよ キミと同じようにね

   もしキミが彼女が欲しがっている愛をあげなければ

 

      もし彼女の瞳が愛情を求めているなら

   先送りにしちゃダメさ 待たせたらダメさ

   疲れたとか 仕事で遅くなるとか

   使い古された言い訳なんてしないように

 

   いつかある日 仕事が早く終わって家に着き

  ドアを開けたら キミは傷つくことになるよ

 

  それは 彼女にも愛が必要だから キミと全く一緒さ

  女性にはなくちゃならないんだ キミだってそうだろ

  もしキミが賢かったら 浮気はやめることだ

     彼女だってするかもしれないんだから

 

  じゃあキミに例え話をしよう

  哀れなジャックが丘の上に帰ってきたら

  誰か他のヤツがジルと愛し合っていたってさ

 

     女性には愛が必要なんだ  キミと同じようにね

   彼女は違うって思うことで 自分をごまかしちゃダメだ

   彼女だって浮気できるんだよ 浮気するだろう

   何か保険をかけたほうがいいだろうな 彼女が浮気しないように

 

  ちゃんと愛するんだ 彼女がキミと同じように欲しがっている
  甘く優しい愛を

  だって彼女は浮気できるんだ 浮気するだろう

  キミがいてもいなくても キミがやるように

  女性には愛が必要なんだ  キミと同じようにね

   彼女は違うって思おうとして 自分をごまかしちゃダメだ

   彼女だって浮気できるんだよ キミと同じようにね

   女性には愛が必要なんだ キミと一緒さ                       ” (拙訳)

 

 

 当時全米4位まであがって日本でも人気の高い曲でした。

 レイディオは1977年にレイ・パーカーJrが結成したバンド。メンバーのジェリー・ナイトはのちに兄妹グループ”ザ・ジェッツ”の「クラッシュ・オン・ユー」などの共作、共同プロデュースをやっています。

 ちなみにグループ最大のヒット「ウーマン・ニーズ・ラヴ」の直後、グループは解散してしまいます。

 僕もこの曲はリアルタイムで聴いていたですが、歌詞をちゃんと読んだことがなくて、ずっと、曲調とレイ・パーカーJrの醸し出す雰囲気から、女性に向かって”女性ってのは愛がなくちゃいけない生き物だよね、僕はよ〜くわかるってるんだよ〜”と歌っている、優男風のナンパ師の歌だと勝手に思い込んでいました。

 しかし、これは男が男に向かって、いい加減浮気をやめないと逆に彼女から裏切られるぞ、って警告している歌なんですね。こんなに甘くソフトな曲にしなくてもいのに、、。

 これは、彼がスタジオでギターのダビング作業をしている時に、スタジオのカウチに女性が5人座って男の話をしながら騒いでいたそうで、内容は主に男が逃げてごまかしたりすることへの不満や怒りだったらしく、そこからこの曲の歌詞を思いついたそうです。

 

 さて、この歌詞の途中で唐突に”例え話”でジャックとジルというのが現れますが、これは1977年の彼らの初の大ヒット曲に「ジャック・アンド・ジル」(全米8位)という曲があるんです。


Ray Parker Jr & Raydio - Jack and Jill ( Original Video )

 

 "ジャックは 人恋しくなって

  丘の上に座って 一日中ジルの帰りを待っていた

  ジルは いつも家を留守にして  電話するのも面倒臭がって

  いつも哀れなジャックをひとりにしていた 

 

  さあ、どうしてジャックはこっそり丘を降りて行ったのでしょう

  それは愛が欲しかったから 愛をジルからはもらえなかったんだ

 

   ジャックは赤ずきんちゃんみたいに

   いつもいい子でいようとがんばって 

   できるだけ待ってみたんだ

 

 ジル もしキミがそんなに長い間彼を家にほったらかしにするなら

 関係を続けていくのは ジャックにとって正しいのか間違っているのか?

 

  どうしてジャックはこっそり丘を降りて行ったのでしょう?

  それは愛が欲しかったから 愛をジルからはもらえなかったんだ” 

                            (拙訳)

  
 「ウーマン・ニーズ・ラヴ」に出てくる”ジャックとジルの話”が、「ジャック・アンド・ジル」の続きだということなら、ずっといい子で待ってたけど相手にされす、我慢できなくなって丘を降りて行ったジャックが、丘に戻ってみるとジルが他の男とデキていた、という話になるわけで、それはいくらなんでもジャックがかわいそうだと思うのですがどうなんでしょう?

 それに、彼女に放っておかれた寂しい男の話を、こんな軽快で元気な曲にしなくても、と思うのですが、この元祖"ミスター・パーカーJr"は相当なひねくれ者なんでしょうか?

 

  さて、この「ジャック・アンド・ジル」にもまた”元ネタ”があります。

 英米の古い童謡集”マザー・グース”の中にあるんですね。


Jack And Jill Nursery Rhymes for Children

 

 ”ジャックとジルは丘に登った バケツ一杯の水を汲みに

  ジャックは転んで落ちて 頭を打った(王冠が壊れた)

  ジルもその後から転がり落ちた

     ジャックは起き上がると家に向かって走った

  なるべく早く  飛び跳ねながら

   ジャックの母さんは頭にビネガーをつけて

   茶色の紙を巻いたとさ      ”     (拙訳)

 

 おいっ、ジャック、転んだジルを放ったらかしにしてるぞ!そんなことしてるから将来相手にされなくなって、浮気されるんだよ、などと言いたくなりますが、(苦笑。

 

 それはともかく、マザーグースの中でもこれは有名な曲のようです。シェークスピアの「真夏の夜の夢」にもジャックとジル、というのが出てくるそうです。

 ジャックとジルといえば、男と女の代表的な呼称として英米ではピンとくるのかもしれませんね。

 そして、その前提があればこそ「ジャック・アンド・ジル」は大ヒットし、それをまた「ウーマン・ニーズ・ラヴ」にもさりげなく反映させているというわけです。

 ”元祖Mr.パーカーJr”さんは、なかなかの策略家のようですね。

 

 

 

 

ベスト・オブ・レイ・パーカーJr.

ベスト・オブ・レイ・パーカーJr.