まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ピープル・ゲット・レディ(People Get Ready)」ジェフ・ベック&ロッド・スチュワート(1985)

 おはようございます。

 今日はカーティス・メイフィールドが残した名曲「ピープル・ゲット・レディ」。

まずは日本でこの曲を有名にしたロッド・スチュワートとジェフ・カバー。僕もこのバージョンでこの曲を知りました。


Jeff Beck, Rod Stewart - People Get Ready (Official Video)

  そして、この曲のオリジナルはカーティス・メイフィールドが在籍していたインプレションズ、1965年にリリースされました(全米14位、R&Bチャート3位)。


"People Get Ready" The Impressions

 

 ”みんな準備しよう 汽車が来る

   荷物はいらない ただ乗り込めばいい

     ただ信じる心があれば ディーゼルの音は聞こえる

   切符だっていらない ただ神に感謝するだけでいい

 

   みんな準備しよう ヨルダン行きの汽車がきた

   国中あちこちから 乗客を乗せて

   信じる心が鍵だ ドアを開けて、乗り込もう

   最も強く愛されたものたちには希望があり

   自分だけが助かろうとして 人類に害を与えるような

   望みのない罪人のための場所はない

   憐れに思う 機会を失いそうな彼らを

   神の玉座から隠れる場所はないんだ

 

      だから、みんな準備しよう 汽車が来る

   荷物はいらない ただ乗り込めばいい

     ただ信じる心があれば ディーゼルの音は聞こえる

   切符だっていらない ただ神に感謝するだけで”  (拙訳)

 

 これはカーティス・メイフィールドが教会の経験や牧師のメッセージがもとになっていて、曲を書いた時に彼は宗教的なインスピレーションに深く入り込んでいた状態だったといいます。

 またこの曲は、アフリカ系アメリカ人公民権運動でリーダー・シップをとったマーティン・ルーサー・キング牧師が「私には夢がある」という演説を行ったことで有名な”ワシントン大行進”の影響はあると言われていて、その後、公民権運動の集会で歌われたこともあったようです。

 

 僕は教会や宗教的な信仰心とは縁が薄い人間ですし、アフリカ系アメリカ人の人たちの歴史や思いもリアルに感じることはできないです。しかし、この歌には不思議と強く引くつけられるものがあります。

   自分のことばかりで凝り固まっていた頭が、ふと同じ世界に生きて同じような境遇にいる人たちに思いが広がる今のような時期には、この曲の求心力は特に強まるように思えます。

 

 動画サイトを見ると、ボブ・ディランブルース・スプリングスティーン、スティング、U2などたくさんのアーティストが歌っていてるのを見ることができて、歌う人に左右されない”歌としての本質的な力”があることに気づかされます。

 

 この曲をかなり早いタイミングでカバーした白人ロック・バンドがバニラ・ファッジです。


People Get Ready

 このバンドのドラムス、カーマイン・アピスとベースのティム・ボガートのリズム・セクションに惚れ込んだのが、ジェフ・ベックです。

 そして、ベック、ボガート&アピスというグループを組み、R&B好きのカーマインの提案でカーティス作のインプレッションズの「I'm So Proud」という曲をカバーしています(1968年)。


Beck, Bogert & Appice - I'm So Proud - 09

 3人の活動は短かったですが。ジェフとカーマインの交流は続いていて、あるときカーマインの家に来ていたジェフが一緒に何か作ろうと言い出したことがあったそうです。

 そして、カーマインが仲間のソングライターのデュアン・ヒッチングスの家にスタジオがあるからそこで作業をしようと提案し、3人で最終的に「ピープル・ゲット・レディ」をやることにして、アレンジを詰めていったそうです。そして、アレンジが出来上がった時に、ジェフが「これを歌えるすごいボーカリストが必要だな』と言い出し、カーマインが「例えば誰?」と聞くと、ジェフは「ロッド」と答えたそうです。

 カーマインとデュアンがロッドと一緒に仕事をしていたときに、引き合わせたことがきっかけで二人は友人になっていました。

 そして、ロッドが夕食をとっている店を知り合いから聞き出し、彼らは「ピープル・ゲット・レディ」のデモの入ったカセットを持ってその店に向かったそうです、、。

 ちなみに、ロッド、カーマイン、デュアンの3人で作った曲はこれですね。

popups.hatenablog.com

 

 「アイム・セクシー」チームにジェフ・ベックが加わってできたのがこのカバーなんですね。曲のギャップが激しすぎますが、、。

 

 ロッドとベックの「ピープル・ゲット・レディ」を生んだのはカーマイン・アピスだったんですね。そして遡れば17年前のバニラ・ファッジのカバーに結びつくわけです。

 それから、日本公演でカーマインはヴァニラ・ファッジ・ヴァージョンとベック&ロッド・ヴァージョンの2種類を演奏したことがあったそうです。

 

   

   最後はカーティスがソロでやっているヴァージョンを。なんだかんだ言っても、これが一番しっくりします。

 


Curtis Mayfield - People Get Ready - #8

 

フラッシュ

フラッシュ

 

 

ピープル・ゲット・レディ

ピープル・ゲット・レディ

 

 

カーティス/ライヴ!

カーティス/ライヴ!