まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ロックンロール・ドリーム(Rock and Roll Dreams Come Through)」ジム・スタインマン(1981)

 おはようございます。

 今日はジム・スタインマンの「ロックンンロール・ドリーム」です。

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You can't run away forever
But there's nothing wrong with getting a good head start
You want to shut out the night
You want to shut down the sun
You want to shut away the pieces of a broken heart

Think of how we'd lay down together
We'd be listening to the radio so loud and so strong
Every golden nugget coming like a gift of the gods
Someone must have blessed us when he gave us those songs

I treasure your love
I never want to lose it
You've been through the fires of hell
And I know you've got the ashes to prove it

I treasure your love
I want to show you how to use it
You've been through a lot of pain in the dirt
And I know you've got the scars to prove it 

Remember everything that I told you
And I'm telling you again that it's true
When you're alone and afraid
And you're completely amazed
To find there's nothing anybody can do


(Keep on believing  And you'll discover baby)

There's always something magic 
There's always something new 
And when you really, really need it the most
That's when rock and roll dreams come through

The beat is yours forever
The beat is always true 
And when you really, really need it the most
That's when rock and roll dreams come through for you

I treasure your love
I never want to lose it
You've been through the fires of hell
And I know you've got the ashes to prove it

 

I treasure you love
I want to show you how to use it
You've been through a lot of pain in the dirt
And I know you've got the scars to prove it 

Remember everything that I told you
And I'm telling you again that it's true
You're never alone cause you can put on the 'phones
And let the drummer tell your heart what to do

(Keep on believinig And you'll discover baby)

The beat is yours forever
The beat is always true
And when you really, really need it the most
That's when rock and roll dreams come through for you

 

The beat is yours forever
That's when rock and roll dreams come through)
The beat is yours forever
That's when rock and roll dreams come through),,,,


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永遠に逃げることなんてできないんだ

だけど、人より先にスタートするのは悪いことじゃない

君は夜を締め出し 太陽も閉め切って

壊れた心のカケラをしまいこんでしまいたいんだね

 

二人でどんなふうに過ごすか考えてみようよ

デカい音量でラジオを聴いていたっていい

宝物のような音楽はすべて神様からの贈り物のようにしてやってくる

この曲たちが僕らに与えられたということは

誰かが僕らを祝福しているに違いないんだ

君の愛を大切にする

絶対失いたくはない

君は地獄の火の中をくぐり抜けてきた

そして、君はそれを証明する灰を手にしている

君の愛を大切にする

僕がそれをどう扱うか見せてあげたい

君は泥にまみれ、たくさんの苦痛を経験してきた

そして、君の傷がそれを証明している

僕が言ったことを全部おぼえていて

そして、もう一度言うよ それは真実だと

君が一人で不安になって

誰にでもやれることが何も見つからないことに

完全に動揺してしまっても

 

(信じ続けるんだ そうすれば見つかるさ ベイビー)

魔法のようなものはいつだってある

新しいものもいつだってある

君が本当に、本当に心から求めているなら

そのときこそ、ロックンロールの夢が叶うんだ

 

そのビートは永遠に君のものさ

そのビートはいつだって本物だ

君が本当に、本当に心から求めているなら

そのときこそ、ロックンロールの夢が叶うんだ

 

君の愛を大切にする

絶対失いたくはない

君は地獄の火の中をくぐり抜けてきた

そして、君はそれを証明する灰を手にしている

君の愛を大切にする

僕がそれをどう扱うか見せてあげたい

君は泥にまみれ、たくさんの苦痛を経験してきた

そして、君の傷がそれを証明している

 

僕が言ったことを全部おぼえていて

そして、もう一度言うよ それは真実だと

君が一人で不安になって

誰にでもやれることが何も見つからないことに

完全に動揺してしまっても

 

(信じ続けるんだ そうすれば見つかるさ ベイビー)

 

そのビートは永遠に君のものさ

そのビートはいつだって本物だ

君が本当に、本当に心から求めているなら

そのときこそ、ロックンロールの夢が叶うんだ


そのビートは永遠に君のものさ
そのときこそ、ロックンロールの夢が叶うんだ、、、    (拙訳) 

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  この曲を僕が初めて聴いたのは佐野元春の「サウンド・ストリート」(NHKラジオ)でした。この曲が1981年の4月発売、佐野の「SOMEDAY」が同じ年の6月発売ですから、この曲が「SOMEDAY」に直接影響を与えたことはないでしょうが、リスナーとしてこの2曲は共通するものを強く感じました。

 

 ジム・スタインマンが先月(4月19日)亡くなっていたニュースを見落としていて、数日前に知りました。

 ただ、彼のことは洋楽ファンでもそれほど知られていないかもしれません。

 

