まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「Y.M.C.A」ヴィレッジ・ピープル(1978)

 おはようございます。

 今日からいきなり、ディスコ。しかも、一発目はY.M.C.Aです。

 西城秀樹はあんなに爽やかに歌って日本人もみんな無邪気に踊ってるけど、YMCAは”Young Men's Christian Association"キリスト教青年会の宿泊施設でゲイの溜まり場で、そこに若い男の子を誘っている歌なんだぜ~、といった記事もネットでよく見るようになったので、ヴィレッジ・ピープルはゲイ・カルチャーから出てきたことは洋楽ファンの方はご存知でしょう。

 ヴィッレジは、彼らのベースとなっているゲイ・クラブ(ディスコ)があったニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジのことです(1978年当時、ど田舎の中学生だった僕は、村の人々、なのに衣装はぜんぜん田舎っぽくないなあ、などと思っていましたが、、、)

 

 さて、この曲のプロデューサーはジャック(ジャキス)・モラリといって、フランス人でフランスの音楽界で活動していましたが、フランスじゃ成功してもたかがしれているということでアメリカを目指すことを決意します。そして、アンリ・ベロロというプロデューサーがパートナーとして彼をサポートしてくれることになります。

  彼のアメリカでの最初のプロデュース作は、有名な「ブラジルの水彩画」という曲をダンス・ミュージック(ディスコ)にするというもので、これが全米最高11位と大当たりします。歌っているのはリッチー・ファミリーという女性三人組。ちなみにレコーディングはフィラデルフィア・ソウルの本拠地、シグマ・サウンド・スタジオで行われています。

 


The Ritchie Family - Brazil 1975

 ジャックとアンリがグリニッジ・ヴィレッジを歩いているとインディアンの格好をしている男を見つけ興味を惹かれて後をつけると彼はゲイ・クラブの店員でした。彼らは店に入ると中にはカウボーイの格好をした男もいて、インディアンとカウボーイとはまさにアメリカだ、そうだ、アメリカの男たちをキャラクターにしたグループを作ろう!と思い立ちます。

 デビュー曲は、ゲイのメッカを歌った「サンフランシスコ」でした。リード・ボーカルのヴィクター・モリスのボーカルはテディ・ペンダグラスみたいですし、シグマ・サウンド・スタジオ(フィラデルフィアじゃなくニューヨークのほうですけど)で録音されたので、フィラデルフィア・ソウル感がすごく強いですね。

 


Village People San Francisco

 YMCAはいろんなところにありますが、この歌の舞台になったところはニューヨークの23丁目にあったようです(PVのオープニングに出てきます)。興味をひかれたジャックは、実際にYMCAに参加していたグループのメンバーに何度が連れて行ってもらったそうです。レクレーション設備もそろってるし、ゲイだった彼にとって興味深い人たち(?)とも交流できてとても楽しんだようです。そして、あるとき彼はYMCAの歌を作ろう!と決めます。

 タイミングはアルバム制作も佳境に入り、あと1曲何か入れようか、というところだったといいます。ジャックはわずか20分でメロディやコーラス、アウトラインを作って、ボーカルのヴィクターに歌詞をつけるように指示したそうです。

 (このブログでは、大ヒット曲はあっという間にできた曲が多いことを繰り返し書いてきましたが、この曲もそうだったわけです)

 それから、彼らの作品のアレンジャーはホレス・オットという、ニーナ・シモンなど数々のジャズ、R&B系のアーティストを手掛けた”本格的な”実績のある人物だったことも付け加えておきます(そういえば、日本のつんく♂にも有能なアレンジャーがついてましたから、ちょっと似ている気がします)。彼のアレンジが大ヒットに大きく貢献しているのは間違いないでしょう。あのイントロからして、なにか抗いがたい魔力があります。

 

 ヴィレッジ・ピープルのプロジェクトは、ジャックがゲイであるということが大きく反映されているのはもちろんですが、彼がフランス人であり、”よそ者として見たアメリカ”というのが見事に効果を上げていると思います。

 ヴィレッジにいた仮装した男たちやYMCAという建物を見て、あれはなんだろう?という好奇心を全開にして見つめてそれを音楽に結び付けてゆく、それはジモティではできないアプローチなのかもしれません。

 

 それから、プロデューサー、作曲家のジャック本人がY.M.C.Aが大好きだった、ということもすごく大事なことのように思います。

 小手先や頭だけでちゃっちゃっと”狙って”書いただけの曲では、これほどの大ヒットになるはずはないですから。

 


Young man, there's no need to feel down...

 

Y.M.C.A.

Y.M.C.A.