まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ディギング・ユア・シーン(Digging Your Scene)」ブロウ・モンキーズ(1986)

 おはようございます。

 今日はブロウ・モンキーズの「ディギング・ユア・シーン」です。

 昨日のブログで書いたウィリアム・デヴォーンの「ビー・サンクフル・フォー・ワット・ユー・ゴット」に”Diggin' The Scene”という言葉が出てきたので、連鎖的に思い出したわけですが、、。


The Blow Monkeys - Digging Your Scene

  ”君からのメッセージを受け取ったよ

   君がいなくなるなんて  悲しすぎて見ていられない

 (怖くて息を飲み込み、クラクラする、この気持ちはなんだろう)

      最後に君をとらえてしまう それは神の報復なのか

 

  ああ、はっきりさせるべきなのはわかっているんだ

  でも、僕はつい自分を欺いてしまう

  (毎日僕は一人ぼっちで歩きながら 神様に見つからないよう祈るんだ)

  わかってるよ それは間違いだって

  

  どうしてか教えてよ 君がいる”シーン”が僕は好きなんだ

  僕にも死ぬ時が来るとわかってるけど 

 

    君からのメッセージを受け取ったよ

    君がいなくなるなんて 悲しすぎて見ていられない

  (僕はまるで大人の中にまぎれこんだ子供みたいだ)

  (僕はいつまでも友達でいたいんだ)

  もう一度、僕は正気に戻って考えたいんだ”   

 

  どうしてか教えてよ 君がいる”シーン”が僕は好きなんだ

  僕にも死ぬ時が来るとわかってるけど   (拙訳)

 

 ”「ディギング・ユア・シーン」は80年代初めのクラブ・シーン、特にその中のゲイのシーンへの”敬意の表れ”なんだ。僕の人生のある時点でそれが一番エキサイティングなものだった。

 <中略>

 僕はゲイじゃなかったし、そのシーンの半分の人間はそうじゃなかったよ。でも、そういう振るまいがほんとに目新しくて面白かったんだよ。それでこの曲はのベースはAIDSについて書かれているんだ、それがどんな風にゲイのシーンにいる人々の中で起こり始めていたかということをね”

 

 これはこの曲を書いた、グループのボーカル、ドクター・ロバートの言葉です。

 エイズにかかってしまったクラブ仲間に贈った歌なんですね。確かに、この当時エイズは世界的に流行し始め、それに合わせてゲイに対する偏見や差別意識が問題になりました。この歌詞でも、そういった主人公の葛藤が表れているところがあります。

 軽快でホントに心地よい曲なんですが、歌の内容は違ったんですね。

 

 バンドの中心人物、”ドクター・ロバート”ことブルース・ロバート・ハワードはスコットランド出身で15歳から20歳までオーストラリアにいてロック雑誌の記者をやっていたそうです。

 ポップ・ミュージックの世界を変えたい、メスを入れたい、ということで”ドクター”にしたらしいです。

 ブロウ・モンキーズとは彼がインタビューしたことのあるアポリジニのグループの名前であり、管楽器奏者に対するイギリスのスラングでもあるそうです。

 

 バンドは1990年に活動を停止し、ロバートはソロ活動を始めながら、ポール・ウェラーのソロ・アルバムにミュージシャンとして参加しています。

 彼はイケメンだったので、80年代のビジュアル重視のポップ・シーンにうまく乗りながらも、本質はレコードおたくだったので、キャリアとともに”渋い方向”に向かっていきました。

 2008年にバンドは復活し、彼はソロ活動と並行して精力的にリリースしています。

 最後は2013年に発売されたブロウ・モンキーズの「アコースティック」に入っていた「ディギング・ユア・シーン」を。


Digging Your Scene

 

 

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