おはようございます。
今日はブレッド＆バターの「あの頃のまま」です。
この曲は作詞、作曲はユーミン（呉田軽穂）、編曲は細野晴臣と松任谷正隆というすばらしい布陣で作られています。ユーミンが他のアーティストに楽曲提供する時の筆名
”呉田軽穂”はこの「あの頃のまま」で初めて使われたそうです。
青春期と終わりがテーマになっていますが、青春期の終わりというと、ユーミンが1975年にバンバンに提供していた「いちご白書をもう一度」を思い出します。
ただ、「いちご白書」に出てくるのは男と女で、「あの頃のまま」は男友達です。
また、「いちご白書」で歌われているのは学生運動に参加した世代ですが、「あの頃のまま」の主人公はいわゆる”モラトリアム”（社会人になる猶予期間）を先延ばしにして気ままに生きている男のようですから、もう少し後の世代なのかなとも思いますが、サイモン＆ガーファンクルを”久しぶりに聞く”という歌詞があるので「いちご白書」の主人公たちとはそう年齢は離れていない、ようにも思えます。そのあたりはどうなんでしょう、、、。
ブレッド＆バターは岩沢幸矢（いわさわ・さつや）岩沢二弓（いわさわ・ふゆみ）の兄弟デュオ。茅ヶ崎で育ち活動したこともあって”湘南ポップス”の代名詞的な存在でもあります。
当初彼らが目指したのは、まさに「あの頃のまま」に出てくるサイモン＆ガーファンクルだったといいます。
彼らと知り合ったレコード会社のディレクターが筒美京平の弟だったということもあり、筒美京平作曲、編曲、橋本淳作詞、という”歌謡曲フィールド”でデビューします。ちなみにこの当時の筒美、橋本コンンビはいしだあゆみの「ブルーライトヨコハマ」を大ヒットさせたばかりで大変勢いがあった時期です。
その後、岸部シローが一時的にメンバーに加わって3人組になったことがあったそうですが、自分たちが作った曲をメインでやるようにっていきました。1974年に彼らがリリースした「ピンク・シャドウ」は山下達郎がカバーしたことでも有名です。
しかし、1976年のリリースを最後に彼らは一時、音楽活動を休止し、その頃始めていた”カフェ・ブレッド＆バター”という店に専念することにします。
そして数年が経ち、店に集うお客さん、ミュージシャン仲間の影響で、また音楽活動を再開することを決め、70年代前半にレコーディングで渡米した時に知り合ったスティーヴィー・ワンダーから贈られた曲をレコーディングしました。ユーミンが日本語詞を担当、編曲は細野晴臣でした。
ずいぶん前に彼に曲を書いてくれた頼んでいましたが、ちょうど活動再開のタイミングで曲が送られてきたのだそうです。
しかし、急にスティーヴィー・サイドから本人が歌うから返して欲しいという連絡が来ます。
それがのちに大ヒットする「心の愛（ I Just Called to Say I Love You）」でした。
＊1984年に彼らはカバーというかたちでこの曲をリリースしています。日本語詞はユーミン、アレンジは細野晴臣です。
スティーヴィー・ワンダーが書いた”再デビュー曲”を失った彼らのために、ユーミンが新たに書き下ろしたのがこの「あの頃のまま」だったのだそうです。
「あの頃のまま」の主人公のモデルは、湘南のカフェで過ごしていた彼ら自身だったんですね。
だから、歌詞に敢えてサイモン＆ガーファンクルを入れたのかもしれません。
それに、映画の「いちご白書」はある時代を象徴するものですが、サイモン＆ガーファンクルは世代を超えて聴かれているアーティストですから、主人公の年代も限定されずに、普遍性を持つこともできるわけです。
この「あの頃のまま」が収録されている彼らの復帰作「レイト・レイト・サマー」は、シティ・ポップ・ファンにも人気のあるアルバムです。中でも人気なのは、細野晴臣編曲が見事なこの曲のようです。
「SUMMER BLUE」
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「あの頃のまま」「Summer Blue」収録のシティポップの名盤
スティーヴィー・ワンダー作、ユーミン作詞、細野晴臣編曲の「特別な気持ちで」、新たにレコーディングした「あの頃のまま」収録のベスト
