まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ウィンディ(Windy)」アソシエイション(1967)

 おはようございます。

 今日はアソシエイションの「ウィンディ」です。 


The Association Windy

 彼らは1960年代後半にブームとなった南カリフォルニア発祥のコーラス・ワークが魅力の”サンシャイン・ポップ”、または”ソフト・ロック”(アメリカでは日本でイメージするよりももっと広義なポップスを指すようです)に分類され、そのジャンルのグループの中で最も成功したのがアソシエイションです。

 

 ロサンゼルスで結成された彼らは、有名なナイト・クラヴ「トルバドール」を拠点に活動していました。

 *「トルバドール」はエルトン・ジョンアメリカでのブレイクのきっかけになったり、ビーチ・ボーイズジェームズ・テイラーイーグルスビリー・ジョエルなど数多のスーパースターが演奏した店。

 

   1965年に彼らは、ジョーン・バエズレッド・ツェッペリンもとりあげた「I'm Gonna Leave You」やボブ・ディランのカバー「One Too Many Mornings」をリリースしますが全く売れませんでした。

 

   その次の発売した「Along Comes Mary」が初めてのヒットになります(全米7位)。


The Association Along Comes Mary

 そして、次のシングル「チェリッシュ」が見事全米1位に輝きます。


Cherish (Remastered Version)

 当時流行っていたフォーク・ロックっぽいスタイルから、ソフトなポップ・サウンドへ移行したことで彼らは成功をつかんだようです。

 

 そして、翌年リリースされ彼らにとって二枚目の全米NO.1ヒットになったのがこの「ウィンディ」でした。

 

 ちなみに歌詞はこんな感じです。

 

 ”階段の下から覗き込んで 空気より軽い名前を呼んでいるのは誰?

  かがみこんで僕に虹をくれるのは誰? みんな知ってるよ、それはウィンディ

 

  街並みをたどりながら  みんなに笑顔を振りまくのは誰?

  一瞬をとらえようと 手をのばすのは誰? みんな知ってるよ、それはウィンディ

 

 ウィンディには嘘に反応して光る嵐のような瞳がある

 ウィンディには空を飛べる翼がある 雲の上まで 雲の上まで

 

    街並みをたどりながら  みんなに笑顔を振りまくのは誰?

  一瞬をとらえようと 手をのばすのは誰? みんな知ってるよ、それはウィンディ

                                (拙訳)

*******************************************

Who's peekin' out from under a stairway
Calling a name that's lighter than air
Who's bending down to give me a rainbow
Everyone knows it's Windy

Who's tripping down the streets of the city
Smilin' at everybody she sees
Who's reachin' out to capture a moment
Everyone knows it's Windy

And Windy has stormy eyes
That flash at the sound of lies
And Windy has wings to fly
Above the clouds (above the clouds)
Above the clouds (above the clouds)

And Windy has stormy eyes
That flash at the sound of lies
And Windy has wings to fly
Above the clouds (above the clouds)
Above the clouds (above the clouds)

Who's tripping down the streets of the city
Smilin' at everybody she sees
Who's reachin' out to capture a moment
Everyone knows it's Windy

************************************************

 

  この曲を書いたのはルーサン・フリードマンという女性フォーク・シンガー/ソングライター。

  デヴィッド・クロスビーの家で20分たらずでこの曲を書いたといいます。

  デヴィッドは自宅の一階部分をアパートにしていて、まだ稼ぎの少なかった彼女を好意で住まわせていたのだといいます。

 「ただ曲がやってきたの!20分で書き上げたのよ。高校の英語の先生がこう言っていたのを覚えているの、もし自分が書いたもので人々の興味を引きたかったら、すぐに質問を投げかけなさい、そうすると人は答えを知りたいからくいついてくれるからって。

それを受けて書いたの”階段の下から覗いているのは誰?みんな知ってる、それはウェインディ”て」

 

「”ウィンディ”はサンフランシスコにいたときのヒッピーのボーイフレンドのことだって言うけど、私にはヒッピーのボーイフレンドなんていなかったわ。最近、20代半ばの自分のことを思い出して、やっと気付いたの、私は自分のことを歌にしていたんだって、こんな風な人になりたいって」

 

 

 ちなみに、後年彼女が歌っている「ウィンディ」のデモ・レコーディングの音源が発表されています。

 なるほど、A,Bメロを繰り返すシンプルな構成なので20分で出来てもおかしくない(失礼!)なんて思ったりもします。

 シンプルなこの曲を、アソシエーションは見事なコーラス・ワークと、巧みなアレンジでヒット・ソングに仕上げます。これはプロデューサーのボーンズ・ハウの手腕によるものだと言われています。

 

 ただ作者のルーサンは、自分のデモとは全く違うものになってしまった「Windy」には愛情を持てなかったらしく、長い間自身で歌うことがなかったようです(ある時期から歌うようになったらしいですが)。

 しかし、昨日取り上げた「デイドリーム・ビリーバー」もそうだったのですが、ポップスがヒットするかどうかは、アレンジが本当に大事なんですね。

 

ウィンディ

ウィンディ

  • アーティスト: アソシエーション
  • 出版社/メーカー: Redbridge Inc
  • 発売日: 2014/12/03
  • メディア: MP3 ダウンロード
  • この商品を含むブログを見る
 

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com