まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「スキャットマン(Scatman (Ski-Ba-Bop-Ba-Dop-Bop))」スキャットマン・ジョン(1994)

 おはようございます。

 今日はスキャットマン・ジョンの「スキャットマン」です。

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Ska-badabadabadoo-belidabbelydabbladabbladabblabab-belibabbelibabbelibabbelabbelo-doobelidoo
I'm the Scatman


Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
I'm the Scatman
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub


Ba-da-ba-da-ba-be bop-bop-bodda-bope
Bop-ba-bodda-bope
Be-bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda
Ba-da-ba-da-ba-be bop-ba-bodda-bope
Bop-ba-bodda-bope
Be-bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda-bope


Ska-badabadabadoo-belidabbelydabbladabbladabblabab-belibabbelibabbelibabbelabbelo-doobelidoo


Everybody stutters one way or the other
So check out my message to you
As a matter of fact, I don't let nothing hold you back
If the Scatman can do it, so can you
Everybody's saying that the Scatman stutters
But doesn't ever stutter when he sings
But what you don't know, I'm gonna tell you right now
That the stutter and the scat is the same thing to you


I'm the Scatman
Where's the Scatman?
I'm the Scatman


Why should we be pleasing in the politician heathens
Who would try to change the seasons if they could?
The state of the condition insults my intuitions
And it only makes me crazy and hard like wood
Everybody stutters one way or the other
So check out my message to you
As a matter of fact, I'm letting nothing hold you back
If the Scatman can do it, brother, so can you
I'm the Scatman

 

Ba-da-ba-da-ba-be bop-bop-bodda-bope
Bop-ba-bodda-bope
Be-bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda
Ba-da-ba-da-ba-be bop-ba-bodda-bope
Bop-ba-bodda-bope
Be-bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda-bope


Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub


Everybody stutters one way or the other
So check out my message to you
As a matter of fact, I don't let nothing hold you back
If the Scatman can do it, so can you
I hear y'all ask 'bout the meaning of scat
Well, I'm the professor and all I can tell you is
While you're still sleeping, the saints are still weeping 'cause
Things you called dead haven't yet had the chance to be born
I'm the Scatman


Ba-da-ba-da-ba-be bop-bop-bodda-bope, bop-ba-bodda-bope
Be-bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda
Ba-da-ba-da-ba-be bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda-bope
Be-bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda-bope
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub
Ski-bi-dibby-dib yo-da-dub-dub, yo-da-dub-dub


Yeah, I'm the Scatman
Dong dong dong, ding ding dong dong
Wo-go-ez-ze-ze-za-de-ya-de-za-de-ya-ze-ze-zee
Dong-ding-dong-dong-dong, do-dong-ding
Where's the Scatman?
Ska-badabadabadoo-belidabbelydabbladabbladabblabab-belibabbelibabbelibabbelabbelo-doobelidoo
I'm the Scatman, repeat after me
It's a scoobie-oobie-doobie, scoobie-doobie melody
I'm the Scatman, sing along with me
It's a scoobie-oobie-doobie, scoobie-doobie melody
Yeah, I'm the Scatman (I'm the Scatman)


Bop-ba-bodda-bope
Be-bop-ba-bodda-bope, bop-ba-bodda
I'm the Scatman (I'm the Scatman),,,,,

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<ラップ部分のみ>

 

誰もがみんなうまく言葉が出ないのさ、どちらにしろ
だから、君へのメッセージをチェックしてほしい
実際のところ、私は君を躊躇させたりしない
もし、スキャットマンにできるなら、君にもできるよ
みんながスキャットマンが吃音だって言っているけど
だけど、彼が歌うときはつっかえはしない
だけど知らなかったなら 今すぐ教えてあげるよ
吃音もスキャットも君にとっては一緒なのさ


私はスキャットマン
スキャットマンはどこだ?
私がスキャットマン


なぜ私たちが愚かな政治家を喜ばなければならないのか
もしできるとしても、季節を変えようなんて誰がするだろう?
その状態が私の直感を侮辱する
そしてそれは私をおかしくさせ、木のように硬くさせる
誰もがみんなうまく言葉が出ないのさ、どちらにしろ
だから、君へのメッセージをチェックしてほしい
実際のところ、私は君を躊躇させたりしない
もし、スキャットマンにできるなら、君にもできるよ
私はスキャットマン

 


誰もがみんなうまく言葉が出ないのさ、どちらにしろ
だから、君へのメッセージをチェックしてほしい
実際のところ、私は君を躊躇させたりしない
もし、スキャットマンにできるなら、君にもできるよ
スキャットの意味を聞いてみましょう。
私は教授ですが、私が言えるのは
あなたが眠っている間に、聖者たちはずっと泣いている
それは、死んだと思っていたものは、まだ生まれるチャンスさえないから
私はスキャットマン