 彼の代表作はミート・ローフのアルバム「地獄のロックライダー」(1977年)、彼が全ての曲の作詞、作曲、アレンジを手がけていました。

 僕はこの作品を敬意を込めて、”史上最も偉大なB級アルバム”と呼んでいますが、海外での人気の凄さが日本人に最も伝わっていないアルバムでもあります。

 

 例えば史上最も売れたオリジナル・アルバム(ベスト盤やサントラは除く)のランキングがあるのですが、1位はマイケルの「スリラー」、2位がAC/DCの「バック・イン・ブラック」3位がピンク・フロイド「狂気」、そして4位がこのアルバムなんです。5位がイーグルスホテル・カリフォルニア」、6位フリートウッド・マック「噂」と続きますから、もう、桁違いの大ヒット作です。

 

   ジム・スタインマンはもともとブロードウェイでミュージカルの仕事をしていた人で、彼はピーターパンをモチーフにし、巨漢俳優ミート・ローフを主役にしたロックオペラを構想し、それをアルバムにしたのが「地獄のロック・ライダー」でした。

 しかし、当初売り込んだレコード会社にはことごとく断られ、業界随一のヒット耳を持つクライヴ・デイヴィスにお前らは才能はないと酷評されたと言われています。

 

 その中でこの企画を唯一、理解し面白がったのがトッド・ラングレン。当初は彼が制作費を肩代わりしてレコーディングしていたそうです。さすが、トッドです。

 

 そして「地獄のロック・ライダー」が大ヒットして第2作目を制作しようとなった時に、ミートローフが喉を悪くしてしまい、急遽ジム・スタインマン本人が歌うことになって作られたアルバムが「バッド・フォー・グッド」で、そこからのシングルが「ロックンロール・ドリーム」でした(全米32位)。

 

 ジム・スタインマンの音楽の”核”はオペラとロックンロールです。

「どっちも大げさで、大仰だ。子供のころは、いつもワーグナーとリトル・リチャードを交互に聞いていた」

      (「トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代」)

 

 さて、このコメントである人物が思び浮かびます。

 ”ロックンロールにワーグナーの手法を取り入れた”と語っていたフィル・スペクターです。

 ジム・スタインマンフィル・スペクターサウンドを「地獄のロック・ライダー」で取り入れました。

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 トッド・ラングレンはスタジオでこのサウンドを瞬く間に作り上げたそうです。

 

 そして、ジム・スタインマンの大げさで過剰にドラマティックな音楽スタイルは、1980年代の流れとぴったり合い、大ヒット・プロデューサーになっていきました。

 彼のピークは、1983年に彼が作ったこの2曲が全米1位、2位を独占していたころでしょう。

 

ボニー・タイラー「愛のかげり(total eclipse of the heart)」

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エア・サプライ「渚の誓い(Making Love Out of Nothing at All)」

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  そして、ジム・スタインマンの音楽が、最高にマッチした映画が「ストリート・オブ・ファイヤー」(1984年)でした。

  もともとはスプリングスティーンの楽曲「ストリート・オブ・ファイヤー」からタイトルをつけられた映画でしたが、スプリングスティーンに曲の使用を断られ、急遽ジムに話が来て急いで書き下ろしたそうです。

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 バカみたいに単純な映画なのに、当時妙に血が沸き立ちました(笑い)。故郷の町の戻って来た流れ者が、悪党を懲らしめ、かつての恋人を救い、去ってゆく、西部劇の骨格をライヴハウスに置き換えただけなんですが、その単純さに徹底したところが良かったんでしょう。

 

 そして、この、パロディかと思うほど過剰に作為的な盛り上がりが、ジム・スタインマン・スタイル。僕はB級フィル・スペクターと位置付けていたのですが、その後、セリーヌ・ディオンバーブラ・ストライサンドといった超一流アーティストと仕事もしているので、その表現はもはや失礼だったかもしれません。晩年は「地獄のロックライダー」シリーズを集約したミュージカルも上演されていたそうです。

 

 この曲を本来歌うはずだったミートローフがカバーしたのが1994年のことで、全米13位のヒットになりました。PVはこの後映画監督になり「アルマゲドン」や「トランスフォーマー」などを手がけることになるマイケル・ベイ、主演がアンジェリーナ・ジョリーという、今考えるとかなり豪華なラインナップでした。

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 1980年代に鳴り物入りでデビューしたアイドル、セイント・フォーの主演映画「ザ・オーディション」でこの曲がカバーされていて、当時僕は”腰を抜かし”ました、、

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