おはようございます。
前回紹介したE.L.O(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のサウンドを、日本人で一番見事に(?)とり入れたのは奥田民生かもしれません。
彼は、パフィの「アジアの純真」(1996)でいちだんとE.L.Oに近いサウンドを披露しますが、僕はこっちが好きなんです。
『ヒゲとボイン』は、小島功の漫画のタイトルです。1974年から2011年という大変長きに渡って『ビッグコミックオリジナル』に連載されていました。
小島功といえば、中高年層には”カッパ黄桜”のCMの印象が強いですよね。エロチックなんですけど、パロディっぽい客観的な目線で飄々と書かれているから、”エロエロしていない(変な言い回しになってしまいましたが)”んです。
E.L.Oと小島功の合体というセンスがすごいですね。
それまでの日本のポップスは、洋楽っぽい曲をやるときには、いかにも洋楽っぽい英語のタイトルをつけたりとか、”翻訳小説”のような音楽になるのが普通でしたが、洋楽に全く接点のない日本文化を混ぜてくる、という奥田のアプローチは、新たな地平を切り開いたとも言えます。
”外人になろうとしてきた”それまでの日本ポップスを、客観的にちょっと諧謔的に見る視点が生まれたんですね。
どんな外人になろうとがんばってもなれないだろう、日本人なんだから、という。
洋楽をひたすら追いかけていた日本のポップスの風向きが変わり始めたのが、ちょうどこの頃だったかもしれません。