 

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 彼は1990年代を代表する一発屋ですが、僕が驚くのは日本でシングルじゃなくアルバムがめちゃくちゃ売れたという事実です。確かに1990年代は誰もがCDをホイホイ買っていた(?)時代ではありましたが、日本洋楽史上歴代9位で150万枚突破、というとんでもない大ヒットなのには驚かされます。

 

 スキャットマン・ジョンは本名はジョン・ポール・ラーキンといって、カリフォルニア州生まれで、元はジャズ・ピアニストでした。

 

 幼い頃から彼は吃音のため辛い思いをしたようです。

「子供の頃、何度が喧嘩しなくてはいけませんでした。何度か激しく怒りました。ひとつおぼえている例として、近所の子供が誰かの家で大声で僕の吃音をバカにしたことがありました。本当に傷つきました。僕を粉々にしました。僕は彼らがそのことを忘れた次の日まで待ちました。僕は忘れませんでした。そして、彼らの後を走って追いかけ、父親が止めなければ彼らを殺してしまうところでした。しかし、その痛みが、私はそう望んでいるのですが、僕がなろうとしている良い人間にさせてくれたのです」

(Advance for Speech Pathologists and Audiologists Magazine 1995)

 

  そして、彼は12歳でピアノを習い始め、その後エラ・フィッツジェラルドが「How High the Moon」でスキャットを歌うのを聴いて、スキャット・シンギングに夢中になりました。

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 その後、ピアニストとしてジャズ・クラブで演奏するようになりましたが、吃音を気にしていつもピアノの後ろに隠れていた、と彼は回想しています。

 

 しかし、1984年にクルーズ船で演奏する仕事があった時、彼はなんとかお客さんを盛り上げようとアドリヴで歌うパートを演奏に加えたそうです。そして、それがお客さんにウケたことから、スキャットを本格的に自分のパフォーマンスに加えるようになります。

 1986年には「ジョン・ラーキン」というアルバムをリリースしています。ジャズ・ピアニストとしての達者な腕前も披露しながら、独特のスキャットもすでにマスターしていたようです。

ジョン・コルトレーン」という曲です

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 しかし、この頃彼は吃音を恥じるあまり、ドラッグと酒に走り自滅しかけていたそうです。しかし、1987年に断酒し、1990年ころには完全に回復した彼でしたが、仕事があまりなかったため、ミュージシャンとしての収入を得るためにベルリンに渡ることを決意します。

 そしてベルリンで音楽エージェントをやっている人間に会った時に、彼の妻が彼のスキャットを選りすぐったカセットを彼に渡すと、後日そのエージェントから、スキャットとラップをミックスしたものをやってみないかと提案されます。

 

 ドラッグとアルコールを克服した後、ジャズにこだわらずなんでもやってみようと思っていた彼はその提案を受け入れました。

 そしてメジャーレーベルのハンブルグの支社に売り込みが成功し、見事スキャットマンが生まれることになったわけです。

 

 しかし、CDをリリースすると取材で自分の吃音がバレてしまうことを怖れた彼に、奥さんはそのことを逆に音楽にすればいい、とアドバイスしたそうで、この曲のラップにそれが反映されているわけです。

 そして、この曲は母国アメリカでこそ最高60位でしたが、世界の多くの国で1位を獲得するヒットになりました。そしてアルバム「スキャットマンズ・ワールド」は、前述の通り日本で150万枚以上売り上げを記録、2位はフランスの18万5千枚だそうですから、ぶっちぎりなんですね。

 人生何が起こるか本当にわかりません。

 そんな背景もあって、彼は日本の仕事を積極的にやっていたので覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

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 で、僕は今回アルバム「スキャットマンズ・ワールド」をいまさらなんですが、初めて聴いてみました(笑。で、楽しい気分になりました。これすごく大事なことですよね。そして、この方の持っている人柄の良さみたいなものが、アルバム全体を包み込んでいて、嫌な感じが全然なかったです。これも僕は大事だと思っています。

 

 この大ブレイクが、彼が52歳のとき。そして彼は57歳のときに肺がんで亡くなってしまいました。苦労の多かった人生の最後の方に突然ブレイクが訪れ、その波に乗りながらまさに全速力で走りきったんですね。

 

 最後は彼の弾き語りの映像を。もし、彼がもっと長く生きていたら、スキャットがますます味のあるものになっていたんじゃないかと思えてきて、少し残念な気持ちになりました。

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