まいにちポップス

1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、勝手な推理、などで紹介していきます

「ドント・ドリーム・イッツ・オーバー(Don't Dream It's Over)」クラウデッド・ハウス(1986)

 おはようございます。

 今日は発売されて30年以上たつのに、今の時代にもリアリティを感じさせる曲として人気が高まっている「ドント・ドリーム・イッツ・オーバー」です。


Crowded House - Don't Dream It's Over (Official Video)

 

  "内側に自由があり 外側にも自由がある

   それは紙コップで洪水を受け止めようとするようなもの

   行く手には戦いがあり 多くは負けてしまう

   だけど君が僕と旅する間は この道の終わりを決して見ることはない

   

   さあ今は今は もう終わりだなんて夢想しないで

   世間の人たちがやってきて やつらが僕たちの間に壁をたてようとしても

   うまくいくはずはないさ

 

   今僕は壊れた車を牽引していて 屋根には穴が空いている

   何かを所有することで僕は疑い深くなってしまう なんの証拠もないのにね

   今日の新聞には戦争や廃棄物の話があったけど

 君は見もせずテレビ欄を探してページをめくった

 

   さあ今は今は もう終わりだなんてぼんやり思っちゃだめだ

   世間の人たちがやってきて やつらが僕たちの間に壁をたてようとしても

   うまくいくはずはないさ

 

  今僕はドラムのビートに合わせてもう一度歩き始めている

  君の心のドアまでの歩数を数えながら

  行く手に見えるのは影しかないけど かろうじて頭上はクリアで

  解放と自由の感覚がわかりはじめた

 

   さあ今は今は もう終わりだなんて夢想しないで

   世間の人たちがやってきて やつらが僕たちの間に壁をたてようとしても

   うまくいくはずはないってわかるよね

 

 やつらに負けちゃいけない 今は今は

 やつらに勝たせちゃいけない 今は今は、、 (拙訳)

 

 この曲を歌っているクラウデッド・ハウスはオーストラリア、メルボルンで結成されたバンドですが、この曲を書いたメンバーのニール・フィンはニュージーランドの人です。

 僕は最初にこの曲を聴いた時に”Don't Dream ,It's Over”(夢なんか見るなよ、もう終わったんだから)という風に悲しく受け止めてしまっていたのですが、本当は”It's Over”だなんて思っちゃいけない、という励ましの歌です。

 両方の解釈があることをニール本人も理解しているようですが、本人が書いた意図はあくまでも「あきらめるな」ということだと語っています。

 

 ただ、僕がこの歌をネガティヴに解釈してしまったのは、曲調やサウンドにも原因があると思います。儚げでどこか憂いもありますよね。

 (この曲のキーがEではなくE♭であることで悲しげなトーンになっているとニールの友人が指摘したそうです)

 そして、歌詞をあらためて読むと、主人公の置かれている状況自体はまったく良くないですし。

 

 しかし、このネガティヴな方向にも受け取れるトーン、ということがこの曲の大きな魅力なんだと僕は思います。

 この曲について、ニールは一方では”喪失、敗北”の感覚が、もう一方では”もう終わりだなんて思うな”と自分の言い聞かせる気持ちがあったと語っています。

 その2つの極に揺れる、矛盾した感覚こそがリアリティになっているんじゃないでしょうか。

 ただ元気で明るい曲調なんの迷いなく”もう終わりだなんてあきらめるな”と歌う曲が、今の世の中で説得力を持つとは僕にはとても思えません。

 この歌が困難な環境にいてこの先の光明もはっきり見えない状況の中で、なんとか歩を進めようとするものだからこそ、今の世界で切実に響くのだと思います。

 

 また、この曲は励ましの歌でありながら、歌詞が現実的な味気ないものじゃなく、イメージを重視した詩的なものであるのというのも魅力だと思います。

 例えば、

 ”Try to catch a deluge in a paper cup”(紙コップで洪水をうけとめようとする)

 なんていうフレーズが出てきますが、これはビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」の

 ”Words are flowing out like endless rain into a paper cup”(言葉は降り止まない雨のように紙コップをあふれ)

 のオマージュのようなものなのだそうです。

 これはどういうことだろう?と、そのフレーズの意味を考えるのも歌詞ならではの面白さでもありますよね。

 

 ここでこの曲のカバーをいくつか。

   最初にカバーしたのはポール・ヤングでした。1991年にシングルでリリース。


Paul Young - Don't Dream It's Over (Official Music Video)

 「Kiss Me」のシックスペンス・ノン・ザ・リッチャー。2003年のシングル。


Sixpence none the richer - Don`t dream it`s over (official video)

 一番驚いたのは、マイリー・サイラスアリアナ・グランデですね。これはマイリーが2014年に発足させたLGBTやホームレスを支援する団体”ハッピー・ヒッピー・ファウンデーション”のPRの一環として、有名曲のカバーした動画をアップしていたうちのひとつ。


Happy Hippie Presents: Miley Cyrus & Ariana Grande - Don't Dream It's Over

  パール・ジャムエディ・ヴェダーとコールド・プレイのクリス・マーティンというすごい組み合わせ。


Eddie Vedder & Chris Martin - Don't Dream It's Over (Live) (Subtitulado)

 

 そしてニール・フィンの2015年、彼の地元ニュージーランドオークランドでのライヴ映像。ストリングスを加えた美しいヴァージョンです。


Neil Finn - Don't Dream It's Over (live with strings, Auckland 2015)

 

 そして最後は最新の動画(4月27日公開)。各メンバーがそれぞれの家で演奏したものです。


Crowded House - Don't Dream It's Over (live from home, 2020)

 

ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー

ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー

 

 

FROM TIME TO TIME

FROM TIME TO TIME

  • アーティスト:YOUNG, PAUL
  • 発売日: 1998/09/14
  • メディア: CD