まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「トゥー・ヤング(Too Young)」フェニックス(2000)

 おはようございます。

 今日はフェニックスの「トゥー・ヤング」です。

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Baby when I saw you turning in
At the end of the street
I knew a time was gone
And it took me like ages
Just to understand
That I was afraid to be a simple guy
I tried my best to smile
But deep inside my heart
I felt it would shout like a crowd dancing
I guess I couldn't live without the things
That made my life what it is


Can't you hear it calling, oh yeah
Everybody's dancing, oh yeah
Tonight everything is over
I feel too young


I can't lie on my bed
Without thinking I was wrong
But when this feeling calls
This world becomes another
Nighttime won't hold me in your arms again
I got a very good friend who says
He can't believe the love I give
Is not enough to end your fears
I guess I couldn't live without the things
That made my life what it is


Can't you hear it calling, oh yeah
Everybody's shaking, oh yeah
Tonight everything is over
I feel too young


Oh rainfalls and hard times coming
They won't leave me tonight
I wish I knew what I was doing
Just do let this spirit survive


Everybody's dancing oh yeah
I guess I couldn't live without the things
That made my life what it is

Can't you hear it calling, oh yeah
Everybody's dancing, oh yeah
Tonight everything is over
I feel too young


Can't you hear it calling, oh yeah
Everybody's shaking, oh yeah
Tonight everything is over
I feel too young


Can't you hear it calling

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Baby  この道の行き止まりで
君が振り返った時に
一つの時間が行ってしまったことがわかった
僕は平凡な男になるのが怖かったんだと
それだけを理解するのに
まるで長い年月がかかったみたいだ
笑顔でいようと努力したけど
でも心の奥底では
踊る群衆みたいに叫んでる感じがした
僕の人生を成り立たせてくれたものがなかったら
僕は生きられなかったと思うんだ

 

呼び声が聞こえないかい?
みんな踊ってるんだ
今夜はすべてが終わる
僕はあまりに若すぎる気がする


僕は自分が間違っていたと思わないで
ベッドに横になんてなれない
だけど、この気持ちが呼ぶかけるとき
この世界は別のものになる
夜になっても君の腕に抱かれることはないだろう
僕にはとても仲のいい友がいて、彼は
僕があげた愛が君の怖れを終わらせるには
不十分だなんて信じられないと言う
僕の人生を成り立たせてくれたものがなかったら
僕は生きられなかったと思うんだ


呼び声が聞こえないかい?
みんな踊ってるんだ
今夜はすべてが終わる
僕はあまりに若すぎる気がする


雨が降って 辛い時がやってくる
やつらは今夜 僕から離れないだろう
僕は自分が何をしているのかわかっていたら、と思う
ただ、この魂を生き延びさせるのさ


みんな踊っている
僕の人生を成り立たせてくれたものがなかったら
僕は生きられなかったと思うんだ

呼び声が聞こえないかい?
みんな踊ってるんだ
今夜はすべてが終わる
僕はあまりに若すぎる気がするんだ


呼び声が聞こえないかい?
みんな踊ってるんだ
今夜はすべてが終わる
僕はあまりに若すぎる気がするんだ

呼び声が聞こえないかい?

       (拙訳)

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 フェニックスはパリ近郊ヴェルサイユで幼馴染として育ったメンバーによって1990年代半ばに結成された4人組ロック・バンドです。ギターのローラン・ブランコウィッツはそれ以前に”ダーリン”というバンドを組んでいて、解散後に他のメンバーの二人が結成したのがダフト・パンクでした。

 

 1997年には自主制作で「Party Time」というシングルを500枚限定でリリースしています。かなりストレートな”ガレージ・ロック”のスタイルだったんですね。

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 この「Party Time」がきかっけでSOURCEというインディーズレーベルと契約します。

 そして、2000年にリリースした「United」というデビューアルバムからのシングルでフランスのチャートで97位に入ったのがこの「トゥー・ヤング」でした。僕はそこで97位?って思ってしまうのですが、それは、結構この曲日本のラジオでオンエアされていたからです。世界的にもかなり早いリアクションだったんですね。

 

 2000年というと同じフランスのタヒチ80の「ハートビート」が日本でラジオヒットした年ですから、そう言う流れもあって日本の音楽関係者がフェニックスを見出したのかもしれないですね。

 

 ロック・バンドがさまざまな音楽をミックスしてクラブ・ミュージックともクロスオーヴァーするスタイルというのは、この頃からどんどん増えていきましたね。アメリカではマルーン5、日本ではサカナクションとか。

 

 だいたい、こういった英米以外のポップでセンスのいいロック・バンドは、本国以外は日本でのみ人気なんていうパターンが多いですが、フェニックスの場合全米でもブレイクしてしまいます(してしまいます、という言い方もなんですが、、)。

 

  2009年のアルバム『WOLFGANG AMADEUS PHOENIX』が全米37位、シングル「1901」が全米84位、ロック・チャート3位という成績を収めます。

 それまで、彼らはコツコツと世界中をライヴで回っていましたが、2009年にロサンゼルスのウィルターン・シアターでのライヴが大成功するとともに「1901」の楽曲の評判も高まっていき、アメリカのスーパーボウルグリーンベイ・パッカーズモンタージュで紹介されたり、「サタデー・ナイト・ライブ」をはじめとする夜の人気TV番組で次々とパフォーマンスしたことがヒットにつながったようです。

 

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 そして2013年リリースの「Bankrupt!」は全米4位まで上がっています。

シングル「Entertainment」

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 ミクスチャー・ロックといいうと昔はハードでヘヴィーなものをさしましたが、ある種”ポップなミクスチャー・ロック”を体現した初期のバンドの一つが彼らかもしれません。ボーカルのトーマス・マーズはこのように語っています。

 

「僕らが若い頃、故郷ヴェルサイユの音楽シーンに対してずっと抱いていたフラストレーションというのが、人々が一つのジャンルしか聞かないということ。僕らは様々なスタイルの音楽が大好きだったし、レコード屋に行ってジャケ買いをすることもあった…閉鎖的なコミュニティだったから、音楽についての知識が少なかった部分もあってね。クラフトワークアイザック・ヘイズイギー・ポップなど、一見ミスマッチなセレクションに思えるかもしれないけれど、そういった音楽から感じたものすべてを自分たちの音楽に反映させたかったし、そうしなければならないという信念があった。だから雑然としていて、ミックステープのような作品になったんだよね」

ビルボード・ジャパン 「フェニックス 来日インタビュー~トマ&クリスチャンが語るライブ体験と尽きないチャレンジ精神」)

 

 ご存知の通り、今はジャンルを超えて音楽を楽しむのが当たり前の時代(パンク派、ヘビメタ派とかジャンルで派閥を作っていたあの時代は遠く消えてしまいましたね)。

フェニックスはサブスクの時代を先駆けていたのかもしれないですね。

 

  さて、この「トゥー・ヤング」は2003年の映画「ロスト・イン・トランスレーション」で使われ、それをきっかけに監督のソフィア・コッポラとバンドのボーカルのトーマス・マーズは結婚しています。

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 彼らの最新作はソフィア・コッポラ監督作「オン・ザ・ロック」(2020)のために作った「Identical」。

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