まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ターン・ダウン・デイ(Turn Down Day)」ザ・サークル(THE CYRKLE)(1966)

 おはようございます。

 今日はザ・サークルの「ターン・ダウン・デイ」。1966年の一年だけですが、ヒットチャートを鮮やかに駆け上がっていったアメリ東海岸のグループです。


www.youtube.com

It's much too groovy a summer's day
To waste runnin' 'round in the city
But here on the sand I can dream away
Or look at the girls if they're pretty


It's a turn down day, nothin' on my mind
It's a turn down day, and I dig it
There's nothin' easier I can do
Than lyin' around doin' nothin'
It's a turn down day, just a turn 'round day
It's a turn down day, and I dig it

 

Soft summer breeze and the surf rolls in
To laughter of small children playin'
Someone's radio has the news tuned in
But nobody cares what he's sayin'


Don't you know, it's a turn down day, nothin' on my mind
It's a turn down day, and I dig it
Things that are waitin' to mess my mind
Will just have to wait 'til tomorrow
It's a turn down day, just a turn 'round day
It's a turn down day, and I dig it


It's a turn down day, nothin' on my mind
It's a turn down day, just a turn 'round day
It's a turn down day, just a turn 'round day

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街を駆けまわって無駄に過ごすには
あまりにグルーヴィーな夏の日さ
でも、この砂浜なら夢も見られる
女の子を見てるのもいいさ、もしかわいかったらね

 

何もしない日さ 頭は空っぽにして
何もしない日さ それが好きなんだ
寝そべって何もしない それより簡単なことはないよ
何もしない日さ ただ、ぐるぐる回るだけの日
何もしない日さ それが好きなんだ

 

柔らかな夏のそよ風、波は打ち寄せてゆく
遊ぶ子供たちの笑い声のするほうへ
誰かのラジオからニュースが聞こえる
だけど、誰も気にしちゃいない

 

わかるだろ?今日は何もしないんだ、頭は空っぽにして
何もしない日さ 僕はそれが好きなんだ
僕の心を煩わせようと待ちかまえているものたちは
明日まで待たなくっちゃいけないのさ

 

何もしない日さ ただ、ぐるぐる回るだけの日
何もしない日さ それが好きなんだ

 

今日は何もしないんだ、頭は空っぽにして

何もしない日さ ただ、ぐるぐる回るだけの日、、、 (拙訳)

 

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 ペンシルヴァニアの男子校で”ロンデルズ”という名前でバンド活動を始めた彼らは、当時人気があったビーチ・ボーイズフォー・シーズンズなどのポップスをコピーし研究していたそうです。

 ニューヨークの音楽エージェントのナット・ワイスという人物が彼らを気に入り、彼と仕事上のつながりのあったブライアン・エプスタイン、そう当時のビートルズのマネージャーですね、にも聴かせたそうです。

 ブライアンも気に入りマネージメントをすることにして、彼らのバンド名を”ザ・サークル”に変更させます。ロンドンにある円形状のロータリーをイメージしたそうですが、通常のつづりだとCIRKLEですがそれをCYRKLEにするというアイディアを出したのははジョン・レノンだと言われています。

 当時メンバーはサイモンとガーファンクルと知り合いになっていて、トム・ドウズはベーシストとしてツアーに同行したのですが、その際ポール・サイモンから彼らに提案した曲がありました。

 ポールがザ・シーカーズというグループのメンバー、ブルース・ウッドリーと共作したものですが、シーカーズの他のメンバーから却下されていたのです。

 (シーカーズは代表曲「ジョージー・ガール」が何年か前にホンダのバモスという車のCMに使われていましたね)

 曲を気に入ったメンバーはその曲をレコーディングします。それが「レッド・ラバー・ボール」。レッド・ラバー・ボウルは”赤い風船”。太陽をそう例えているんですね。

 ブライアン・エプスタインがレコード会社にリリースするように圧力をかけ(?)、ビートルズの全米ツアーの前座としてまわることで、この曲は一気にヒットチャートの2位まで駆け上がりました。

 


The Cyrkle - Red Rubber Ball (1966)

 却下したシーカーズも、実はちゃっかり、すぐにレコーディングしています。


The Seekers ::::: Red Rubber Ball.

 

 そして、今日紹介したいのはその次のシングル「ターン・ダウン・デイ」。実はこれ、夏の歌なんですが、Turn Down→音量を落とす、という意味や、拒否する、という意味もありますから、今日は何にもしない、何にも考えない日にしよう、ゆったり気持ちよく過ごそう、という意味になると思います。

 師走に向かっているせいでしょうか、11月って結構バタバタしますよね。そんななか、この間ふとラジオからこの曲が流れてきて、ターン・ダウンも必要だな、なんて思ったわけです。

 この曲は全米最高16位。これ以降、出す曲出す曲ヒットせず、彼らは煮詰まってしまって、2年後の1968年には解散してしまいます。

  ターン・ダウンって、下降、みたいな意味もあるしなあ、などと不吉なことも考えてしまいますが、鮮やかなポップ・ヒットを2曲も残したんだからいいんじゃないかって思います。しかも、彼らの2枚目のアルバム「Neon」は内容のすばらしさから、後に再評価されています。

 このブログでは同じ時代の西海岸のポップ・コーラス・グループを”サンシャイン・ポップ”のくくりで紹介していますが、比較してみるとやはり西海岸はおおらかな感じがして、ザ・サークルのほうは東海岸らしく、都会的で軽快な感じがしますね。


Cyrkle - Turn Down Day

 「ターン・ダウン・デイ」を書いたのは、シンガーとしても「Here Comes Summer」というヒット曲を持つジェリー・ケラーとジャズ・ピアニストのデイヴ・ブルーム。ちなみに、メンバーのトム・ドウズは解散後CMソング(ジングル)の作曲家になり、自分の作ったジングルでジェリーを数多く起用したそうです。

 それでは、ジェリー・ケラーの歌う「ターン・ダウン・デイ」も聴いてみましょう。


Jerry Keller - Turn Down Day

 それから、日本では細野晴臣高橋幸宏スケッチショウがこの曲をカバーしています。どちらの選曲だったのでしょうか?

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