おはようございます。
今日はドノヴァン。1960年代に”ボブ・ディランへのイギリスからの答え”と呼ばれたフォーク・シンガーで、その後時代の寵児となり、この曲がリリースされた1967年当時はロンドンでビートルズ、ストーンズに次ぐ人気があったそうです。
Donovan - Wear Your Love Like Heaven (Audio)
1965年にリリースされた彼のデビュー曲「キャッチ・ザ・ウィンド」はボブ・ディランと似たテイストを感じるものでした。(全英4位 全米23位)
Donovan - Catch The Wind 1971 Full Vinyl (1965 Recording)
しかし、ミッキー・モストというプロデューサーと出会うことで大きくサウンドが変化します。ミッキー・モストは、1月4日にこのブログで紹介したアラン・プライスが在籍していたアニマルズの代表的なヒット「朝日のあたる家」を手がけていて、当時まさに大ヒットプロデューサーでした。
彼と組むことにより、彼の二大ヒット曲が生まれ、ドノヴァンは時の人となったわけです。その曲が「サンシャイン・スーパーマン」と「メロー・イエロー」です。
Donovan - Sunshine Superman (Audio)
Donovan - Mellow Yellow (Audio)
この後ドノヴァンは男の子を授かったことから、子供達のために自然の歌を収めたアコースティック・アルバムを作ることを思い立ちますす。しかし、商業的な魅力に欠けるそのプランにミッキーが同意しなかったことから、二人は諍いとなり、ドノヴァンは自力でレコーディングをし二枚組のアルバムを作り上げます。
それが「ドノヴァンの贈り物〜夢の花園より」という作品です。
しかしミッキーとのプロデューサー契約が残っていたため、リリースにあたって彼のプロデュースを仰ぐことになります。そこで、ミッキーが録音されたものからシングルに選びリアレンジした曲がこの「天国の愛につつまれて」でした。
この曲の歌詞は、たくさんの色彩で構成されています。
”空の色は プルシアン・ブルー
スカーレットの羊毛(緋色の雲)は色合いを変え
クリムゾンの球体(真紅の太陽)は目の前で沈んでゆく
天国のような愛を身にまとって
天国のような愛を身にまとって” (拙訳)
ドノヴァン曰く、彼自身の絵画への愛を思い起こさせる歌詞とのことだ。
そして
「私たちの世代に、天のような愛を身にまとい、自分たちを取り囲む世界に思いやりを広げようと呼びかけるものだった。」
(「ハーディ・ガーディ・マン」ドノヴァン 工作社)
僕は長い間この曲は、愛する人と一緒にいる幸福感を歌ったものだと思っていたのですが、そうじゃなかったんですね。 世界に思いやりを広げるには、パーソナルな愛ではなく、天のような気持ちになる必要がある。それはブライアン・ウィルソンの「Love and Mercy」の”Mercy"にもつながることなのかもしれないですね。
最後にこの曲のカバーをひとつ。歌っているのはペギー・リプトン。昨年亡くなられてしまいましたが、「ツイン・ピークス」に出ていた女優で、クインシー・ジョーンズの奥さんでもあった人です。
1968年にリリースされた彼女の唯一のアルバム「ペギー・リプトン」は90年代以降ポップス・マニアから再評価されていますが、彼女のシンガーとしてのデビュー曲が「天国の愛につつまれて」でした。
PEGGY LIPTON~WEAR YOUR LOVE LIKE HEAVEN 1968