おはようございます。
昨日に続いて、加藤和彦で、サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」です。
「帰って来たヨッパライ」の大ヒット後、ザ・フォーク・クルセイダーズは解散し、加藤はサンフランシスコに行ってヒッピー文化をリアルに体験したあと、ソロ活動を始めます。その後、ロンドンに行くと、ここが自分の居場所だと思うほどフィットするものを感じたそうです。
1970年代初頭のことで、T.REXやデヴィッド・ボウイ、ロッド・スチュワートのいたフェイセズなどの当時の新しいロックと巡り会い吸収していったそうです。
そして、ロック・バンドを組むことを思い立ち、東京で”センスの合う”メンバーを探し集めまたのが、サディスティック・ミカ・バンドです。
バンド名は、ジョン・レノンとオノヨーコのプラスティック・オノ・バンドをヒントにしたそうです。ちなみに、サディスティック・ミカ・バンドをヒントにしたのが、宇崎竜童率いるダウンタウン・ブギウギ・バンドです。
彼らの大ヒット曲「スモーキン・ブギ」はサディスティック・ミカ・バンドの「サイクリング・ブギ」にかなりインスパイアされているんじゃないかと僕は想像しています。
さて、加藤がすごいのはバンドのメンバーが集まった後、ロンドンの雰囲気を出したいということで、メンバー全員をロンドンに1ヶ月遊びに連れていったそうです。
「帰って来たヨッパライ」の印税を使ったわけです。
ちなみに、このロンドン滞在時に、日本にはまだなかったPA(音響機器とシステム)
を大量に買い付けて日本に送って、PA会社まで作ったそうです(それで印税は使い果たしたようです)。
”はっぴいえんど”と彼が対バンをしたときに、そのPAを使ったおかげで、バンドの”はっぴいえんど”より、フォークギター弾き語りの彼の方がはるかに大きい音が出たそうです。
話が脱線してしまいましたが、加藤が「帰って来たヨッパライ」の印税を全て使って、海外の新しい音楽を生で取り入れて来たことで、サディスティック・ミカ・バンドは当時の日本の中で圧倒的にモダンで垢抜けたロックを実現できたわけです。
その頃は今のように海外の音楽に簡単に接することはできませんでしたし、渡航費もバカ高くて誰でも海外に行けるものではありませんでしたから。
今の視点で見れば、思い切った自己投資が功を奏した、とも解釈できます。しかし、当時の彼は、自己投資ではなく、ただただ新しくて面白いことをさがしていただけなのかもしれません。
しかし、ここで注目したいのは、加藤には洋楽に憧れてただそれに近づこうという感じ、洋楽のフリしてる感じが、がまったくないということです。
あくまでも、洋楽をインプットしながら日本人っぽい形でアウトプットをすることにより、今までになかった面白いものにすること、それが狙いだったような気がします。
そして、それはフォーク・クルセイダーズ時代から一貫して変わっていないスタンスだと思います。
とはいえ、ザ・フォーク・クルセイダーズとの音楽性のあまりのギャップには驚嘆しないわけにはいきませんが、、。
そのサディスティック・ミカ・バンドの代表曲が「タイムマシンにお願い」です。
発売されたのは1974年。
彼がもともとやっていたフォーク・ミュージックが日本人の抒情性をふんだんに取り入れることで、商業的に大ブレイクしたころです。井上陽水「氷の世界」かぐや姫「神田川」「赤ちょうちん」グレープ「精霊流し」、、。大変にウェットな曲が巷に流れていた時代に、この「タイムマシンにお願い」のスタイリッシュな垢ぬけ方は尋常ではありません。
そして、いつ聴いても古臭くならない、スタンダード感もあります。
ちなみに、サディスティック・ミカ・バンドは1975年に解散した後、現在に至るまで2回再結成しています。
一回目はボーカルを加藤ミカから桐島かれんに変えた1989年(ミカ・バンドのミカの英語表記がMIKAからMICAになっています)。そして2006年にはボーカルに木村カエラを迎えて活動を行っています(英語表記はMICAからMikaela、ミカエラに)。
YouTubeでは三人それぞれの「タイムマシンにお願い」がアップされています。
みなさん、誰がいいでしょう?
タイムマシンにおねがい - SADISTIC MICA BAND LIVE IN TOKYO 1989
- アーティスト: サディスティック・ミカ・バンド
- 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN INC.
- 発売日: 2004/04/01
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- アーティスト: サディスティック・ミカ・バンド
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