まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ヒゲとボイン」ユニコーン(1991)

 おはようございます。

    今日は、ユニコーンの「ヒゲとボイン」です。


ユニコーン 『ヒゲとボイン』

 前回紹介したE.L.O(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のサウンドを、日本人で一番見事に(?)とり入れたのは奥田民生かもしれません。

 彼は、パフィの「アジアの純真」(1996)でいちだんとE.L.Oに近いサウンドを披露しますが、僕はこっちが好きなんです。

 『ヒゲとボイン』は、小島功の漫画のタイトルです。1974年から2011年という大変長きに渡ってビッグコミックオリジナル』に連載されていました。

 小島功といえば、中高年層には”カッパ黄桜”のCMの印象が強いですよね。エロチックなんですけど、パロディっぽい客観的な目線で飄々と書かれているから、”エロエロしていない(変な言い回しになってしまいましたが)”んです。

 E.L.Oと小島功の合体というセンスがすごいですね。

 それまでの日本のポップスは、洋楽っぽい曲をやるときには、いかにも洋楽っぽい英語のタイトルをつけたりとか、”翻訳小説”のような音楽になるのが普通でしたが、洋楽に全く接点のない日本文化を混ぜてくる、という奥田のアプローチは、新たな地平を切り開いたとも言えます。

 ”外人になろうとしてきた”それまでの日本ポップスを、客観的にちょっと諧謔的に見る視点が生まれたんですね。

 どんな外人になろうとがんばってもなれないだろう、日本人なんだから、という。

 洋楽をひたすら追いかけていた日本のポップスの風向きが変わり始めたのが、ちょうどこの頃だったかもしれません。

 

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