おはようございます。
今日はザ・サークル。1966年の一年だけですが、ヒットチャートを鮮やかに駆け上がっていったアメリカ東海岸のグループです。
ペンシルヴァニアの男子校で”ロンデルズ”という名前でバンド活動を始めた彼らは、当時人気があったビーチ・ボーイズやフォー・シーズンズなどのポップスをコピーし研究していたそうです。
ニューヨークの音楽エージェントのナット・ワイスという人物が彼らを気に入り、彼と仕事上のつながりのあったブライアン・エプスタイン、そう当時のビートルズのマネージャーですね、にも聴かせたそうです。
ブライアンも気に入りマネージメントをすることにして、彼らのバンド名を”ザ・サークル”に変更させます。ロンドンにある円形状のロータリーをイメージしたそうですが、通常のつづりだとCIRKLEですがそれをCYRKLEにするというアイディアを出したのははジョン・レノンだと言われています。
当時メンバーはサイモンとガーファンクルと知り合いになっていて、トム・ドウズはベーシストとしてツアーに同行したのですが、その際ポール・サイモンから彼らに提案した曲がありました。
ポールがザ・シーカーズというグループのメンバー、ブルース・ウッドリーと共作したものですが、シーカーズの他のメンバーから却下されていたのです。
(シーカーズは代表曲「ジョージー・ガール」が何年か前にホンダのバモスという車のCMに使われていましたね)
曲を気に入ったメンバーはその曲をレコーディングします。それが「レッド・ラバー・ボール」。レッド・ラバー・ボウルは”赤い風船”。太陽をそう例えているんですね。
ブライアン・エプスタインがレコード会社にリリースするように圧力をかけ(?)、ビートルズの全米ツアーの前座としてまわることで、この曲は一気にヒットチャートの2位まで駆け上がりました。
The Cyrkle - Red Rubber Ball (1966)
却下したシーカーズも、実はちゃっかり、すぐにレコーディングしています。
The Seekers ::::: Red Rubber Ball.
そして、今日紹介したいのはその次のシングル「ターン・ダウン・デイ」。実はこれ、夏の歌なんですが、ターン・ダウン→ペースを落とす、という意味で、今日は何にもしない、何にも考えない日にしよう、ゆったり気持ちよく過ごそう、という内容です。
師走に向かっているせいでしょうか、11月って結構バタバタしますよね。そんななか、この間ふとラジオからこの曲が流れてきて、ターン・ダウンも必要だな、なんて思ったわけです。
この曲は全米最高16位。これ以降、出す曲出す曲ヒットせず、彼らは煮詰まってしまって、2年後の1968年には解散してしまいます。
ターン・ダウンって、下降、みたいな意味もあるしなあ、などと不吉なことも考えてしまいますが、鮮やかなポップ・ヒットを2曲も残したんだからいいんじゃないかって思います。しかも、彼らの2枚目のアルバム「Neon」は内容のすばらしさから、後に再評価されています。
このブログでは同じ時代の西海岸のポップ・コーラス・グループを”サンシャイン・ポップ”のくくりで紹介していますが、比較してみるとやはり西海岸はおおらかな感じがして、ザ・サークルは東海岸らしく、都会的で軽快な感じがしますね。
「ターン・ダウン・デイ」を書いたのは、シンガーとしても「Here Comes Summer」というヒット曲を持つジェリー・ケラーとジャズ・ピアニストのデイヴ・ブルーム。ちなみに、メンバーのトム・ドウズは解散後CMソング(ジングル)の作曲家になり、自分の作ったジングルでジェリーを数多く起用したそうです。
それでは、ジェリー・ケラーの歌う「ターン・ダウン・デイ」も聴いてみましょう。
細野晴臣、高橋幸宏のスケッチショウがこの曲をカバーしています。細野さんの選曲でしょうか?
Sketch Show - Audio Sponge - 10 - Turn Down Day