まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Y.M.C.A」ヴィレッジ・ピープル(1978)

 おはようございます。

 今日からいきなり、ディスコをセレクト。しかも、一発目は「Y.M.C.A」です。

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若者よ、落ち込む必要はない、さあ
若者よ、立ち上がるんだ、さあ
若者よ、初めての町にいるんだから
不幸にならなくていいんだ
若者よ、君には行ける場所がある、さあ
若者よ、お金が足りないときは
そこに泊まれて、見つけるはずさ
楽しい時間を過ごせるたくさんのやり方を


Y.M.C.A.に泊まるのは楽しいぞ
Y.M.C.A.に滞在するのは楽しいぞ
そこには若い男が楽しめるものがすべて揃っている
そこのボーイズと一緒に遊べるんだ
Y.M.C.A.に泊まるのは楽しいぞ
Y.M.C.A.に滞在するのは楽しいぞ
身ぎれいにできて、食事もおいしい
やりたいことは何でもできる

 

若者よ、聞いてるか?なあ
若者よ、何になりたいんだ?なあ
若者よ、君の夢を実現できる
だけど、これだけは知っておくべきだ
どんな人間も、自分ひとりでは何もできないんだ
若者よ、プライドは棚に上げて
ただそこに行くんだ、Y.M.C.A.へ
彼らはきっと今日君を助けてくれるはず

 

Y.M.C.A.に泊まるのは楽しいぞ
Y.M.C.A.に滞在するのは楽しいぞ
そこには若い男が楽しめるものがすべて揃っている
そこのボーイズと一緒に遊べるんだ
Y.M.C.A.に泊まるのは楽しいぞ
Y.M.C.A.に滞在するのは楽しいぞ
身ぎれいにできて、食事もおいしい
やりたいことは何でもできる

 

若者よ、私もかつて君のようだった、そう
俺は落ち込んでどん底で、思ったものさ
自分なんて生きていたって誰も気にやしないって
世界中があまりにもデタラメだって
そんなとき、誰かがやってきて言ったんだ。
"若者よ、この通りを歩いていくと
Y.M.C.A.と呼ばれる場所がある。
"あそこなら君を元の自分に戻してくれるさ"

 

Y.M.C.A.に泊まるのは楽しいぞ
Y.M.C.A.に滞在するのは楽しいぞ
そこには若い男が楽しめるものがすべて揃っている
そこのボーイズと一緒に遊べるんだ

                         (拙訳)

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Young man, there's no need to feel down, I said
Young man, pick yourself off the ground, I said
Young man, 'cause you're in a new town
There's no need to be unhappy
Young man, there's a place you can go, I said
Young man, when you're short on your dough you can
Stay there and I'm sure you will find
Many ways to have a good time


It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
They have everything for young men to enjoy
You can hang out with all the boys
It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
You can get yourself clean, you can have a good meal
You can do whatever you feel


Young man, are you listening to me? I said
Young man, what do you want to be? I said
Young man, you can make real your dreams
But you've got to know this one thing
No man does it all by himself, I said
Young man, put your pride on the shelf
And just go there, to the Y.M.C.A. 
I'm sure they can help you today


It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
They have everything for young men to enjoy
You can hang out with all the boys
It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
You can get yourself clean, you can have a good meal
You can do whatever you feel


Young man, I was once in your shoes, I said
I was down and out with the blues, I felt
No man cared if I were alive
I felt the whole world was so jive
That's when someone came up to me and said
"Young man, take a walk up the street
It's a place there called the Y.M.C.A. 
They can start you back on your way"


It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
It's fun to stay at the Y.M.C.A. 
They have everything for young men to enjoy
You can hang out with all the boys

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 西城秀樹はあんなに爽やかにカバーして日本人もみんな無邪気に踊ってるけど、

YMCAとは”Young Men's Christian Association"(キリスト教青年会の宿泊施設)の意味でそこはゲイの溜まり場として有名で、そこに若い男の子を誘っている歌なんだぜ~、といった記事もネットでよく見るようになったので、ヴィレッジ・ピープルはゲイ・カルチャーから出てきたことは洋楽ファンの方ならご存知でしょう。

 

 ヴィッレジは、彼らのベースとなっているゲイ・クラブ(ディスコ)があったニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジのことです(1978年当時、ど田舎の中学生だった僕は、村の人々、なのに衣装はぜんぜん田舎っぽくないなあ、などと思っていましたが、、、)

 

 さて、この曲のプロデューサーはジャック(ジャキス)・モラリといって、フランス人でフランスの音楽界で活動していましたが、フランスじゃ成功してもたかがしれているということでアメリカを目指すことを決意します。そして、アンリ・ベロロというプロデューサーがパートナーとして彼をサポートしてくれることになります。

