まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ロンガー(Longer)」ダン・フォーゲルバーグ(1979)

 おはようございます。

 今日はダン・フォーゲルバーグの「ロンガー」を。


Dan Fogelberg - Longer

 

  "海に魚たちがいる年月よりも長く

 どんな鳥が飛ぶよりも高く

 空に星が輝き続けている歳月よりも長く

 僕は君を愛し続けている

 

 山の大聖堂よりも強く

 木の成長よりもまっすぐに

 原生林よりも深く

 君のことを愛している

 

 冬になれば僕が火を運びこもう

 君は春に恵みの雨をもたらしてくれる

 僕らは秋も冬も超えて飛んでゆくんだ 愛を翼に乗せて

 

 年を重ねてゆくと 僕たちの人生の本の一行一行を燃やしながら

 炎はやわらいでゆく

 たとえ、本の綴じがほつれて ページが黄ばみ始めても

 君を愛するだろう 君を愛するだろう

 

 

 海に魚たちがいる年月よりも長く

 どんな鳥が飛ぶよりも高く

 空に星が輝き続けている歳月よりも長く

  僕は君を愛している   ”              (拙訳)

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Longer than ther've been fishes in the ocean
Higher than any bird ever flew
Longer than there've been stars up in the heavens
I've been in love with you

Stronger than any mountain cathedral
Truer than any tree ever grew
Deeper than any forest primeval
I am in love with you

I'll bring fire in the winters
You'll send showers in the springs
We'll fly through the falls and summers with love on our wings

Through the years as the fire starts to mellow
Burning lines in the book of our lives
Though the binding cracks
And the pages start to yellow
I'll be in love with you
I'll be in love with you

Longer than ther've been fishes in the ocean
Higher than any bird ever flew
Longer than there've been stars up in the heavens
I've been in love with you
I am in love with you

 

Writer/s: Dan Fogelberg

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  1979年の12月にこの曲は発売されて、ゆっくりと人気を集めていき翌年3月には全米2位まであがりました。

 

 ディスコがまだ人気が高く、都会っぽい音楽が氾濫していた時代に、昔からアメリカで歌われていたと勘違いしそうなほど、素朴でスタンダードな雰囲気のあるこの曲がかえってとても新鮮に聴こえたことをおぼえています。

 今回、歌詞をあらためて訳してみて、”昔からあった曲”という印象がかえって強くなる気がしました。

 

  ダン・フォーゲルバーグアメリカ、イリノイ州出身のシンガー・ソングライターです。

 非常に内向的な人だったようで、少年時代は家の近くの森の中で一人で過ごすことが多かったといいます。

 孤独で内向的な性格と、曲を書くという作業がマッチしたようで、アルバムを作る作らないは関係なく、彼は生涯にわたってコンスタントに曲を書き続けていたようです。

(ただし、レコーディングの作業は彼には苦痛だったようです)

 

  この極度に内向的な青年が音楽業界に入るきっかけを作ったのが大学の同級生のアーヴィン・エイゾフでした。彼はのちに、イーグルススティーリー・ダン、ジャーニー、マイケル・マクドナルドなどをマネージメントし、アメリカ西海岸ロック界のまさに”ドン”となり、その後大手レコード会社の社長も歴任するほどの大物になる人です。

 

 彼のマネージメントにより、ダンはクライヴ・デイヴィスが社長だったコロンビア・レコードと契約し、「To The Morning」という曲で1972年にデビューします。


Dan Fogelberg - To The Morning (Homefree)

 

 彼が注目を集めたのは1978年フルート奏者ティム・ワイズバーグとの共作「ツイン・サンズ・フロム・ディファレント・マザーズ」というアルバムで全米8位まであがりました。


The Power of Gold

 

 そしてその勢いを受けて、大ヒットしたのがこの「ロンガー」でした。

 

 ダンはこの曲のインスピレーションについてこのように言っています。

「1978年に休暇で行ったハワイのマウイで、妻と一緒にハンモックに横たわっていたんだ。すべたが世界としっかり調和しているように見えた。曲は勝手にできたみたいに自然に書けた感じだったよ」        (Songfacts)

 心からの至福感、曇りなくピースフルな状況で生まれた曲なんですね。

 

 また1981年のラジオ・インタビューで DJから「この曲はお気に入りですか?」と訊かれて彼はこう答えています。

 「そうだね。僕の最高傑作ではないけど、まさにクラシックなラヴソングだ、どんなソングライターもいつだってクラシックなラヴソングを書くことを夢見ているんだ、コール・ポーターの作品や「イエスタデイ」みたいな領域のね。それは色褪せないものなんだ。人々が結婚式で歌い、本当に長い間。それは素晴らしいことだ」

                         ( Dan Forgelberg HPより)

 

 ちなみに、この曲をマイケル・ジャクソンがとても好きでいつも聴いていたと、彼の甥がフェイスブックで発言しています。すごくわかる気がしますね。

 

 

 

 

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