まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングを、エピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などを交えて紹介しています。親しみやすいポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”な存在になってしまったのかもしれませんが、このブログがみなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。追加情報や曲にまつわる思い出などありましたらどんどんコメントしてください!text by 堀克巳(VOZ Record

「モーニング・ガール(Morning Girl)」ネオン・フィルハーモニック(1969)、「素敵なモーニング・ガール」ショーン・キャシディ(1976)

 おはようございます。

 さて今日は、素敵な曲が多い"ガールもの"の中から1969年に全米17位まであがるヒットとなったネオン・フィルハーモニックの「モーニング・ガール」を。

www.youtube.com

Morning girl
How'd you sleep last night?
You're several ages older now
Your eyes have started showin' how
The little girl's growin' now

Morning girl
Was that you last night
Crying on the radio
Beggin' for a way to go
To go back where love
Wasn't jumbled so?

Oh no, things are different now
Than they were before
You know love is more than kisses
A whole lot more

Morning girl
Put your dreams away
And read your box of Cheerios
And powder-puff that pretty nose
And go out and find your man
Where the wild wind blows
Morning girl

***********************************

モーニングガール
昨夜はよく眠れたかい?
君も今じゃすこし大人になったね
君の瞳は輝き始め
幼い少女は成長しているんだね

モーニング・ガール
昨夜君は
ラジオを聴きながら泣いていたんだろう
愛がぐちゃぐちゃになる前に
戻りたいとひたすら願いながら

ああ, 今じゃ昔とは変わってしまったのさ
愛はキス以上のものなんだよ
もっとずっと

モーニング・ガール
君の夢をしまって
チェリオスの箱を読んで
その可愛い鼻をパフをして
そしたら外に出て男を見つるのさ
野生の風が吹くところで
モーニング・ガール  (拙訳)

***************************************

 このところ、くどいくらいに書いてきましたが、1966年のビーチボーイズの「ペット・サウンズ」に刺激を受けたビートルズ、特にポールの才能がさく裂し(「サージェントペパーズ」「マジカル・ミステリーツアー」)、「デイドリーム・ビリーバー」や「君の瞳に恋してる」なんていう不滅のポップスも生まれた1967年はすごい年でした。

 しかし、その勢いが続いた翌1968年も素晴らしいポップスが作られました。

 1960年代前半から中ごろの、ポップス黄金時代は、シンガーとソングライター、プロデューサー、プレイヤーが完全分業制のヒット曲生産システムが大回転しました。しかし、1960年代後半はビートルズの動きに触発されて、サウンドにこだわったポップス、コンセプト・アルバムを作ろうという動き活発になりました。

 アソシエーションの「バースデイ」、ミレニアムの「ビギン」、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズなど後世になって高く再評価されるソフト・ロックのアルバムが作られたのです。 (逆にシングル市場では1910フルーツガム・カンパニーなどのバブルガム・ポップが大ブレイクしていました)

 ネオン・フィルハーモニックはその流れに沿って現れた新しいバンドでした。ソングライター、キーボーディストのタッパー・ソーシーとボーカリストドン・ブラントの2人組で、こういう音楽には珍しく、カントリーのメッカ、ナッシュビルで結成されました。

 有名なプロデューサー、アレンジャー、プレイヤーは使わず、タッパー・ソーシーが中心になって地元ナッシュビルで録音したようですが、ナッシュビル・シンフォニー・オーケストラのストリングスがとても効果的に使われています。タッパーはクラシックやジャズの素養もすごくあったようです(検索してみたら、最近は陰謀論、世界を動かしている陰謀をあばく研究者として本を書いていました、、、)

 さて、「モーニング・ガール」は、子供からいつのまにか大人になった少女になんだかんだ言ってしまう、ポール・マッカートニーの「あの娘におせっかい」的な歌です(最後は、外に出ていって、君に似合った男を見つけるがいい、などと言っています)

 この曲が収録されたアルバム「ザ・モス・コンフェセズ」(The Moss Confesses、蛾は告白する、なんてタイトル、、)の最後に”Morining Girl ,Later"(モーニング・ガール、その後)という曲があって、”いったいこんな長い間、どこに行っていたんだ?”という歌詞で始まっていて、お前が出ていけっていったんだろ、とつい突っ込みたくなりますがw。

www.youtube.com

 それはともかく、無名の新人バンドで、ヒット・メイカーたちの力を一切借りずに全米17位のヒットになったわけですから、曲が良かったのだと思います。

  1976年にショーン・キャシディもカバーしています。彼のデビュー曲で、邦題は「素敵なモーニング・ガール」でした。

www.youtube.com

 実はこれ「Morning Girl, Later」の方のカバーなんですね。おっさんが成長する少女を見つめる「Morning Girl」よりも、大人になってちょっとスレちゃった「Morning Girl,Later」の方が、18歳のショーンが歌うと切ない感じが出ると思ったのでしょうか。。しょうがない(?)こっちも訳してみましょう。

Morning girl
Where you been so long?
Your lips have got some color now
A little too much color now
Your clothes have gone from nylon
To lace somehow

Morning girl
My, you've been around
I see you haven't found your man
The diamond's on the other hand
Well, a man is hard to find
In a woman's land

Oh, don't let too many fears
Wash away your dreams
Just tell yourself that nothing matters
But be prepared

'Cause someday, girl
You'll forget my name
And all I've ever said to you
And all I've ever meant to you
And now your getting up
And I've got things to do
Morning girl

*********************************************

モーニングガール
ずっとどこに行ってたの?
今は口紅なんかつけて
ちょっとキツイ色だね
キミの服もナイロンから
レースに変わってしまったんだね

モーニング・ガール
キミはいろんな経験してきた
理想の男は見つかってないんだね
ダイヤモンドはもう片方の手に
男を見つけるのは難しいものさ
女性の国では

ああ、怖がりすぎて
夢を洗い流してしまわないように
大したことないと自分に言い聞かせればいい
でも覚悟はしておくんだ

だっていつか、ガール
僕の名前も忘れてしまうだろう
僕が君に言ったことも
僕が君に言いたかったことも
そして今、キミは立ち上がり
ボクにもやるべきことがある
モーニング・ガール    (拙訳)

*************************************

 最後はピンクレディがライヴでこの曲をカバーしているのでそれをご紹介して終わります。1978年ラスベガスのトロピカーナ・ホテルでのライヴを収めたアルバム「America! America! America! 」に収録されていました。メドレーになっていて、「あの娘はアイドル」(パット・マッグリン)から「素敵なモーニング・ガール」、そしてショーン・キャシディがリバイバルヒットさせた「ダ・ドゥ・ロン・ロン」という構成になっています。

www.youtube.com

Morning Girl

Morning Girl

  • Curb Records
Amazon