 

  彼のアメリカでの最初のプロデュース作は、有名な「ブラジルの水彩画」という曲をダンス・ミュージック(ディスコ)にするというもので、これが全米最高11位と大当たりします。歌っているのはリッチー・ファミリーという女性三人組。ちなみにレコーディングはフィラデルフィア・ソウルの本拠地、シグマ・サウンド・スタジオで行われています。

 


The Ritchie Family - Brazil 1975

 

 ある日ジャックとアンリがグリニッジ・ヴィレッジを歩いているとインディアンの格好をしている男を見つけ興味を惹かれて後をつけると彼はゲイ・クラブの店員でした。彼らは店に入ると中にはカウボーイの格好をした男もいて、インディアンとカウボーイとはまさにアメリカだ、そうだ、アメリカの男たちをキャラクターにしたグループを作ろう!と彼らは思い立ちます。

 

 デビュー曲は、ゲイのメッカを歌った「サンフランシスコ」でした。リード・ボーカルのヴィクター・モリスのボーカルはテディ・ペンダグラスみたいですし、シグマ・サウンド・スタジオ(フィラデルフィアじゃなくニューヨークのほうですけど)で録音されたので、フィラデルフィア・ソウル感がすごく強いですね。

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 ジャック・モラリは業界誌にメンバー募集の広告を出したそうですが、そこには「マッチョタイプ募集:踊れて口髭があること」と書いてあったそうです。そして、目当てのメンバーが集まるとすぐにレコーディングしたのがこの「マッチョ・マン」。彼ら初のヒットになりました(全米25位)。

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 ちなみにアメリカで「マッチョ・マン」がウケていた1978年に日本ではムキムキマンの「エンゼル体操」がブレイクしていましたね。第一次マッチョ・ブームがこの年なんですねw。

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 この曲、作詞が景山民夫、作編曲が「HORO」の小坂忠というすごい組み合わせなんです

 

 さて話を「Y.M.C.A」に話を戻します。

 YMCAはいろんなところにありますが、この歌の舞台になったところはニューヨークの23丁目にあったようです(PVのオープニングに出てきます)。興味をひかれたジャックは、実際にYMCAに参加していたグループのメンバーに何度が連れて行ってもらったそうです。レクレーション設備もそろってるし、ゲイだった彼にとって興味深い人たち(?)とも交流できてとても楽しんだようです。そして、あるとき彼はYMCAの歌を作ろう!と決めます。

 

 タイミングはアルバム制作も佳境に入り、あと1曲何か入れようか、というところだったといいます。ジャックはわずか20分でメロディやコーラス、アウトラインを作って、ボーカルのヴィクターに歌詞をつけるように指示したそうです。

 (このブログでは、大ヒット曲はあっという間にできた曲が多いことを繰り返し書いてきましたが、この曲もそうだったわけですね)

 

 それから、彼らの作品のアレンジャーはホレス・オットという、ニーナ・シモンなど数々のジャズ、R&B系のアーティストを手掛けた”本格的な”実績のある人物だったことも付け加えておきます(そういえば、日本のつんく♂にも有能なアレンジャーがついてましたから、ちょっと似ている気がします)。彼のアレンジが大ヒットに大きく貢献しているのは間違いないでしょう。あのイントロからして、なにか抗いがたい魔力があります。

 

 ヴィレッジ・ピープルのプロジェクトは、ジャックがゲイであるということが大きく反映されているのはもちろんですが、彼がフランス人であり、”よそ者として見たアメリカ”というのが見事に効果を上げていると思います。

 

 ヴィレッジにいた仮装した男たちやYMCAという建物を見て、あれはなんだろう?という好奇心を全開にして見つめてそれをヒット曲にまとめ上げてゆく、それは”ジモティ”にはできないアプローチなのかもしれません。

 

 それから、プロデューサー、作曲家のジャック本人がY.M.C.Aが大好きだった、ということもすごく大事なことのように思います。

 小手先や頭だけで流行に乗った気分になって”狙って”ちゃっちゃっと書いただけの曲では、これほどの大ヒットになるはずはないですから。

 

 最後はこの「Y.M.C.A」の次のシングルとまたその次のシングルを。どちらも50代半以上の日本人にはお馴染みのナンバーでしょう

 

「In The Navy」(1979年全米3位)。日本ではピンクレディが「ピンク・タイフーン」(In The NavyとPink Ladyという音節が見事にハマっていました)というタイトルで、真正面から西城秀樹路線を狙った渋谷哲平が「ヤング・セーラーマン」というタイトルでカバーしていました。

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「Go West」(1979年全米45位)。こちらは1993年のペット・ショップ・ボーイズのカバーで世界的に知れ渡りました(1993年全英1位、全米ダンスチャート1位)

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