まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「レッツ・ダンス(Let's Dance)」デヴィッド・ボウイ(1983)

 おはようございます。

 今日はデヴィッド・ボウイの最大のヒット曲にして、彼のキャリアの中ではかなりの異色作であった「レッツ・ダンス」を取り上げます。

 

 「レッツ・ダンス」を作るきっかけになったのは、大島渚監督の映画「戦場のメリー・クリスマス」の撮影で南太平洋に長期間滞在したときにさかのぼり、そのとき彼は1950年代の古いR&Bの入ったテープをたくさん持っていき聴いていたそうです。

 1980年代初頭の音楽について彼は、スタイルだけで中身がないと感じていて、それに対して

R&Bは様式化によって本質を失うことがなかった。R&Bはいつも躍動していてエモーショナルです。ふと自分のやっていることに目をむけたら、この躍動感、エモーションこそが欠けていたのだという事実に思いあたったのです。」

 (CROSS BEAT 「デヴィッド・ボウイ1983-1988」)

 

 そして、撮影後ニューヨークのクラブでナイル・ロジャースに会い、二人は意気投合します。彼はもともとシックでの彼の仕事ぶり、特にベース、ドラムスの音作りに興味があり、二人とも音楽の嗜好が似ていたそうです。

 ナイルのほうも、ディスコの人というイメージが強いですが、もともとシックはロキシー・ミュージックのスタイリッシュさを参考にしていたわけで、当然ロキシーの先輩格であり、スタイリッシュなロックの最大のスーパースターであるボウイには当然興味があったでしょう。

  また、ナイルはこの時期初めてのソロ・アルバムを作っていたのですが、それがディスコものではなく、ボウイとの共同作業をイメージさせやすいスタイルだったのもよかったのかもしれません(アルバムはセールス的にはコケたようですが)


NILE RODGERS - The Land Of The Good Groove (1983)

 

 「レッツ・ダンス」はもともと、ボウイがギターの弾き語りで作った"暗いトーン”の”フォーク・ソング”だったといいます。しかし、それをヒットさせたいという要望を受けてナイルがアレンジを加えたのですが、そのときのデモ・ヴァージョンが2018年にオフィシャルにリリースされました。

 


David Bowie - Let's Dance, Demo (Radio Edit) [Official Audio]

 ナイルの十八番である、ファンキーなギターのカッティングが全面に出ていますね。

しかし、当時は人気が下火のディスコ・サウンドを毛嫌いする風潮が強く、ディスコっぽいアレンジでは成功しないと考えて、最終的に彼のギターにも大きくエフェクトをかけたりして印象を変えたそうです。

 しかし、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」といい、この「レッツ・ダンス」といい、もともと”地味だった曲”を派手なヒット曲に仕上げたナイルの手腕は大したものです。もちろん、マドンナもボウイも派手な存在感があるというのも大きいですけど。

 

 

 

 

 

Let's Dance (2002 Remaster)

Let's Dance (2002 Remaster)

 

 


David Bowie - Let's Dance (Official Video)